読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

内容証明と遺留分減殺請求の思ひ出

素人による内容証明に関していろいろTLに流れてきているので。

miurayoshitaka.hatenablog.com

 ちなみに私は内容証明を受けたのは1回、出したのは3回の法律の素人である。

 

普通の人は内容証明郵便を受け取るとまずビビるわけです。

この心理的効果をうたっている行政書士のサイトも多い*1

 

しかし内容証明って強制力のある命令や判決文ではないんですよ。

この文面の手紙をこの日に相手に届けましたよ、と郵便局が証明してくれるサービスにすぎない。

 

ただ、請求などの意思表示をいつしたのかを第三者によって証明されるので、意思表示の有無や時期を争われることが無くなる。

 

私が初めて内容証明郵便に触れたのはタイトルの遺留分減殺請求です。

 

まず遺留分減殺請求についての説明を。

あくまでも素人の解説だから鵜呑みにして行動した際の責任は取りませぬ。

 

亡くなった人(被相続人)が遺言書を残している場合、相続はその遺言どおりになるわけです。

しかし被相続人の配偶者、および子には遺留分といって、遺言書の内容に関わらず、法定相続分の半分を相続する権利があるんです*2

 

で、この権利は相続開始を知ってから1年以内に請求しなければ消滅します。

被相続人の死後、1年以内に遺留分減殺請求をした。」という事実を証明するために内容証明郵便を送る必要があるわけです。

 

この遺留分減殺請求の内容証明郵便を送ってきたのは腹違いの兄姉の代理人の弁護士だったのですが、送付時に私の母(当たり前だが、被相続人である父の妻)も亡くなっていたせいか、遺留分に関し、母を無視した取り分を請求してきた。

 

父は遺言書で母に全財産を相続、その母もすぐ亡くなったので母の一人息子である私が父の全財産を相続した状況である(だから私に対して遺留分減殺請求がされた)。

 

自分の知識と違う遺留分割合を弁護士が言ってくるから非常に困惑するのである。

内容証明が届いた日、たまたま司法書士に用事があったので相談すると彼らも困惑していた。

なので正しい遺留分割合を知らせる返事を内容証明で送る*3

今考えると放置でも良かったのだが、当時は裁判手続きに関する知識が無いための不安、および母の存在を無視されたことによる怒りもあった。

 

 

そして調停の呼び出しまでは放置でいいよ、と司法書士に言われる。

 

で、話を一旦内容証明に戻そう。

 

行政書士のサイトに書かれていた内容証明のテクニックとして、書類などの証拠がない状態で貸した金の返金を求める際、実際に貸した金額よりも高い金額を貸したことにして内容証明を出す、というのがあった。

 

こうすると借りた相手は実際に借りた金額は○○円だ!、と内容証明で返事してくることが多く、それを証拠にするらしい。

 

 

というわけで過剰な請求に対し、一人で内容証明で反論するのは止めておきましょう(借りた金は返すべきだが)。

 

こういうテクニックを知ると、遺留分を過剰に請求してきたのは何らかのテクニックか?と思い、警戒してしまう。

 

仮に内容証明の内容が正しく、司法書士に行く用事もなかったら相手の弁護士にホイホイ連絡して、いいように丸め込まれたと思うので結果的には私にとって良かったのだろう。

 

で、調停の呼び出しが来る。 

まず、送られてきた内容証明の間違いに関し、どういうつもりだ?、と調停委員に伝えたら、相手の弁護士は平謝りだったそうである。

時効が近かったのでちゃんと確認せずに出したとのこと。

 

で、相手の主張の書面ですが、私の大学の授業料や仕送りを特別受益として主張してくる。

それで遺産総額を増やして、遺留分を増やすという作戦です。

 

 1回目はこちらからは特に主張もせず、その書面を持って司法書士に相談する。

さすがに対応できない、ということで弁護士を紹介してもらう。

 

で、当方の弁護士いわく、「仕送りは特別受益じゃない」とのこと。

「親族間の扶養としての援助の範囲」ということらしい。

 

www.souzokulaw.jp

今は知識があるのでググれるが、当時は知識がなく、不安を解消するために検索してもこのような情報にはたどり着けなかった。

 

仕送りを特別受益から排除できただけでも弁護士費用の価値はあった。

で、学費だと特別受益の対象にはなるが、母が払っていた、ということで。

 

共稼ぎなので夫婦で半額ずつ負担しても良いのですが、学費と仕送りをそれぞれ全額払ってもおかしくないわけです。

 

というわけでこちらが弁護士をつけた後の調停では学費や仕送りは問題にならず。

 

しかし相手の弁護士のこのような対応は、こちらの無知につけこんで過剰な請求をしてくる悪徳弁護士だ、というイメージを作らせる。

 

弁護士というのは依頼者の利益のために働く者である、という点では正しいかもしれないが、相手に弁護士がついただけで引っ込めるような主張をするのは弁護士業界のマッチポンプという見方もあろう。

 

もっともそのような主張をしないと依頼者が納得しない、ということもあるかもしれないが。ましてや相手に弁護士がついてないときには。

 

 

で、調停成立。

結局法定相続と変わらない割合を相手に支払うことに。

 

しかも親父の残した遺産の殆どは住んでいる家だったから、こちらから現金持ち出しである。

 

生計の維持や介護などをしてくれてたならともかく、そんなことをしていない姉(親父が死んだときに初めて存在を知った)が、介護をしていた後妻や同居の息子(私だが)から金を奪っていけるこの遺留分減殺制度ってどうなのよ?

 

当時は法律はそんなもの、って考えだったのだが今にして思うと、遺言書を残した被相続人の財産権を侵害して違憲ではないか?と思うのである。

 

もっとも

弁「向こうはこれぐらいの額じゃないと納得出来ないらしい」

私「そんなに払ったら弁護士費用払えませんよ」

弁「いくらぐらい掛かると思っていた?」

私「これぐらい」

弁「そんなにかからないよ。弁護士費用まけるからこの額で合意できない?」

私「わかりました」

 

という状況だったので、当時、違憲の疑いを抱いたとしても最高裁まで争うこともできなかったが。

 

ちなみに遺留分制度の違憲性を問題にした判例は無いらしい。

遺留分制度の主旨は遺族の生活保障を目的としているそうだが、むしろこの制度のために、生計を一にしていた遺族が困窮に陥りそうになったんですが。

 

 と、こんな経験をしているので自分の子供が、親権を持たない子を持つ者と結婚したいと言ったら猛反対必至である。

 

うちの娘と結婚したいなら、君の子供に遺留分放棄をさせてからにしなさい、と。

裁判所|遺留分放棄の許可

もっとも未成年じゃ遺留分放棄はできないだろう。

 

私に子供はいないけどな。

 

法制審議会では配偶者に対する住宅の遺贈に関して、相続財産から外す案が出されているようです。

 

法制審、配偶者の居住用不動産の相続に優遇案を検討 - ゼイタックス

 

 

というわけで親権を持たない子を配偶者とされた皆様、お子さまの仕送りなどの生活費は配偶者に負担していただき、ご自身は学費を出しましょう。

 

どのような対策が必要か、あらかじめ弁護士に相談しておくといいかもしれません。

 

だいぶ内容証明から逸れました。

 

件のPTAに関しては

  • 加入する意思がない
  • 今後、勧誘するな

という内容だけで良いのではないか、と思います。

法解釈なんてわざわざ書かなくても良い。

 

事実関係は両刃の刃。

内容証明で書いた事実は、送り主が認めた事実という証拠になりますから。

 

というわけで素人が一人で内容証明を書く場合、意思表示だけに留めた方が良いと思います。

 

私が出した内容証明としては

「勝手に私の印鑑を使うな*4

というのがあります。

勝手に印鑑を使ったら有印私文書偽造で訴えるぞ、なんては書きません。

 

 

もう一通はそんなので内容証明を出したのか?

策に溺れた法律マニアめ!

と言われかねない黒歴史である。

目的は果たせたが。

 

今にして思えば普通の手紙(せいぜい書留)で十分だったのである。

 

というわけで時効や意思表示の有無が問題になる場合のみ内容証明を使うべきじゃないんだろうか?

それ以外なら弁護士に相談したほうがいい方法を提案してもらえるかもしれない。

 

そういや無免許業者などに対しては内容証明を送ったことはないなぁ。

せいぜい書留ぐらいである。

binbocchama.hatenablog.com

 

この場合は第三者に対してか。

*1:そんな心理的圧迫が必要な案件に関わること自体、非弁行為な気もするが

*2:尊属は3分の1らしい

*3:認定司法書士とは言え、家事案件で内容証明を書くのは非弁行為な気もする。書類作成だけだから大丈夫?

*4:実際はもっと柔らかい表現ですよ