「当分の間、取締りを行わなくても差し支えないこととします」という行政通知

この度の北海道胆振東部地震の被災者の皆様にお見舞い申し上げます。

さて、今回の地震で下記のような通知が消費者庁から出されております。

 

 

http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_180907_0001.pdf

平成30年北海道胆振東部地震を受けた食品表示法に基づく食品表示基準の運用について

食品表示法(平成 25 年法律第 70 号)においては、食品表示の適正の確保のため、食品表示基準(平成 27 年内閣府令第 10 号)が定められているところです。
一方で、平成 30 年北海道胆振東部地震による被害により、被災地への食料の円滑な供給が重要な課題となっていることを踏まえ、引き続き適正な食品表示がなされていることが重要ではあるものの、食品の譲渡・販売の態様等を総合的に勘案し、食品の安全性に係る情報伝達について十分な配慮がなされていると判断されるとともに、消費者の誤認を招くような表示をしていない場合には、平成 30 年北海道胆振東部地震において災害救助法(昭和 22 年法律第 118 号)の適用を受けた被災地において、譲渡又は販売される食品については、必ずしも食品表示基準に基づく義務表示事項の全てが表示されていなくとも、当分の間、取締りを行わなくても差し支えないこととしますので、適切な対応をお願いします。

なお、アレルギー表示及び消費期限については、被災者の方々の食事による健康被害を防止することが何より重要であるため、従来どおり個々の容器包装に表示する必要があることから、これまでどおり、取締りの対象となりますので、適切な対応をお願いします。

 

http://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/information/pdf/food_labeling_information_180907_0002.pdf

平成30年北海道胆振東部地震を受けた乳児用液体ミルクの取扱いについて

健康増進法(平成 14 年法律第 103 号)の規定に基づく特別用途食品(健康増進法に規定する特別用途表示の許可等に関する内閣府令(平成 21 年内閣府令第 57 号)第1条第3号に規定する特定保健用食品を除く。以下同じ。)制度は、販売に供する食品につき、乳児用等の特別の用途に適する旨の表示をしようとする者は、消費者庁長官の許可を受けなければならない又は外国においてその旨の表示をしようとする者は、消費者庁長官の承認を受けることができる制度です。
平成 30 年8月8日に、乳児用液体ミルクの普及実現に向けて、特別用途食品における乳児用調製液状乳の許可基準を設定・施行したところですが、本日時点で乳児用調製液状乳の許可品目がない状況にあります。
一方で、平成 30 年北海道胆振東部地震による被害により、被災地への食料の円滑な供給が重要な課題となっていることを踏まえ、引き続き適正な表示がなされていることが重要ではあるものの、食品の譲渡・販売の態様等を総合的に勘案し、食品の安全性に係る情報伝達について十分な配慮がなされていると判断されるとともに、消費者の誤認を招くような表示をしていない場合には、平成 30 年北海道胆振東部地震において災害救助法(昭和 22 年法律第 118 号)の適用を受けた被災地における使用を目的として譲渡・販売される、母乳代替食品としての用に適する旨を表示した
乳児用液体ミルクについて、特別用途食品制度における乳児用調製液状乳の許可及び承認を受けていない場合も、当分の間、取締りを行わなくても差し支えないこととしますので、適切な対応方よろしくお願いします。
ただし、アレルギー表示及び消費期限については、被災者の方々の食事による健康被害を防止することが何より重要であるため、従来どおり個々の容器包装に表示する必要があり、これまでどおり、取締りの対象となります。
なお、海外から輸入された乳児用液体ミルクを譲渡・販売する際にも、消費者の食品選択上、必要な情報が適切に提供されることが必要なため、容器包装に記載された母乳代替食品の目的や使い方、注意事項等の情報は食品に近接したポップや掲示、付属の紙などにより、消費者に提供されることが望ましく、このため、事業者等から問合せがあった場合にはその旨御指導いただくようお願いします。
あわせて、食品衛生上、開封後の飲み残しは保管しない旨、御指導いただくようお願いします。

 

それぞれの法律を確認したわけではないが、法律上必要な表示を行っていない、承認を受けて無くても被災地で販売される食品や液体ミルクに関しては取締をしない、という通知である。

 

医業類似行為(無免許施術)に関してはもともと、行っただけで禁止処罰対象にしているのだが、昭和35年判決で「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」のみに禁止処罰を限定した。

 

そのため、無免許施術が放置されている状況である。

 

昭和35年判決に関し、

  1. 無免許施術の健康被害も報告されているのだから判例変更して、全ての無免許施術を禁止すべき。
  2. 人の健康に害を及ぼすおそれの無い無免許施術の存在を法律で認め、その上で様々な義務・禁止事項を課すべき。

 

という考え方がある。

2の対応は昭和35年判決の固定化であり、1の立場からは受け入れ難い。

しかし1の立場では無免許業者に対し、禁止事項を課すことは可能であるが、作為義務を課すことが難しい。

この場合の作為義務というのは

  • 手技療法にあん摩マッサージ指圧師という法定の免許制度があることの説明。
  • 自分たちは免許を有していないことの説明。
  • 自分たちが行える行為は機械的な行為に限られ、判断を要する行為(問診、触診、検査、身体状況の説明など)はできないことの説明。
  • 利用者が上記説明を受け、理解した旨の書面の受理。
  • 医師などの専門から、患者に危害を及ぼす恐れが無い旨の証明を受けること。

といったところである。

 

で、このように違法だが条件次第では取締を行わない、という行政の対応は参考になるかと思った次第である。