無自覚な強者

事の次第

「イケてる航空総合研究所」という、いけてるこうくう氏が運営する航空関連ブログがある。

下記記事は家族旅行でのANAの対応に不満を述べたものだが、コメント欄が炎上している。

flyfromrjgg.hatenablog.com

そして本人は自分のブログに好き勝手書いて何が悪い、という感じである。

 

上記記事で、いけてるこうくう氏は不満として

  1. プレミアムカウンターで見た目でメンバーで無いと判断されたこと。
  2. 往路便の機中で、温冷を間違えたドリンクを取り下げられるときに「口付けてないですよね?」とCAから確認されたこと。
  3.  復路便の機中で、子供を着陸25分前までに必ずトイレに連れて行くようにCAから言われたこと。

 を挙げ、

 

いや~今回はセントレアのプレミアムカウンターと往復の機内で、地に墜ちたANAのサービスを見た感じがしました。スカイトラックス社で今年も5スターを獲得したエアラインとは思えないスタッフの教育ぶりです。 やはりANA本体じゃないからでしょうか?中部の地上職はANAの子会社(のはず)。そして往復のフライトはANAウィングス。やはり子会社となるとサービス水準が落ちるんですかねぇ。

地上で、機上で、仰天の不適切発言。これが5スターエアラインANAのサービスなのか!? - イケてる航空総合研究所

 と締めているのである。

この記事の要旨

  • 3の批判(というよりは中傷)は不当なものである。
  • いけてるこうくう氏は業界の月刊誌に記事が掲載されるほどの人物である以上、自分のブログに好き勝手書けるわけではない。ましてやその影響力を背景にして要求を通すことをや。影響力や立場に応じた言論ができないなら、月刊誌掲載などのセミプロライター活動は辞退すべきである。
  • 「世間知らずのお姉様」というのはCA個人に対する人格攻撃である。
  • 理不尽な要求は現場の疲弊を招きかねない。

各不満の正当性

2の疑問は理解できるところである。

当該記事のコメント欄には

CTSべーす

もしいけてるさん一家が口にしていたとしたら、CAは飲み物をその場に置いておけませんから、すぐに廃棄する必要が出てくるはずです。
詳しい状況は描写されていないのでわかりませんが、もしその時CAが1人でサービスに当たっていたとしたら、サービスを中断し、1本しかない通路をカートごと移動しギャレーに戻らねばなかったはずです。
仮に2人がペアで対応していたとしても、国内線の短いフライトタイム、他にやらねばならないことも大量にある中で大きなロスです。
であれば、飲んでいないお茶は改めて出さない限り衛生上問題なく、サービスを続行するほうがよいと判断しただけのように思えます。

と書かれており、CAの質問は理由のあるものらしいが「素人」が疑問に思って不満を述べてしまうのは仕方あるまい。

実際、2に関しては理解できる旨の反応が多いようである。

 

1に関してもメンバーとなるための出費に見合ったサービスかどうか、という判断でもあり、新千歳でスマホのみで対応できたのだから従業員の教育やマニュアルの問題とも言える。

さて問題は3である。

CAにエスパーを求める点では誕生日ファーストクラス男と一緒

いけてるこうくう氏、そんな航空ブログを書いてるぐらいだから飛行機の搭乗については当然詳しい。3の不満は自分は理解してるんだから子供のことに関して「世間知らずのお姉さま」のCAは口出しするな、ということである。

 

こっちは、世間知らずのお姉様にいちいち子供の扱い方の指図をされたくないわけです。正直、「オマエにウチの子の何がわかる!」って言いたくなります。その子にはその子の特性があって、それを一番分かってるのが親なんです。

地上で、機上で、仰天の不適切発言。これが5スターエアラインANAのサービスなのか!? - イケてる航空総合研究所

 そんな搭乗客個人の搭乗リテラシーがどの程度かなんて顔なじみにでもなって無ければわからないわけです。

ステータスを獲得できるくらい飛行機に乗っていたとしても、通常は一人で乗っているなら子連れ時に適切な行動を取れる保証は無いわけでして。

コメントにも書かれているように、乗りなれてない人にとっては声がけが無いと対処できない場合もあるわけです。

 

そうなるとリテラシーが低い方に合わせて声がけするのは合理的なわけです。

 

さて、このCAにエスパーを求める態度(もしかしたら子連れ客全員に声がけは不要と考えているのかもしれませんが)でANAと言えば誕生日にファーストクラスに乗って、誕生日を祝われなかったからと不満を投稿した方を思い出します。

www.j-cast.com

強者であることに無自覚なのか。

いけてるこうくう氏が単なる航空趣味者で、影響力が無ければここまで私は関心を持たない。私は地べたを這いずる乗り物の方が好きなので。

 

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前略 雲の上より(1) (イブニングKC)

前略 雲の上より(1) (イブニングKC)

 

 

本業が何かは知らないが、下記ツイートのように航空趣味の商業誌である月刊エアラインに記事を載せられる人である。

twitter.com

AIRLINE (エアライン) 2018年7月号

AIRLINE (エアライン) 2018年7月号

 

 

この手の雑誌に記事を載せられる人の影響力がどの程度か、航空オタクではない私にはわかりかねるのだが、一介のブロガーと同一視はできまい。

鉄道業界における川島令三氏ぐらいの影響力ならどうでもよいかもしれないが。 

川島令三 - Wikipedia

主張はほぼすべてコストや実情を度外視した具体性に乏しい妄想、理想ばかりであり、個人の趣味に偏った主張など価値観の押し付けとしか思えない姿勢への賛同者も多い。

もっとも川島氏は鉄道従業員個人を理不尽な理由で批判をしたことは無いように思う。

従業員個人の人格を攻撃している時点でアウト

 前掲の誕生日ファーストクラス男を擁護(?)する記事としては下記のがある。

note.mu

 

記事の趣旨としてはANAが「察するサービス」を押すあまり、CAが「察するサービス」を提供するためにプライバシーを無視した尋問を行ったりで、会社やCAの自己満足でしかないということである。

この記事ではCA個人の人格ではなく、あくまでも会社の方針やマニュアル、評価システムへの批判である。

 

いけてるこうくう氏は前掲の引用のように「世間知らずのお姉様」と表現しているわけである。

こうなると会社のマニュアル等よりも個人の問題になってしまう。

コメントには

 CTSべーす

いけてるさんが直接クレームを出されたのかはわかりませんが、少なくともこういうブログで発表されれば、まともな会社、或いは逆に体面を気にする会社は徹底的な社内調査をします。
その結果、特に後者の会社の場合、指摘に基づき現場の対応が問題視され、こういうクレームを受けないためにさらにマニュアルがさらに厳しくなります。
そうやって現場は疲弊していくのです。

と書かれている。このコメントをした方は名前から、航空会社の新千歳空港のスタッフだろうと思われる。

 

会社がモンスタークレーマーからの要求は無視し、従業員を守るのであれば問題ないが、体面を気にしている場合、コメントにあるように現場が疲弊したり、あるは当該CAが不利益を被るおそれがあると考えるわけである。

ましてや商業誌に記事を書けるほどの人物に文句を書かれた場合をや。

 

また

今度は往路の機内での話。どこに行ったかはあえて言いません。ストーカー読者様にはすぐに分かっちゃうんですけれども、クルーの名誉のためにも記事単体ではわからないようにしておきます(笑)。

地上で、機上で、仰天の不適切発言。これが5スターエアラインANAのサービスなのか!? - イケてる航空総合研究所

 と他の記事を読めば特定できそうなことをわざわざ書いてるのである。

これを恫喝的と捉えるのは穿ち過ぎかな?

 

私は航空に無関心なわけでもないが、地べたを這いずる乗り物の方が好きにも関わらず、今回のいけてるこうくう氏の記事に絡むのは、事が影響力を持った強者による、労働者個人の人格への攻撃だからである。そしてこのような過剰な要求が労働環境の悪化を招くからである。

つまり言論の責任と労働の問題だからである。

 

最初は一介のブロガーであろうと、影響力をつけてきた(強者になった)ならそれに応じた責任も自覚すべきだろう。

 

無免許柔道整復での逮捕

www.chibanippo.co.jp

以下引用(強調、着色は筆者による。)

 無資格者に柔道整復の施術をさせ療養費をだまし取ったなどとして、県警生活経済課と松戸署は11日、柔道整復師法違反(業務の禁止)詐欺の疑いで、「なゆほ整骨院秋山駅前院」(松戸市秋山1)を経営する元競輪選手の柔道整復師、小暮征宏容疑者(52)=同市二十世紀が丘美野里町=ら3人を逮捕した。

 ほかに逮捕したのは柔道整復師、本房さおり容疑者(29)=同市栄町3=と整骨院従業員、天野拓容疑者(41)=同市二十世紀が丘美野里町。

 逮捕容疑は共謀し、同整骨院で今年1月9~16日、天野容疑者が柔道整復師の免許がないにもかかわらず、40~60代男女3人に計4回にわたり施術。本房容疑者が施術したように装って療養費を不正に請求し、全国健康保険協会千葉支部から4440円をだまし取ったとされる。

 同課によると、3人は容疑を認めている。小暮容疑者が2015年6~7月ごろ、資格取得の専門学校で知り合った天野容疑者を誘い「免許を持った人が来るまで施術をして」などと指示。「違法なことは分かっていたが(天野容疑者が)施術の勉強をしていたのでいいだろうと思った」と供述している。

 本房容疑者が休みの時などに天野容疑者が施術していた。同課は、15年10月から17年5月までに、天野容疑者が延べ約7400人に施術し、小暮容疑者が療養費約1180万円を不正に請求してたとみて裏付けを進める。

 健康被害は確認されていない。昨年7月に損害保険会社から情報提供があり、捜査していた。

容疑者を整理すると

  • 小暮征宏容疑者(52):院長、柔道整復師
  • 本房さおり容疑者(29):従業員、柔道整復師
  • 天野拓容疑者(41):従業員、無資格。院長とは専門学校で知り合う。

天野容疑者と同姓同名で柔道整復師学校に通っているツイッターのアカウントを確認したが、年齢的には違いそうである。

現役の学生か、国試浪人組、あるいは中退組かは不明である。

 

さて、これまでは柔道整復師が保険金詐欺や療養費の詐欺で逮捕される事例はあった。しかし無免許柔整での逮捕例は私が知る限りでは無い。

とはいっても検察統計を調べてみると柔道整復師法違反で略式命令や不起訴処分はあったりする。

ただし、柔道整復師法違反と言っても無免許柔整のみならず、広告違反なども含まれるため、無免許柔整をどのくらい、警察・検察が事件として取り上げているかは不明である。

 

また無免許柔整に関する正式裁判は、私が調べた限りではD1-law.comには載っていなかった。

 

だが、これからは違ってくるのだろう。

binbocchama.hatenablog.com

 

もっとも今回は分院展開し、一方の院に柔道整復師がいない日が生じ、療養費詐欺も絡んだため立件できたとも思われる。

 

柔整師が指示なり、少し施術した形をとると立件は難しくなる。

そこら辺は今後の課題だが、保険や療養費の詐欺が絡むと警察はやる気を出すので、不正請求を行っている整骨院の片棒を担ぐのは止めたほうが良い。

 

そもそも助手を雇う場合、専門的なことなら柔道整復師にやらせるべきだし、誰にでもできる行為なら素人でOKなのである。

 

接骨院で、柔道整復師以外の施術者を必要としている時点でおかしいのである。

性風俗店における無免許マッサージ(性的でなくて、疲労回復などを目的とする)

kutabirehateko.hateblo.jp

導入部を要約すると、疲労困憊で深夜に家でマッサージをして欲しいが、デリヘルなら来てくれるだろうか?とつぶやいたところ、フォロワーから回春マッサージ系のデリヘルを提案され、頼んでみた、という感じである。

 

フォロワーが紹介したリンクは下記の通り【18禁注意】

中洲のアロマ・エステ店一覧|九州風俗情報ぴゅあらば

お店に「マッサージ」とか「治療院」という表現があって、ちゃんとあん摩マッサージ指圧師の免許を持って、治療院を運営する身としては困るわけです。

 

私は男なので大した被害はないが、こういうので勘違いした方が、女性のマッサージ師に性的なサービスを求めるのは困るのである。

 

法律

あん摩マッサージ指圧師免許

当ブログが初めての方に説明すると、業としてあん摩、マッサージ、指圧を行う場合にはあん摩マッサージ指圧師という免許が必要である。

あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)

第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。

しかし、一般の方が「マッサージ屋」と思っているところはほぼ無免許だったりする。

なぜ無免許のマッサージ屋などが営業できているのは下記記事を読んで欲しい。

binbocchama.hatenablog.com

風営法性風俗特殊営業)

デリヘルというのは風営法第2条第7項第1号で無店舗性風俗特殊営業と位置づけられている。第6項の店舗型性風俗特殊営業の条文も引用する。

6 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。


一 浴場業(公衆浴場法(昭和二十三年法律第百三十九号)第一条第一項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業

二 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)
(略)


7 この法律において「無店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの

(略)

 

東京都 特定異性接客営業等の規制に関する条例

それと東京都にはいわゆるJKビジネスを「特定異性接客営業」として規制する条例がある。

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/about_mpd/keiyaku_horei_kohyo/horei_jorei/jkbusiness_reg.files/jorei.pdf

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、それぞれ当該各号に定めるところによる。


(1) 青少年

18歳未満の者をいう。

(2) 特定異性接客営業

店舗型特定異性接客営業及び無店舗型特定異性接客営業をいう。

(3) 店舗型特定異性接客営業

次のいずれかに掲げる営業であって、青少年が客に接する業務に従事していることを明示し、若しくは連想させるものとして東京都公安委員会規則(以下「公安委員会規則」という。)で定める文字、数字その他の記号、映像、写真若しくは絵を営業所の名称、広告若しくは宣伝に用いるもの又は青少年が客に接する業務に従事していることを明示し、若しくは連想させるものとして公安委員会規則で定める衣服を客に接する業務に従事する者が着用するもので、青少年に関する性的好奇心をそそるおそれがあるもの風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(昭和23年法律第122号。以下「法」という。)第2条第1項に規定する風俗営業、同条第6項に規定する店舗型性風俗特殊営業又は同条第11項に規定する特定遊興飲食店営業に該当するものを除く。)をいう。


イ 店舗を設け、当該店舗において専ら異性の客に接触し、又は接触させる役務を提供する営業


ロ 店舗を設け、当該店舗において専ら客に異性の人の姿態を見せる役務を提供する営業

ハ 店舗を設け、当該店舗において専ら異性の客の接待(法第2条第3項に規定する接待をいう。第5号ニにおいて同じ。)をする役務を提供する営業(イに該当する営業を除く。)

ニ 喫茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業で、客に接する業務に従事する者が専ら異性の客に接するもの

 

(4) 店舗型特定異性接客営業者

東京都の区域内において営業所を設けて店舗型特定異性接客営業を営む者をいう。


(5) 無店舗型特定異性接客営業

次のいずれかに掲げる営業であって、青少年が客に接する業務に従事していることを明示し、若しくは連想させるものとして公安委員会規則で定める文字、数字その他の記号、映像、写真若しくは絵を広告若しくは宣伝に用いるもの又は青少年が客に接する業務に従事していることを明示し、若しくは連想させるものとして公安委員会規則で定める衣服を客に接する業務に従事する者が着用するもので、青少年に関する性的好奇心をそそるおそれがあるもの(法第2条第7項に規定する無店舗型性風俗特殊営業に該当するものを除く。)をいう。

専ら異性の客に接触し、又は接触させる役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの

ロ 専ら客に異性の人の姿態を見せる役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの

ハ 専ら異性の客に同伴する役務を提供する営業(イ又はロに該当する営業を除く。)

専ら異性の客の接待をする役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの(イ又はハに該当する営業を除く。)


(6) 無店舗型特定異性接客営業者

東京都の区域内において事務所若しくは受付所(前号イからニまでに規定する役務の提供以外の客に接する業務を行うための施設をいう。以下同じ。)を設けて、若しくは東京都の区域内及び区域外に事務所及び受付所を設けないで東京都の区域内に住所を有して、又は客の依頼に応じて派遣される同号イからニまでに規定する役務を行う者と当該客とが接する場所を東京都の区域内に設定して無店舗型特定異性接客営業を営む者をいう。

(7) 特定異性接客営業者

店舗型特定異性接客営業者及び無店舗型特定異性接客営業者をいう。

(8) 特定衣類着用飲食店営業

茶店、バーその他設備を設けて客に飲食をさせる営業のうち、水着、下着その他の公安委員会規則で定める衣服を客に接する業務に従事する者が着用することによって、客の性的好奇心をそそるおそれがあるもの(法第2条第1項に規定する風俗営業、同条第11項に規定する特定遊興飲食店営業又は第2号に規定する特定異性接客営業に該当するものを除く。)をいう。


(9) 特定衣類着用飲食店営業者

東京都の区域内において営業所を設けて特定衣類着用飲食店営業を営む者をいう。

 

風営法性風俗特殊営業が「 異性の客の性的好奇心に応じて」というのに対し、東京都の条例は「青少年に関する性的好奇心をそそるおそれがあるもの」という点が違う。

JKビジネスは性的サービスではない、という建前であるから風営法の規制は受けない。なので東京都(警視庁)が条例を作ったわけである。

警察庁の通知によれば「客と身体を密着させたり、手を握る等客の身体に接触する行為は、接待に当たる。」

https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/hoan/hoan20180130.pdf

 

なお、無免許マッサージ店やエステ店を装った売春や違法性風俗店がある旨、警察白書では指摘されている。

https://www.npa.go.jp/hakusyo/h28/honbun/html/s2150000.html

(2)売春事犯及び風俗関係事犯の現状
① 売春事犯
平成27年中の売春事犯の総検挙人員に占める暴力団構成員等(注)の割合は19.3%(104人)と、依然として売春事犯が暴力団の資金源になっていることがうかがわれる。

最近では、インターネットの出会い系サイト等を利用する事犯のほか、マッサージ店やエステ店を仮装した違法性風俗店における事犯など、潜在化傾向がみられる。

 

こういった事情もあり、医師や鍼灸マッサージ師、あるいは許認可を受けた介護事業者以外で、もっぱら身体に接触する役務を提供する事業は風営法で規制すべきと考える。

当然、整体やリラクゼーションも身体に接触する役務として風営法で規制すべきであろう。

 

性風俗店は「リラクゼーション」と表現して欲しい。

リラクゼーションというのは無免許マッサージを、違法性を指摘されないように言い換えただけではあるが、「マッサージ」という用語を無資格者に使わせない、というのではいろいろ不便もあろう。無資格者がマッサージの代わりに使っているのであれば性風俗店にもぜひ、マッサージという言葉は使わず、リラクゼーションと表現して欲しい。

 

日本標準産業分類にリラクゼーションは記載されているが、管轄する総務省に、デリヘルはリラクゼーションに含まれるかどうか、尋ねたところ、「含まれる」という回答であった。

 

最初にも述べたが、性風俗店が「マッサージ」や「治療院」という表現をするため、勘違いした男性から、女性のマッサージ師が性的サービスを求められて困っているのである。

 

 当該記事のデリヘルの違法性

だんだん、自分が何を言いたいのか、わからなくなってきた。

なので当該記事のデリヘルのマッサージ、リラクゼーションの違法性を指摘することにしたい。

 

 

昨日は一週間の疲れが溜まって「誰か家に来て身体を揉んでくれたらいいのになあ!」という気持ちがピークに達した。コンビニで支払いを済ませながらコンビニには話し相手は置いていないのだとふと思った。人と話がしたい、とも思った。帰ったら持ち帰った汚れ物を洗濯して、取り込んだ洗濯物を畳んで仕舞って、部屋を片付けなければいけない。仕事の事務処理もある。でもとても頭がまわらない。 誰か女の人に家に来てほしい。家事を手伝って、肩を揉んで、おしゃべりにつきあってほしい。

夫の留守にデリヘルを呼んだ - はてこはときどき外に出る

 「疲れが溜まって」と表現していることから、疲労回復を目的にしていると思われる。

なお、世間には病気の治療などの医療目的でなければマッサージに免許は不要、という風説が流れているが、疲労回復を目的にした場合でもマッサージには免許が必要である。

厚生省の通知より

法第一条に規定するあん摩とは、人体についての病的状態の除去又は疲労の回復という生理的効果の実現を目的として行なわれ、かつ、その効果を生ずることが可能な、もむ、おす、たたく、摩擦するなどの行為の総称である。*1

 もっとも利用者側がそういう意図でも、施術者側にそういう意図がないとすれば違法性を問うのは難しくなるが。

 

最初にどのような症状があるかなど一般的な質問をされる。オイルを使うかどうか。指圧が中心だが、とくによくほぐしてほしい部位はあるか。「バリニーズマッサージがお出来になると読んでお願いしたので、ストレッチがあるコースがいい」と伝えると、指圧にもストレッチは取り入れているという。もう考えるために頭を働かせるのも億劫で、Aさんのご判断におまかせしたいとお伝えした。

夫の留守にデリヘルを呼んだ - はてこはときどき外に出る

 

症状、病歴を尋ねることは問診であり、医行為である旨の最高裁判決があります。

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51069

断食道場の入寮者に対し、いわゆる断食療法を施行するため入寮の目的、入寮当時の症状、病歴等を尋ねる行為は、その者の疾病の治療、予防を目的とした診察方法の一種である問診にあたる。

また「Aさんのご判断におまかせしたい」とあるが、免許を持たない者に許される行為は「患者に危害の及ぶことがなく、かつ、判断作用を加える余地に乏しい機械的な作業」*2であり、身体の状況について判断しながらの施術は無資格者には許されない行為である。

 

痛むところ、痺れるところを伝えると「じゃ、ここからこっちへこんな風に痺れるでしょ?」と打てば響くような答えが返ってくる。

夫の留守にデリヘルを呼んだ - はてこはときどき外に出る

 

 

「どこがどう凝っていて」と身体所見を告知しており、これまた違法行為である。

なお、違法行為となるのは無免許でとして行うからであり、家族や知人など、特定少数の方の体を触って、身体所見を告知しても直ちに違法になるものではない。

 

これまで、この手の性風俗店やJKリフレで疲労回復や肩こりなどの解消を唄っているものも見受けられたが、利用者側は性的目的で来ており、そのような健康目的は期待していないものと思っていた。

 

今回の記事は健康目的で性風俗店の利用があることを示し、性風俗店に対しても医業類似行為業者としての規制が必要な旨、認識する次第である。

*1:○あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所等に在学している者の実習等の取り扱いについて
昭和三八年一月九日医発第八号の二各都道府県知事あて厚生省医務局長通知

*2:保健師助産師看護師法違反事件
東京高裁昭和63(う)746 判例タイムズno.691 1989.5.15 p152
東京高裁(刑事)判決時報40巻1〜4号9頁

あはき柔等の第1回広告検討会議事録より、その2:無資格者問題

その1は下記記事。

binbocchama.hatenablog.com

なお、法律家の構成員が「医業類似行為」と表現しているのは、あはき柔および人の健康に害を及ぼすおそれのある行為(又は届け出医業類似行為)を指すと思われる。

 

○小川代理(日盲連)

 実際、あん摩、はり、きゅうで患者さんが困るのは、あはきの情報を知りたいということもありますが、資格のない人たちの広告によって、あはきかどうかの見分けが付かない、紛らわしいということで、実際に患者さんに無資格者の被害も出ておりますので、無資格者の取締りの明確化。そして、この問題については指導体制を整備してほしいと思います。実際、届けを出した者に対しては、指導監督が行き届くのでしょうが、全く届けを出していない人、無資格者の行為に対して、どのように情報を得て指導するか、これをまず 1 点はやっていただきたいと思います。

○山口構成員(患者団体)

 先ほど無資格者の話が出ていたのですが、私たちの所でも整体とかカイロプラクティック、マッサージ屋さんと言うのでしょうか、アルバイトの人がやっているようなもみほぐしとか、そういう所できつく押されて被害を受けたという御相談が結構あります

ところが、相談のときに、いや、整体やカイロプラクティックというのは資格がないのだということを言うとびっくりされるのです。ですから、今、どの人がどの資格を持っていて、何を対象にしているのかということが非常に分かりにくくなっています。

 先ほど治療ということをおっしゃったのですが、例えば施術という言葉を使えば、治療ではないのですねというイメージになるわけです。今、どういう資格者がやっているのかということが分からない実態になるような名前であることに非常に問題があって、特にあはき、柔整というのは国家資格ですから、やはり、国家資格であることを一般の方が知ることができるような内容にする必要があるのではないか。

 そうすると、無資格者がやっていることについては、なぜここまで許されているかと、今、すごく重なっている部分があると思います。資格者はここまでできるが、無資格者でもこんなことをやっているではないか。そこをもう少し整理していく必要があって、それを一般の人がちゃんと使い分けができるように、ガイドラインの中できちんと整備していく必要があるのではないかと思います。

○前田構成員(医事法)

 今の御意見で話させていただいてもいいかなと思ったのですが、有資格者と無資格者の間での広告制限等の違いはいろいろ問題になっていたと思います。

今、山口構成員がおっしゃったように、資格を持っている人間ができる範囲とほとんど変わらないか、もしかしたら、制限がないぐらい無資格者のほうがいろいろなものを挙げているというのはやはりおかしいと思います

通常で考えると、今医療法等も広告制限というのは制限列挙から包括方式に変わってまいりましたので、その点では広まってはいるのですが、これは逆に有資格者だからこそと捉えることもできるのではないかと思っております。

つまり、無資格者にとっては、元の制限列挙にしてくれれば、このような事態は起こらないので、同じか又は全く負担が掛からない形で即、広告できること自体が、無資格者の今の現状に関わっているのではないかと思っております。

少し広告のあり方も有資格者、無資格者で変えていくべきではないかと考えます。

○釜萢構成員(医師会)

 私どもも無資格者の方の広告のあり方が一番、今回の検討の中で大事だと思っております

(略)

それぞれの法律の中で、この業務はこの資格がないとできないということになると、資格がないのにそれをやれば虚偽ということになりますから、そういう整理が確かにいいのだろうと思いますが、実際にそれが果たしてうまくいくのかということについては、現時点では非常に難しそうだなという予想を持っております。

それを今回の検討の中で、しっかり実のあるものにしなければいけないと思って今日は出てまいりました。

○石川構成員(全鍼)

先ほど山口構成員がおっしゃっていたように、国民の健康を守るという観点から、平成 27 年 5 月 26 日に消費者庁さんから確か発表していただいた内容になると思うのですが、結構、いわゆる国家資格がない所で怪我をしている方がいらっしゃるという現状があるのであれば、私たちが幾ら発信しても、そんなに浸透性がなかったりとも思われてしまいますので、せめてそこは、国家資格があるのかないのかというところを分かってもらえるような、発信を国からしてもらえるような、そういう体制だけでも国に責任を持って作ってもらえれば、国民が安心して鍼灸マッサージ施術を受けられるのかなと思っています。

○磯部構成員(法科大学院教授)

 従前、医業類似行為の規制については 2 つのポイントがあって、直接的に人体に有害となるという意味で、積極的な弊害があるという点に加えて、そういうのに頼ることで、患者が適切な医療を受ける機会を失するおそれがあるという、消極的弊害もあると。この 2 つを当初、厚生省は規制の根拠に挙げていたはずですが昭和 30 年代の最高裁が、いろいろな理屈はあるのですが、職業選択の自由にも関わる話だしということで、積極的な弊害が具体的にあるようなものについてのみ、要は積極的弊害がある場合のみを規制対象とするという解釈をしているものですから、恐らくその点、そこは狭く解しているところがあると思うのです。

あん摩、はり、きゅう、柔整以外の医業類似行為については、医学的観点から人体に危害を及ぼすおそれがあれば禁止処罰にするけれど、それ以外については放任しているというのが、恐らく今までの運用のような気がするのですが、そもそもその考え方自体、学説上は批判があって、結論から言えば消極的弊害ということをやはり重視するべきではないかと、私などは考えていますし、恐らく多数説はそうではないかと思います

 そういう意味では、放任行為であるとされている業務に従事する人も、医業ないしは医業類似行為へのアクセスを不当に害するような形で広告等をする場合には、それは広告行為が規制されてもよいでしょうし、医業類似行為を行う業務においても、国民が医療へのアクセスを損なわれてしまうような、そういう消極的弊害が起こり得るような広告であれば、これも規制の対象としていいのだという、そういう考え方に立って、今後このガイドラインについて考えるということでよいのであれば、それはそれで私は大賛成だなという気がしている次第です。

○福島座長

 やはり一番大事なのはペイシェントセーフティなので、先ほどの消極的弊害ということに関しても、これはどうやって患者を守るかということを考えていくというのが、大きな視点だなということを、ずっと伺ってきました。そうすると、ただガイドラインを作るというだけではなくて、そのガイドラインが本当に運用されるためには、職能団体がどういう行動をするのかということも含めて、それから、どこまで患者さんたちに向けて、理解できる言葉で書けるのかということも含めて、もちろん市町村の権限も含めて、やっていかなければいけない。

○釜萢構成員(医師会)

 それから、先ほど磯部先生からお話がありまして、消極的な弊害というのは私は初めて伺ったのですが、それはすごく大事で、無資格者をどうやって規制していくかという根拠が私はよく分からなかったので、すごく難しいだろうと思っていたのですが、医療安全を確保する意味から、国民を守るためにどのようにしっかりと規制の網を掛けるかということが大分見えてきたような気がしまして、そこを是非しっかりと詰めていくことが大事だなと感じた次第です。

 ○磯部構成員(法科大学院教授)

 私が先ほど申し上げたのは、「医業類似行為」というのは、それは 6 文字のそういう言葉の行為であって、医行為とは違うのです。医師が業を独占し、一部看護師ができるというのはあくまでも医行為の話であって、これは医業類似行為ということである。それを、なぜ法定 4業務でなければ免許なくやってはいけないのかという規制根拠の話を先ほど申し上げて、それはそれ相応の人体に有害性があることもあるし、また医業類似行為であるからこそなのでしょうね。

それを頼ることで、かえって患者が適切な医療を受ける機会を奪われてしまってはいけないということなので、私の先ほどの理解では、そういう消極的な弊害も規制の根拠として位置付けるのであれば、「○○院」という言葉を使って、本来は病院にアクセスしようと思っていたにもかかわらず間違って医業類似行為にかかってしまうようなことは、やはり望ましくないということになるはずなのです。

 ただ、そうは言っても、医業類似行為として脈々とやられてきた実績があるので、それを根底から引っ繰り返してゼロからにしろというつもりはもちろんないのですが、そこは分けたほうがいいという感覚です。

 ○木川構成員(弁護士)

 確認ですが、そうすると、単純に無資格者がやる行為というのは無資格医業だから、広告以前の話なのではないかと思うのですが、それをなぜここで議論しなければいけないのかというのも分からなかったのです。 

 ○南構成員(日鍼)

 先生の疑問は私もそのままそうなのです。無資格の広告の問題というのが出てきました。それも議論の論点の案に挙がっています。いわゆる整体だったら整体屋ということで看板が上がっています。マッサージでしたらマッサージ屋ということで看板が上がっています。いわゆる国家資格を取得していない方が、人の体に触わって何らかの施術をしているということそのもの、業としてやっていること自体が、あはき法であったり、医師法であったり、既に現行法に違反しているのではないかという議論は常にあって、先ほど磯部構成員がおっしゃられた最高裁判例があるとか、職業選択の自由があるとか、私も100 %詳しいわけではないのですが、そういう部分があって、そこに突っ込んでいくと、それこそ先ほどの医療か医療ではないかというのと同レベルか、それ以上の問題が出てきて、広告の話ではなくなってしまうようなところなのです。

 ただ、実態として、現状を我々としては飲み込みにくいところなのですが、産業としてはそれなりに日本国中にあって、実際に動いているという中で、そこで健康被害を生まないためにどうするのだ、誤解を生まないような広告というのは何なのだということを考えていくしかないのかなというように、私はそういう気がしています。 

 ○坂本構成員(学校協会)

 正にそうだと思うのです。無資格の業者というのは山ほどいて、ややもすれば誇大な広告に走っている所もあるのではなかろうかと思うのです。そういった所に広告制限を掛けなくて、資格者のほうにばかり制限を掛けたら何の意味もないというところは実際はあるのだと思います。したがって、先ほどどなたかが言われていましたが、鍼灸治療院、接骨院ということを掲げているために医療機関だと思って患者が来るという実態よりも、そちらのほうが怖いなと。
 お聞きしたいことがあって、山口構成員だったらお分かりになるかもしれませんが、いわゆる医療機関だと思って行ってしまうというような実態というのは、かなりあるのですか。

○山口構成員(患者団体)

 実際にお話を伺っている中で、「それは医療機関ではないですよね」と言ったら、混乱されているというようなことはあります。だから、見分ける基準が明確に分かっていない。それで、「先生」と呼ばれる人はみんな医師だろうという感覚です。

○坂本構成員(学校協会)

 どのぐらいそういう事例があるのか分からないのですが、もしそうだとすると、きちんと説明する必要はあるのだろうと思います。ただ、その前に無資格が横行しているという問題というのは、もっと大きな問題であるということは、この検討会では御認識いただきたいと思っております。

○釜萢構成員(医師会)

 この広告の検討の中で無資格を扱わなければならない理由は、国民の医療の安全が脅かされているという大変強い危機感からであり、そういう資格がなくて業に携わっている方を排除するということでは決してないのですが、国民の安全を守るためには、資格のない業者に対してもしっかりと目を光らせていかなければいけないという認識です。

そうでないと、健康被害の事例は医師の所にたくさん来るわけですそういう無資格の施設で術を受けることによって健康被害が生じた事例を、私どもはたくさん経験しております。ですから、それを何とかしなければいけないだろうという危機感から、 1 つはこの検討会が開かれていると認識しております。

○木川構成員(弁護士)

 無資格者の話を広告に限定していった場合に、要するに無資格者が医業類似行為をやっていると誤認させるような広告をしてはいけないということになるのかなと思うのです。

そうした場合に、医業類似行為とそこに至らないものは何かという話になってきて、鍼灸は分かりやすいと思いますが、マッサージ、体に触わるものがどこから以上だったら医業類似行為で、どこから以下ならそうならないのかということが明確になれば、それ以下のものをやっているということについては、医業類似行為をやっていると誤認させることにならないし、それ以上をやっているということになったらそれは誤認させるということになるのかなと思います。

 例えば体に触わるものというのは、通常のエステのようなものもあると思いますが、エステを誰もマッサージだとは思わないのかもしれませんし、それもマッサージに含まれると思うのかもしれませんし、具体例を挙げていけば、どこかである程度の線引きができるのかなとも思います。

あはき柔等の第1回広告検討会議事録より、その1:柔道整復師の不正広告の対応は根性論である。

本年5月10日より、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会が開催されている。

www.mhlw.go.jp

第1回の検討会の議事録が公開されたので忘備録として抜粋しておく。

www.mhlw.go.jp

検討会の構成員

まず、検討会の構成員であるが、グループを分けて紹介する。

あはき柔の国家資格者の関係者

なお、日盲連の小川氏は日盲連会長の竹下義樹構成員の代理で出席である。

 

法律関係者

医事法講義(新編第3版)

医事法講義(新編第3版)

 

なお、構成員である日盲連会長の竹下義樹氏も弁護士である。

tsukushilo.com

その他

その他は大まかに分けて、医師、健康保険、患者団体と分けられる。

 

検討会の目的

松田医事専門官の発言より

今回、御議論いただく論点として 3 つ挙げさせていただいております。

規制の対象となる広告の範囲等について明確に定めた規制がなく、都道府県様により、指導等の差が生じていくということがあり、今回、広告に関するガイドラインの作成についてどう考えるか。

また、正確な情報を提供し、その選択を支援する観点から、広告事項の拡大を考えてはどうか。

あと、望ましくない広告が無資格類似業者においてある、その指導・保護についてどう考えるのかということで、無資格類似業者の広告のあり方について、今回検討会で検討したいと思っております。

 

柔整の不正広告対応は根性論

○三橋構成員(柔整)

 今、指導という話がありましたが、今までも、例えば広告の規制ということで、我々のほうから、いわゆる不正な広告が上がっているという情報提供を保健所にするわけですが、保健所がどこまで施術所の中に入っていけるのか。

例えば、看板だけを見て、この看板はおかしいですよと言うだけで帰ってくるパターンがほとんどなのです。

例えば中まで入って行って指導するとか、そこまでなかなか至らないケースが多くて、そこまで保健所に指導権限を与えていただけるのかどうかというのも、 1 つの課題ではないかと思いますが。

○山口構成員(患者団体)

 私たちの所では、 28 年前から電話相談ということで、これまで 6 万件近い電話相談をお聞きしています。

その中で、特に柔整のことについての相談が数多く届いています

特に最近目立つのが、広告の問題で言いますと、やはりクーポンとか割引券といった広告が横行していて、そのことによって、かなり誘導されてトラブルになっていると、このような例が多いということもあります。

また、先ほどから御説明に出ていた診察日、診療日、診察時間、こういう医療機関と思ってしまうような表記がかなりされていて、一般の方が医療機関との区別が付いていない。

まして、柔整の方たちも先生と呼ばれていることが多いので、その方たちが、例えば「私は完全に治してあげるよ」とか「痛み止めなんかは飲まないほうがいい」と整形外科で行われている治療に対して意見を言うということで、一般の方がかなり混乱しているという問題を感じています

 

 それとプラスして言いますと、保険請求ができるということもありまして、費用請求に対しての不信感が結構あって、実際に医療費のお知らせが来たときに、実際に行った回数と違っているとか、打撲はしていないのに打撲と書いてあると

こういった御相談がかなり以前から届いています。特にいわゆる混合診療は医療ではできませんが、この分野ではできるということも一般的には知られていませんので、その辺り、かなり混乱しているような状況があるのではないか。そういった問題意識をこれまで持ってまいりました。

 

 そういったときに、今回ガイドラインを作るという方向性ですが、ガイドラインを作るときに、一般の方にもどういうことが守備範囲なのかとか、何ができて、何ができないのかということをしっかりと、今一度改めて情報提供をしていくことが必要ではないかということです。

○三宅構成員(健保連

保険者の立場としては、やはり不適切な広告で誤解を招いて、患者さんが誘引されることがあってはならないと考えております。例えば意見としては重なりますが、医療機関だと誤解して誘引をされたり、先ほど来から出ている治療や治療院という言葉を使ったり、あるいは施術自体全てが健康保険の対象だと誤解をし、誘引されるということがあってもならないと考えております。もちろんその結果が、患者の健康被害に、あるいは無理・強引な誘引は不正請求につながると私どもは考えておりますので、その点は厳しく対応すべきと考えております。

 現在の広告の状況は、非常に不適切なものが多く、荒れていると考えております。健保組合は全国に 1,400 ありますが、その一部で作られた「保険者機能を推進する会」というグループがありまして、こちらが千代田区内の柔整の施術所の看板広告をほぼ全件歩いて調査をしたことがありました。これは新聞でも取り上げられて相当数の問題が見付かったということで話題になっております。そうした実態も踏まえて、早急に患者を守る、あるいは不正を防ぐという観点で、法令なりガイドラインを明確に規定していただきたいというのが 1 点です。

(略)

 また、先ほど来から各先生方から指導の問題も御指摘がありましたが、医療法の中には、広告違反の場合は 30 万円の罰金という条項が第 87 条にあります。それ以外に第 6 条の 8 などでは、都道府県知事が例えば必要な報告を命じたり、立ち入ったり、検査をしたり、中止、是正の命令ができるなどという明確な規定があります。柔整あはき法にはそこまでの規定がなく、 30 万円の罰金条項だけだというところです。
 この辺りは私ども一般人には指導根拠がよく分からないというか、恐らく地域保健法や、各都道府県の条令等でしっかりしていただいているかとは思いますが、指導根拠の規定はどこかに明確に 1 つの柱を置く必要があるのではないかと考えております。そのことによって、いきなり告発して罰金というのは難しいとは思いますので、しっかり指導をしていけるようにそういったことが必要だと考えております。

 さらに柔整あはきの場合は、療養費という保険の対象になる場合があります。この療養費の世界におきましては、受領委任取扱規程による受領委任という仕組みがあります。これは保険者も入りまして、契約協定を結ぶというものです。やはりこの中で、今回作られたガイドラインに沿って広告の規制という項目もしっかり明示して、厚生局にも指導をしていただいて、一定期間従わないような場合は、受領委任の取扱いを中止することが必要だと考えております。

 不正を調査するのには大変時間が掛かるということは理解ができます。ただ広告、看板などについては、ガイドラインさえきちんと整理すれば、それが違法かどうか、適切か不適切かというのは、すぐに分かる話ですので、そこはすぐに指導して改善命令をしていただいて、ほかの不正の調査とは別にできるはずだと思っておりますので、法や受領委任取扱規程に基づいて、厳しい対応を取っていただきたいと考えております。そうしなければ、患者さんの健康に不利益が生じる心配もありますし、また真面目にやっていらっしゃる施術所さんも浮かばれないと考えております。

○三橋構成員(柔整)

 先ほどから名称の話が出ていますが、実は我々日本柔道整復師会に新入会の柔道整復師が来られるのですが、その中で、治療院という名称で届出をしてくる柔道整復師が何人かいるのです。そうしますと、保健所で例えば治療院と名前を付けて通ってしまうと、厚生局でも受けざるを得ないというところで、厚生局に電話をしても、「いや、もう、一度保健所で通ってしまうと」というようなことで、実は変えられないみたいな話になってしまって、我々から逆に施術者にその話をして、改めて治療院という名称を外させて、接骨院という名前で登録させるということをしております。

しかし、例えば個人でやられているような柔道整復師の方々は、そのまま通ってしまうと、治療院という名前で恐らくやられていると思います。通常であれば、これは法的にも認められていないので、これはいかがなものかなと思いますので、先ほど申し上げたとおり、保健所と厚生局の情報提供、あるいはつながりがどうなっているのか、もう一度考えなければいけないかと思います。

 

 先ほど健保連の委員から、受領委任の取扱いのお話がありました。今回、新たに我々の受領委任の取扱いの中で、規定が一部変更になって、今までは広告については、ただ柔道整復師法だけでしたが、今回、新たに施術の担当方針ということで、「違法な広告により、患者が自己の施術所において施術を受けるように誘引してはならない」という規定が載りました。ということで、今回から、違法な広告をして患者を集めれば、いわゆる受領委任の取扱いの停止処分にもなり得るという形で、取扱いの規定が変わったのです。その中でも、違法と判断するのはどこなのだと、所管は保健所ということで、医療課から Q&A が出ていますが、保健所に尋ねると、保健所の所管は分かるのですが、そこからどのような形で厚生局に情報提供するのか、あるいはどのような形でその情報を持っていくのか全く記されていないと。もう 1 つ何かステップ的に、こういう形で文章を上げろとか、こういう形で保健所から段階を経て上のほうに、例えば厚生局、厚生労働省なり何なりに上げていくような文章をもう一本出してもらわないと、なかなか動けないという情報も頂いております。

 その中で、我々きちんとやっている施術者からすると、今、柔道整復師法で決められているものは、患者さんがそれを見ても果たして分かるかどうかと思いますが、昔はほねつぎと言えば接骨院だなと思っていただいたのですが、今、ほねつぎと言っても、何をやっているのかさっぱり分からないと。中には無資格の整体がどちらかというと接骨院よりも知名度が上がって、どちらが本当の接骨院なのか分からなくなっている。中には整体院の看板を見ますと、次世代型接骨院だと。何とか整体院と書いてある所もあるのです。そういうのを見ますと、我々のほうからも、接骨院というのは骨折、脱臼、打撲、捻挫、挫傷を扱っているのだぐらいはせめて表記をさせていただけると非常に有り難いと思います。先ほどから話が出ているように、いわゆる無資格の方々の看板を我々も考えていかなければいけないのかなと。例えば接骨院、あるいは病院でも「院」というのが付きます。あるいはあはきのほうでも鍼灸院とか「院」が付きますが、「院」というのは公共性を保つものであって、例えば「院」は無資格者は使えないとか、そのような規定ももしできればいいのかなと思います。以上です。

○前田構成員(医事法)

 例えば柔整だと「整体」という名前を使って、整体は国家資格ではありませんので、いわゆる広告制限は余り掛かっておりません。それに対して、届出のほうは接骨院になっているので、柔整師になっていますので、保険が適用できる。いわゆる療養費が使えると。

こういったところで、非常にあり得ないような広告をした上で患者さんを集めて請求だけを行っている方が全国的に非常に多くなっている点があったので、やはり無資格に対しての広告制限もきちんと捉えた内容を作るべきだと考えております

加護構成員の発言より

奈良県橿原市の加護です。先ほど南構成員からも御指名いただきましたが、先ほど来、三橋構成員、山口構成員、その他構成員の先生方から出ていますが、指導権限を与えよというところですが、これは明確に県、若しくは厚生労働局というのが決められています。

 現場としては実際、根性論なのです。すみません、言葉は非常に悪いです。うがった捉え方をしていただきたくはないのですが、何度注意しても聞いてくれない所に追い込みを掛ける根性はあるのかどうか。それが、ほぼない。県の職員や厚生労働局の職員が駄目だと言っているわけではありません。手が少ない。なかなか全体にわたって、全てを回ることができないというのが現状です。

 

 しかしながら、先ほど言ったような悪意を持って営業をなされる施術所に関しては、ほかの施術所に影響が出ますので、迷惑が掛かりますので、何遍でも注意しに行くのですが、そこを県、厚生労働局のほうに、きっちり法的指導をせよという要望を上げても、実際、犯罪に手を染めるまで行かない。はっきり言って法律違反ですので、犯罪と言えば犯罪です。しかしながら大きな金が掛かっているとか、被害者が出たという場合であっても、半年掛かります。半年掛けて、潜入をするような事態になります。

 

 私ども市町村からしたら、市民の声を頂いて、すぐさま、「あなたの所はこういうことをしているけれども、それはおかしいのではないですか。市民から困惑した電話が掛かってきていますよ。そこは是正できるものなら、すぐさま是正してください」というお電話を掛けさせていただきます。それで、「それは申し訳なかった」と言って、すぐさま対応していただける所も多々ありますが、中には一切聞いてくれない所がある。「お前、誰にもの言うてんねん」という所も出てきます。

「お前、誰にもの言うてんねん」と言われたら、「私たちは市民の声をお伝えしています」という言い方をさせていただきます。

 

 しかしながら、それを県、近畿厚生局に上げていったところで、なかなか動いてもらえない。実際の話、国から動けというように、このガイドラインの中で定めていただければ有り難いのですが、こうなったら動けよと決めていただかなければ、はっきり言って動かないです。県のほうから文句が掛かってきても、私は受けて立ちますが、動かないです。一部、動いておられる都道府県もあります。ちゃんとした所もあります。そうしたら、それはどこで違うのかと言ったら、根性なのです。追い込みを掛ける根性があるのかどうかだけなのです。ごめんなさい、言葉は悪いです。別段、ケンカを売りに行っているわけでも何でもありませんしね。市民、県民、住民が紛らわしいので迷惑を被っている。

 これは先ほども出ましたが、スポーツをしている絵の下に「保険申請可」と書いてあるわけです。怪我をしたら仕方ないでしょう。早く治療してもらって、早く治してもらわないといけません。しかしながら、今日は 5,000m 走ったから疲れている、揉んでもらうと言って実際に行かれます。行かれるのは別段問題ないです。自費で行かれたらよろしい。でも、「保険申請可」と書いてあるので、保険申請できると思っておられます

そういう所に私、お電話させてもらったのですが、親からえらい剣幕で電話が掛かってきます。「いやいや、お父さん、こうこうこうなんですよ。施術所の先生から、そういう説明を受けられたでしょう」、「そんなもん、関係あるかい」という話になってしまいます。

 

 それを、きっちり現場に行って、「保険申請可というのは別に書いてもらえませんか」とか、「そういう絵は取り除いてもらえませんか」と。先ほども出ましたが、腰を曲げて、ここにクラッシュマークを付けて、腰痛に対して下に「保険申請可」と書いてあるわけです。

 

 怪我をされたら仕方ないです。当然のことです。でも、それで行かれるのは慢性の腰痛の方です。それを、きちんと先生は説明してくれたでしょうと。だから、きっちりした先生は説明してくれます。一部、説明しないで「署名もいいから、こっちで書いておくから」と言う方もいらっしゃいます。

 そういうところをきっちりしていこうと思うと、職員のやる気になってくるのです。それで各都道府県、各市町村で差があってはならない。かく言う私どもの所も、新規に開設しようという人がどんどん減っています。やめて隣町に行かれる方がいる、ちょっと間違った捉え方をしていただいていると思うのですが。

 そういうところで言っていったら、 2 時間の会議、この回数でガイドラインを決められますか。決めなければいけませんが、これだけ委員さんが集まって、いろいろな意見を出して、決めなければいけませんが、いろいろなケースがあります。

 私はケースを何本か出せよと言われたら、帰る新幹線に間に合わないほど出せます。東京の協会の方とも一緒にお仕事をさせてもらったこともあるし、当然、社団の先生方ともさせていただいています。いろいろなケースがあります。金額が何千万という不正請求から、 24 万ぐらいとか、 5,000 円とか、そういうところでやっているから今度訴えられるのですが、先ほど少し出ました受領委任のやり方で訴えられるのですが。

 今回は広告の検討会ということですので、極論、先ほどから言っています、根性論で仕事をしなければならないのかとなったら、今は男女同権で、女性の方も当然一緒に仕事をしてもらっています。かく言ううちも担当は女性です。女性だから良い悪いではないです。そういう場面に、上司としてかわいい部下を、ウワーッて怒鳴りつける所にお前行って来いって行かせられるかというと、やはりもう一人誰かついて行けよという話になります

 

 私どもは市内全域ですが、今は国保も県域化、平成 30 年度から全国で都道府県化されています。そうなってくると範囲が広くなって、国保の支援センターのほうが指導しに行くというのがしんどくなってくる。だから、ますますそういう悪い人らを、故意に違法行為をする人たちを、押さえ込むことができなくなってしまうので、ここについてはきっちり、そんな根性論で仕事をしなくていいように、先ほど先生も言ってくれましたが、そういう明文化できるガイドライン、いろいろな問題に対して明文化できるものを、ここで作らせていただきたいと考えています。長々とすみません。

○三橋構成員(柔整)

 いわゆる自由診療という部分で自由競争、実はここに一番引っ掛かってくるのは、今、我々柔整のほうでも一番問題になっているのが、ウェブサイトの広告なのです

いわゆる交通事故について、これも厚生労働省からしてみると、うちの範疇ではない、管轄ではないということで、はねられてしまうのです。(略)

 そこで、平成 26 年に医事課のほうから、いわゆる「交通事故専門」、「むち打ち専門」というのは違法広告ですよという文書は出してもらいました。しかしながらウェブサイトでは、今、例えば交通事故でその接骨院に行くと見舞金が 5 万円もらえるとか、本当に目を覆いたくなるような、いろいろな広告が出ています

しかしながら、なかなか持っていきようがない。その中で、例えば現在のところでは広告会社がウェブサイトを作りませんかと、うちなんかにも毎日のように電話が掛かってきます。そこに、今は弁護士事務所がついているんですね。弁護士事務所が同じようになって、こういう形で載せませんか、いわゆるコンサルティングしませんか、受けませんかという、弁護士事務所から毎日のようにダイレクトメールが入ってきます。そんな中で今、交通事故のウェブサイトというのは作り上げられているような状況もあって、これを何とかしなければいけないだろうと。

(略)

我々普通にやっている施術者からすると何とかしてほしい。特に今は昔と違って、自身で開業して施術所を持つのではなくて、いわゆる企業がグループみたいな形で、何十店、何百店という形で接骨院を増やしてやる。そうすると、全く同じような広告、全く同じようなウェブサイト、それを使って広告を広げていくような、その内容が本当に集客を目的とした内容なものですから。

(略)

 先ほど橿原市の委員がおっしゃいましたが、私も会員から近所に不正な広告、こんなのを上げているから何とかしてくれと言われて、保健所に行きました

保健所は取り合ってくれません。

それから、区役所に行きました。区役所も取り合ってくれません。都庁も行きましたが駄目です。警視庁も行きました、JARO も行きました。警視庁に行ったら、まず区役所に言って駄目だったら、もう一回言ってくれと。それでも駄目だったら、今度は都庁に持って行ってくれと。都庁で駄目だったら、もう一回都庁に言ってくれと。それでも駄目だったら警視庁に来てくれと。警視庁のほうからも、事件性がなければなかなか取り上げられないと、では、どこに持って行ったらいいのだということなのです。

 

 

 

 

床屋の肩叩きとマッサージの免許

bunshun.jp

 

いわゆるキャバクラヨガが違法マッサージ店であった、ということを報じる文春の記事である。

 

この記事への反応としてタイトルのような疑問が投げかけられていたので解説しておく。

下記記事も参照して欲しい。

binbocchama.hatenablog.com

binbocchama.hatenablog.com

 

上記の記事でも紹介したが、免許の必要なあん摩、マッサージ、指圧の定義としては一つの厚生省通知、2つの裁判例がある。

判例のほうが行政通知よりも法的価値が重いが、裁判例を受けて書かれた行政通知のほうがわかりやすいので通知のみ紹介する。

法第一条に規定するあん摩とは、人体についての病的状態の除去又は疲労の回復という生理的効果の実現を目的として行なわれ、かつ、その効果を生ずることが可能な、もむ、おす、たたく、摩擦するなどの行為の総称である。

通常の公衆浴場内や理容所内で、一般に、数分の間行なわれている程度の行為は、医学上及び社会通念上そのような効果を目的としているものとは判断し難いし、また実際にもそのような効果を生じ得ないものと考えられるが、所謂トルコ風呂等において行なわれている行為の中には、その広告、施術の実態等から判断して法第一条のあん摩に該当するものも多いものと考えられるので、あん摩師の免許を有しない者が、有資格者の直接、かつ、具体的な指示のもとに、即ちその補助者として(手足として)行なっている場合を除き、個室等において主体的に施術行為を行なっている場合は、実態を調査のうえ、取り締りの措置を講ぜられたい。*1

つまり床屋での肩叩きなどは「病的状態の除去又は疲労の回復」を目的としていないし、またそのような効果を生じるとは言えないから無免許で行っても取締の対象にはしない、ということである。

 

さて、今回の文春の記事を受けてポジティブスターヨガ(PSY)の庄司代表もブログを更新している。

ameblo.jp

記事の内容ですが、↓のブログの通り、
保健所の方ともこれまでのサービスが治療・医療目的や資格の必要なマッサージではなかった事を確認し合った上で、表記を修正するように言われておりました。

と書いているのだが、「指圧マッサージ」から「リラクゼーション整体」に変えられた後も

60分〜(以降30分単位でお選び頂けます)肩こり、腰痛、筋肉痛、ヨガ後のリラックスに、気軽に受けられる整体です。 

 腰痛、筋肉痛の痛みのためにうける施術って「治療・医療目的」じゃないんですかね?

 

渋谷区保健所の職員が「免許が必要なマッサージと断定はできない(違法じゃないとも、合法であるとも言っていない)」と言ったのをを都合よく解釈したのかしら?

 

保健所職員が「これは免許の必要なマッサージではない。」と断定したなら、どういう根拠でそう回答したのか、問い詰めたいところである。

 

キャバクラであることを偽装するなら免許が必要な業務と紛らわしい表現は避けていただきたいものだ。

*1:○あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所等に在学している者の実習等の取り扱いについて
昭和三八年一月九日医発第八号の二各都道府県知事あて厚生省医務局長通知

無免許マッサージは名称を変えれば合法になるわけではない(キャバクラヨガ関連)

下記の記事を読まれてない方は先に読んで欲しい。

 

binbocchama.hatenablog.com

文春で「キャバクラヨガ」と呼ばれたポジティブスターヨガ(PSY)で、「指圧マッサージ」というメニューがあった。

業として指圧、マッサージを行うためにはあん摩マッサージ指圧師という免許が必要である(あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律:以下あはき法)。

しかしPSYのインストラクター紹介に、あん摩マッサージ指圧師の免許を持っている記載はない。

なので健康目的での「指圧マッサージ」であるなら無免許マッサージで違法である。

風営法における「接待」を目的にした「指圧マッサージ」であるなら無免許でも問題ないが、それなら風営法における接待飲食店であるキャバクラに例えられるのは問題無い。

PSYの経営者である庄司ゆうこ氏は健全で、健康を目的にしたヨガスタジオである旨、主張し、キャバクラであることを否定しているので違法マッサージの可能性が高い。

 

無免許マッサージとの指摘を受けての庄司ゆうこ氏の行動とブログ

PSYのサイトで、サービスメニューに「指圧マッサージ」と書かれたことに気づいた鍼灸マッサージ師達がPSYに問い合わせたのだが、未だに返信は無いようである。

4/25のスクリーンショット

f:id:binbocchama:20180426214550j:plain

ポジティブスターヨガのサイトの「指圧マッサージ」の記述

 

その後、このメニューを「整体リラクゼーション」と書き換える。

商品・サービス|渋谷・恵比寿のヨガスクール【PSY】出張も受付中

それが「こっそり」とした書換であることも指摘されている。

「セクシー個室ヨガ」報道の庄司ゆうこ氏「ポジティブスターヨガ」に、”無免許”マッサージの疑い!健康増進目的でない「キャバクラヨガ」なら免許は不要なものの… | ゆるねとにゅーす

 

で、本日(2018/05/05)、庄司ゆうこ氏は下記のブログ記事を投稿する。

ameblo.jp

以下引用。改行消去及び強調は筆者による。

実は騒動のあと、保健所の方に来て頂いて運営の仕方に問題がないかを確認していただきました。。


お店のページの表記では「マッサージ」という言葉は使えないとの指摘を受けて、リラグゼーションという表現に変更をしております。

 

もちろん過去もこれからもリラグゼーションというメニューの内容に変わりはないのですが、表記を誤った事で迷惑をかけてしまった人がいたとすればとても申し訳ない気持ちですm(. .)m

とし、

もちろん現在は保健所の方とも相談のうえ問題の無い状態で表記・運営をしております!

 

と書いている。

「運営の仕方」と書いてあり、施術そのものについてのチェックを受けたわけではないと思われる。 

無免許マッサージの違法性は内容によって判断される。

無免許マッサージを禁じる、あはき法第1条をまた読んでみよう。

 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。

別に「あん摩、マッサージ若しくは指圧の名称を用いて」とは書いてないのである。

また免許が必要なあん摩・マッサージ・指圧の定義であるが、厚生省の通知では

法第一条に規定するあん摩とは、人体についての病的状態の除去又は疲労の回復という生理的効果の実現を目的として行なわれ、かつ、その効果を生ずることが可能な、もむ、おす、たたく、摩擦するなどの行為の総称である。*1

であるし、裁判例では

あん摩師、はり師、きゅう師及び柔道整復師法一条にいう「あん摩」とは、慰安または医療補助の目的をもって、身体を摩さつし、押し、もみ、またはたたく等の行為を言う。 *2

 と示されている。どちらにも「あん摩・マッサージ・指圧の名称を用いて」とは書いてない。

なお、公認心理師の場合は

公認心理師法第二条

 この法律において「公認心理師」とは、第二十八条の登録を受け、公認心理師の名称を用いて、保健医療、福祉、教育その他の分野において、心理学に関する専門的知識及び技術をもって、次に掲げる行為を行うことを業とする者をいう。

と定められているが、業務独占ではない。

 

庄司氏は「過去もこれからもリラグゼーションというメニューの内容に変わりはない」とブログ記事で述べている。

つまり施術内容に変更が無い。

 

名称変更前の施術内容について庄司氏は文春の取材に、従業員が林大臣に対して「指圧を一時間」したことを述べている。

 

また施術を受けた林大臣も「マッサージ」であることを認めている。

www.asahi.com

林氏は報道陣に「友人の紹介で5、6年前に通い始め、月に数回通っていた。一般的なヨガのレッスンとマッサージを受けていた」と説明。

つまり施術内容は指圧・マッサージであるから、名称を変更しようとも違法行為であることには変わりない。

なぜ「マッサージ」と名乗らなければOK、という風説ができたか?

医業類似行為

いわゆる治療行為を規制する免許制度として医師免許があることは皆さん、ご存知のとおり。

医師法第17条

 医師でなければ、医業をなしてはならない。

あはき法第1条は医師以外が業としてマッサージを行う場合にはあん摩マッサージ指圧師の免許が必要である旨を規定する。

そしてあはき法には医業類似行為というものを規制する条文がある。

第12条

 何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。

医業類似行為というのは何かと言うと

 「疾病の治療又は保健の目的でする行為であって医師、歯科医師、あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師等他の法令で正式にその資格を認められた者が、その業務としてする行為でないもの」*3

 と裁判で示されている。

簡単に言うと無資格者による、治療又は保健目的の施術行為である。

この目的に関しては定義が古いと思うので、薬機法における医薬品や医療機器の定義(目的)を参考にし、「疾病の診断、治療若しくは予防、又は人の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすこと」を目的にした施術、と定義し直すべきだと思う。

医業(医行為)と医業類似行為の違い

医師法第17条で書かれている医業とは

当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うこと*4

などとされる。

つまり医師法第17条で規制される医行為は「危害を及ぼすおそれ」が必要なのである。

それに対し、あはき法第12条で禁止される医業類似行為は本来、危険性は関係なかった。そのため医師法第17条違反が懲役刑もあるのに対し、あはき法第12条違反は50万円以下の罰金刑のみと、医師法違反よりも軽い罪である。

それが後述の最高裁判例により、禁止処罰するには「人の健康に害を及ぼすおそれ」の証明が必要になり、医師法第17条違反と区別がつかなくなるのである。

禁止処罰対象の医業類似行為を制限した昭和35年判決

HS式無熱高周波療法というものを行っていた業者があはき法第12条違反に問われた裁判で、最高裁は、医業類似行為を禁止処罰する際、「人の健康に害を及ぼすおそれ」の判示を求めた。*5

そのため、人の健康に害を及ぼさなければ無免許でも問題無い、という誤解が生じることになる。

その混乱がひどいので厚生省は通知を出す。

1 この判決は、医業類似行為業、すなわち、手技、温熱、電気、光線、刺戟等の療術行為業について判示したものであって、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復の業に関しては判断していないものであるから、あん摩、はり、きゅう及び柔道整復を無免許で業として行なえば、その事実をもってあん摩師等法第一条及び第十四条第一号の規定により処罰の対象となるものであると解されること。
従って、無免許あん摩師等の取締りの方針は、従来どおりであること。
なお、無届の医業類似行為業者の行なう施術には、医師法違反にわたるおそれのあるものもあるので注意すること。*6

つまり、無免許マッサージの取締に際しては「人の健康に害を及ぼすおそれ」の立証は不要である。

「マッサージ」とは違うと主張する無免許業者

無免許の手技療法に関する違法性の判断手順は下図の通り。

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手技療法があん摩・マッサージ・指圧とは違う場合、あはき法第12条の問題となり、人の健康に害を及ぼすおそれの有無の判断が必要となる。

この判断がなかなか大変なのは、昭和35年判決で差し戻しを受けた仙台高裁での判決を読むとわかる。複数の鑑定を行い、相反する結果が出ていたりする。

togetter.com

つまり「マッサージ」ではない場合、「人の健康に害を及ぼすおそれ」の立証が必要になるが、それは結構困難である。

だから「マッサージではない。」と主張されると保健所、警察も面倒くさがって調査・摘発しないのである。さすがに「マッサージ」と名乗っていれば違法性は明らかなので保健所も動いてくれるが。

死傷者が出ない限り、放置されているのが現状なのである。

そして死傷者が出た場合は業務上過失致死傷罪での処理となり、あはき法12条が裁判で争われることは無くなったのである。

牽連犯 - Wikipedia

 

なお、医業類似行為の違法性は人の健康に害を及ぼす「おそれ」があれば良いのであって、「害を及ぼさなければ違法ではない」という言説も嘘である。

 

すでに手技療法は「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」である。

消費者庁の報告

すでに無免許での手技療法(医業類似行為)による健康被害が多数発生しているのは国民生活センター消費者庁が報告しているところである。

http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_safety/release/pdf/consumer_safety_release_170526_0002.pdf

消費者庁には、「整体」、「カイロプラクティック」、「リラクゼーションマッサージ」などの法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術で発生した事故の情報が、1,483 件寄せられています(平成 21 年9月1日から平成 29 年3月末までの登録分)。

そのうち、治療期間が1か月以上となる神経・脊髄の損傷等の事故が 240 件と全体の約 16%を占めています。

もはや手技療法は一般的に「保健衛生上危害を生ずるのおそれなきを保し難い」(最大昭和33(あ)411)と言って良いレベルなのである。

手技療法というくくりが大きすぎるなら「整体」「リラクゼーション」といった単語で消費者庁事故情報データバンクを検索してみると良い。

それらの施術による健康被害の情報が出てくる。

事故情報データバンクシステム

この記事の作成中(2018/05/05)、「整体」で検索し、治療期間一ヶ月以上でフィルタリングしたら119件出てくる。

事故情報詳細(整体・骨盤矯正 事故情報ID:0000296161)_事故情報データバンクシステム

「リラクゼーション」の場合、治療期間一ヶ月以上の事故は13件であり、「リラクゼーションマッサージ」と表記されている場合が多い。

事故情報詳細(リラクゼーション 事故情報ID:0000286070)_事故情報データバンクシステム

事故情報詳細(マッサージ, マッサージ・指圧 事故情報ID:0000253153)_事故情報データバンクシステム

事故情報詳細(リラクゼーションサロンの整体 事故情報ID:0000209049)_事故情報データバンクシステム

 「整体」「リラクゼーション」が人の健康に害を及ぼすおそれのある行為であることは明白だろう。

立証責任

 さて、無免許施術(医業類似行為)の違法合法を判断する際、誰に立証責任があるだろうか?

あはき法第1条違反を指摘するなら

  • 無免許業者の行なった施術がマッサージであること

あはき法第12条違反を指摘するなら

  • 無免許業者が行った行為が「人の健康に害を及ぼすおそれがあること」

を立証しなければならない。

 

手技療法の一般的な危険性を示す公的なデータが有るのは前述のとおりである。

この場合、手技療法あるいは「整体」「リラクゼーション」などを行っている無免許業者が合法性を主張する場合、自らが行っている施術が「人の健康に害を及ぼすおそれ」が無い旨、証明しなければならないだろう。

 

現在まで健康被害が生じていない、というのは安全性の証明にはならず、医師などから検証を受けなければ「安全である」証明にはならない。

 

このことは大阪ズンズン運動事件の損害賠償請求の裁判で示されている。

「ズンズン運動」で男児死亡、元NPO理事長に有罪判決 大阪地裁 : J-CASTニュース

また,平成17年9月27日に新潟市f区内の家屋に開設したサロン(以下「新潟サロン」という。)において,身体機能回復指導を施術していたところ,施術を受けていた男児が,一時的に窒息状態となり救急搬送される事件(以下「新潟第1事件」という。)及び平成25年2月17日に同サロンにおいて身体機能回復指導を受けていた児童(当時1歳10月)が死亡する事件(以下「新潟第2事件」という。)が発生し,被告D(筆者注:理事長、施術者)は,被疑者として取調べを受け,その際,身体機能回復指導については,医師等の専門家にお墨付きを得るようにとその安全性を確認するよう促され,その危険性を指摘されていたのである。

 

また,被告Eは,本件事故が起こるまで,身体機能回復指導が乳児の発達に有用であることが広く乳児の保護者に認識され,被告Dは,延べ数千回もの施術を行ってきたこと,新潟第2事件は死因が明らかではないとして被告Dの刑事責任は問われていないことを理由に,被告らにおいて,身体機能回復指導の危険性を予見することはできなかったと主張する

 しかしながら,上記説示したとおり本件施術を含むうつ伏せにさせた状態で頸部をもんで刺激を与えるといった身体機能回復指導自体が有する乳児の窒息の危険性に鑑みれば,身体機能回復指導が本件事故までに数千回行われている実績があるとしても,その危険が現実化しなかったに過ぎず,数千回に及んで身体機能回復指導が行われたことをもって,被告らにおいて同施術の危険性の予見ができなかったとはいえない

binbocchama.hatenablog.com

 なのですでに事故報告がされているのと同じ療法(手技、整体、リラクゼーション)を行うのであれば、自分が行う施術方法が人の健康に害を及ぼすおそれが無い旨、医師に確認してもらわなければ到底、合法な施術とは言えない。

「黒ではない」ではなく、「白である」ことを証明しなければならない。

 

無免許業者に許される行為は「患者に危害の及ぶことがなく、かつ、判断作用を加える余地に乏しい機械的な作業」に限られる。

無資格者に相対的医行為(医師が看護師に行わせることができる医行為)をさせていたとして、医師が保健師助産師看護師法違反に問われた裁判がある。*7

 

一連の事件を総称して富士見産婦人科病院事件という。

富士見産婦人科病院事件 - Wikipedia

さて、この裁判では被告人である医師が、前述のあはき法第12条に関する昭和35年判決を引用し、無資格者に行わせていた行為は「人の健康に害を及ぼすおそれのない行為」だから無罪と主張した。

 それに対し、東京高裁は無資格者に行わせることができる行為の基準として、見出しの「患者に危害の及ぶことがなく、かつ、判断作用を加える余地に乏しい機械的な作業」を示し、被告人が無資格者に行わせた行為はこれらの基準を逸し、「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」であるとして、有罪にした。

 

医事法判例百選 第2版 (別冊ジュリスト 219)

医事法判例百選 第2版 (別冊ジュリスト 219)

 

 10ページに本事件の解説がある。

なお、この事件で有罪とされた行為は

  • 超音波検査
  • 心電図検査
  • 筋膜の縫合糸の結紮

2つの検査に関しては

無資格者が検査を実施する場合には、誤った観察や判定をする危険が常に多分に存在し、ひいては検査結果を医師の診断、治療の用に供することによって、その診断等を誤らせる危険性があるものといわざるをえない。

とし、「無資格でしていた本件検査は、人の健康に害を及ぼすおそれのあるものであったと認められ、これに違法性がないということはできない。」と判示している。

縫合糸の結紮に関しては

本件各筋膜の縫合糸の結紮としてBがしていたことは、比較的単純な作業であるといえないでもないが、患者の腹部の手術創に直接手を触れたうえ、細密な縫合状況についての視認結果と指先の感触に基づき、自らの判断を加えながら、縫合糸を結ぶことによって創口を閉鎖することであり、それ自体として患者の身体や健康状態に重大な危害を及ぼすおそれがあるのはもとより、微妙な判断作用を伴う機械的とは到底いえないものであって、医師による監督監視の適否を論ずるまでもなく、無資格者が医師の助手として行うことができる行為の範囲をはるかに超えているといわなければならない。

と判示している。

よく、マッサージの定義のごとく言われる通達で、

施術者の体重をかけて対象者が痛みを感じるほどの相当程度の強さをもって行うなど、あん摩マッサージ指圧師が行わなければ、人体に危害を及ばし、又は及ぼすおそれのある行為については、同条のあん摩マッサージ指圧に該当するので、無資格者がこれを業として行っている場合には、厳正な対応を行うようお願いする。*8

というのがあるが、これはまさに体重のかけ具合を施術者が判断する必要があることを示しているのである。

なお、これは違法性を断定するのに十分な条件であって、免許が必要なマッサージの定義ではない。

 

こんな具合に「無免許の手技療法が安全(合法)とは断定できない」と立証するのは容易である。

判例変更の可能性

さらに言えば昭和35年の判例は学説でも批判が多い。

あはき法広告規制の昭和36年判決では11名中10名の裁判官が昭和35年判決の判断をしている。

4名の裁判官が、昭和35年判決では多数派(禁止処罰対象は限定すべき)だったのに、昭和36年判決で多数派(規制は厳しくあるべき)に転向しているのである。

あはき法に関わると思われる最高裁判所大法廷判決 - びんぼっちゃまのブログ

そして昭和40年の薬事法違反判決では、人の健康に害を及ぼすおそれとは無関係に、「医薬品の販売業につき登録制を定めた旧薬事法第二九条第一項は、憲法第二二条第一項、第二五条に違反しない。」と判示するようになる。

そしてこの大法廷判決を引用する形で、小法廷は未承認医療機器の製造に関し、

薬事法一二条が製造業の許可を受けないで業として製造することを禁じている医療用具で同法二条四項、同法施行令一条別表第一の三二に定めている「医療用吸引器」は、陰圧を発生持続させ、その吸引力により人(若しくは動物)の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること又は人(若しくは動物)の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことを目的とする器具器械であれば足り、必ずしも電動力等の強力な動力装置を備えているもの又は専ら手術に用いられるものに限定されず、また、人の健康に害を及ぼす虞が具体的に認められるものであることを要しない

 と判示するのである。

医療とは関係ないが、昭和48年の全農林警職法事件では、スト権に関し、それまでの合憲限定解釈の判例を変更する。

合憲限定解釈 - Wikipedia

 

そして、消費者庁国民生活センターによって医業類似行為による健康被害が報告されているのである。

この状況であはき法第12条の解釈を裁判所に求めたとき、昭和35年判例を維持すべきと裁判所が考えると思えないのである。

昭和35年判例の維持は憲法25条第2項および憲法31条に反する。

*1:○あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師の学校又は養成所等に在学している者の実習等の取り扱いについて
昭和三八年一月九日医発第八号の二各都道府県知事あて厚生省医務局長通知

*2:清水簡易裁判所昭和34年10月7日判決 昭和34年(ろ)50号 下級裁判所刑事裁判例集1巻10号2144頁

*3:仙台高裁昭和28年(う)375

*4:

http://www.mhlw.go.jp/stf2/shingi2/2r9852000000g3ig-att/2r9852000000iiut.pdf

*5:

http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51354

*6:○いわゆる無届医業類似行為業に関する最高裁判所の判決について 昭和三五年三月三〇日 医発第二四七号の一各都道府県知事あて厚生省医務局長通知

*7:保健師助産師看護師法違反事件
東京高裁昭和63(う)746 判例タイムズno.691 1989.5.15 p152
東京高裁(刑事)判決時報40巻1〜4号9頁

*8:平成15年11月18日付
厚生労働省医政局医事課長の回答 長崎県福祉保健部長の問い合わせに対して