(追記など)
2020/12/28
本記事を含む、当ブログ記事に関してJACから発信者情報開示請求がはてな社に対して行われたが、非開示の決定がされた。
公明党の遠山清彦衆議院議員が財務副大臣在任時に便宜を図った、日本カイロプラクターズ協会によるSLAPP(言論弾圧)を退けました。 - びんぼっちゃまのブログ
2020/10/15
JACの申立により一部記述を変更。
2019/12/14
一般の方にわかりやすいようにタイトル等にあん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会と、正式名称と厚労省へのリンクを追記。
一般向けの説明を追加。
2019/11/29
JACの業種比較表を追記。
記事タイトル変更
- あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会で出てきた「非医業類似行為」という言葉
- 遠山清彦財務副大臣と日本カイロプラクターズ協会による、厚労省医事課長への意見書手渡し
- 意見書の内容
- 「非医業類似行為」は厚労省官僚の抵抗?
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会で出てきた「非医業類似行為」という言葉
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師及び柔道整復師等の広告に関する検討会(以下、広告検討会)で無資格者(整体、カイロプラクティック、リラクゼーションなど、名乗るのに免許が不要な業者)のことを「国家資格外行為」と呼んでいたのに、第8回の検討会(2019年11月14日)で、「非医業類似行為」と呼び方が変えられた。
(追記部分)
あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師、柔道整復師というのは法律で定められた医療系国家資格である。
一方、整体師やカイロプラクターなどは誰でも名乗れる。
この手の手技療法による健康被害が多数報告され、後述するように、国民生活センターは行政に対し、一般消費者が、施術者の国家資格の有無がわかるようにする対策を要望した。
そのため、無資格者の広告についてもガイドラインを作ることになったが、前述のように「国家資格外行為」という表現から「非医業類似行為」という表現に改められ、国家資格の存在と有無がわかりにくくなり、国民生活センターの要望とは真逆の動きとなった。
その真逆の動きをさせたのが、自身では国民生活センターの要望に答え、安全対策を実施していると喧伝している一般社団法人 日本カイロプラクターズ協会である。
(追記終わり)
そしてこの「非医業類似行為」という表現をしないように求める署名活動までされている。
キャンペーン · 厚生労働省・あはき柔整広告検討会は「非医業類似行為」という意味不明な言葉を作らないでください · Change.org
2019年3月18日に行われた第6回検討会まで、厚生労働省が作成した会議資料では、無資格医業類似行為を表す言葉として「国家資格外行為」という言葉が使われていましたが、2019年11月14日の第8回検討会資料で、初めて「非医業類似行為」という新しい言葉が登場しました。
遠山清彦財務副大臣と日本カイロプラクターズ協会による、厚労省医事課長への意見書手渡し
さて、検討会の前の11月12日、カイロ団体である一般社団法人 日本カイロプラクターズ協会(以下、JAC)の幹部たちが、公明党の遠山清彦財務副大臣(衆議院比例九州)を伴って医事課長に面談し、意見書などを渡している。
11/12 衆議院議員遠山清彦氏から厚生労働省医政局医事課長の佐々木健氏に「第10回登録者名簿(登録カイロプラクター名簿)」が提出された
— 日本カイロプラクターズ協会 (@JACChiropractic) 2019年11月14日
今回で日本カイロプラクティック登録機構の登録者総数は561名 pic.twitter.com/drZp4gMhDd
日本カイロプラクターズ協会から厚生労働省に対して
— 日本カイロプラクターズ協会 (@JACChiropractic) 2019年11月14日
「法律的に問題のある行為についての対策に関する要望書」
と
「専門的職業であるカイロプラクターに関する意見書」
が提出。
法律的に問題のある行為についての対策に関する要望書
https://www.jac-chiro.org/pdf/pressrelease/2019_11_12_document.pdf
専門的職業であるカイロプラクターに関する意見書
https://www.jac-chiro.org/pdf/pressrelease/2019_11_12_opinion.pdf
公印を押したのをスキャンしてPDFにしたのか、テキストとしてコピペできない。
なのでスクリーンショットや要旨で引用する。
意見書の内容
JACからの表現・言葉の提案
で、最初に書かれているのはこんな感じである。
線や強調は筆者による。以下同様。
JACは広告検討会の開催を知っていたようだし、議事録も読み込んでいるようである。
ここでは
- 無資格者
- 法的資格制度がない職業
- 法的資格制度がない医療(ヘルスケア)従事者
といった言葉が並ぶ。
「無資格者」と表現するのは止めて「法的資格制度がない(職業 or 医療従事者)」と表現するように提案している。
この文書では「国家資格外行為」という表現をしないようには求めていない。
表現から受ける印象の違い
さて、「国家資格外行為(者)」と「法的資格制度がない職業」では受け取るイメージが異なると思う。この意見書では「国家資格外行為」という表現に触れていないので、「法的資格制度がない職業」から受ける印象を先に考える。
「法的資格制度がない職業」から受ける印象
このような表現からは法的資格制度や国家資格の存在が認識されないのでは無かろうか?
例えば風俗嬢は「法的資格制度がない職業」である(店の営業自体には警察、公安委員会の認可が必要であるが。)。
風俗嬢というと曖昧だから「異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務*1を提供する者」と定義づけてみる。
性風俗の営業はソープランド、ファッションヘルス、デリヘルなど色々ありますが、*2異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務」をする者に関しては法的資格制度は有りません。どの業種で働くとしても法的資格は無いのです。
「国家資格外行為(者)」から受ける印象
これは国家資格の「外」という表現ですから当然「内」というものを意識させられる。
この表現を見た人は、同じような業務で国家資格制度があるのではないか?と思うだろう。
この言葉に関し、意見書では何も触れていない。
しかし「法的資格制度がない職業」というのを提案している以上、医師以外に、保健目的で独自に施術できる国家資格制度が存在することがわかる表現はするな、という意図があると思ってしまうのは陰謀論が過ぎるだろうか。
また口頭で何を言ったかまでは記録されていないわけである。
活動報告によると
国内や海外のカイロプラクティック業界の現状について意見交換が行われました。
ということだが。
遠山清彦財務副大臣は国民の安全をどう考えているのか?
JACは国民生活センターが手技療法の健康被害に関する報告書を発表したのに応じ、ガイドラインの制定や安全教育プログラムなどを整備した、と喧伝している。
JCR試験受験資格プログラム・安全教育プログラム::一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)
今回、国民生活センターから、手技(カイロプラクティックを含む)による健康被害を予防するための策を講じる旨の要請を受けました。
そこで本会ではカイロプラクティック従事者に対して、施術の安全性を担保するために必要と考えられる医学的知識と、禁忌症の判別および対処能力(リスクマネジメント)を学習することを目的とした、業界初の「安全教育プログラム」を開講いたします。このプログラムは、WHOガイドラインで提示されている教育基準を満たしていないカイロプラクティック従事者をWHO基準カイロプラクターのレベルに高めることが目的です。プログラム修了後は、国際的な第三者試験委員会による試験を受験し合格することで、WHO基準を満たすカイロプラクターとして日本カイロプラクティック登録機構(JCR)に登録されます。そして登録名簿が社会に公示されることにより、消費者が一定レベル以上の施術者を選択できるようになります。
さて、肝心の国民生活センターの報告書であるが、問題点として
消費者が施術所や施術者を選ぶ際に、施術所に国家資格であるあん摩マッサージ指圧師や柔道整復師などの有資格者がいるかどうかを見分けることは困難である。
とし、行政への要望として
消費者が、法的資格制度のあるあん摩マッサージ指圧若しくは柔道整復を行う施術所と法的資格制度のない施術を行う施術所を容易に見分けることができるよう、関係機関に注意喚起を行う等の対策を講じるとともに消費者に対する周知・啓発を行うよう要望する。
と国家資格の有無を容易に見分けられるようにしろ、という要望がある。
これは当然、国家資格制度の存在を周知させることも含むだろう。
国家資格制度の存在を知らなければ国家資格の有無を見分けることもできない。
JACが作成した、「カイロプラクティックの安全性に関するガイドライン」がある。
https://www.jac-chiro.org/pdf/guidelines/chirosafety.pdf
そこにはカイロプラクティックの定義として
神経筋骨格系の障害とそれが及ぼす健康全般への影響を診断、治療、予防する専門職であり、関節アジャストメントおよび(もしくは)マニピュレーションを含む徒手治療を特徴とし、特にサブラクセーションに注目する
とある。
「診断」という時点で医師法違反とも言えるが、神経筋骨格系の障害の治療等は鍼灸マッサージ師も行なうものである。
医師以外で「神経筋骨格系の障害の治療等を行なう職業」は「法的資格制度がない職業」では無い。
--(2019/11/29追記)--
JACも自ら「神経・筋骨格系(運動器系) 医療業種の比較」という資料を作っている。
その比較にはカイロプラクターの他に、整形外科医、PT、鍼灸マッサージ師、柔道整復師といった国家資格の職業が挙げられている。
https://t.co/ouJNyhDl8f
— 日本カイロプラクターズ協会 (@JACChiropractic) 2019年11月29日
当会では行政との間での意見交換をもとに 「筋骨格系(運動器系) 医療業種の比較」 表を数年前に作成
筋骨格系分野に携わる日本の医療業種・職種の表で、整形外科・理学療法・鍼灸・カイロ・あんまマッサージ指圧・接骨・整体・リラクゼーションの業種を比較しています。
https://www.jac-chiro.org/pdf/data/healthcomparison.pdf
自らカイロプラクターを「神経・筋骨格系(運動器系) 医療業種」と定義づけていること、そして国家資格者と比較されうるものという認識を示す資料といえる。
それで国家資格制度の存在を隠蔽するような表記を求めるのは国民生活センターの要請に反するものでないのか?
--(追記終わり)--
このような状況で、国家資格制度の存在を隠すような表現を求める遠山副大臣は国民・消費者の安全に関してどう考えているのか?
遠山議員が所属する公明党では目指す社会・政策として
「公明党」は、<生命・生活・生存>を最大に尊重する人間主義を貫き、人間・人類の幸福追求を目的とする、開かれた国民政党です。
と記載している。
このような国家資格制度の隠蔽に、与党議員・副大臣として影響力を行使することが生命を最大に尊重することなのか?
無資格施術で子供を殺された親は
子育てサロン、ベビーサロンは赤ちゃんと親達が安心して過ごせる場所であり、安全なことのみが行われるものだと思っていました。ベビーマッサージ等の行為は無資格で広く行われていますが、私たち幼い子を持つ親にはそれが安全なものかどうかの判断がつきません。息子や私たちの苦しみを他のお子さんやご家族に味わわせたくありません。そのためには、姫川容疑者には真実を話してもらいたいと思います。また、ベビーサロンのような場所で同じことが二度と起きないよう、行政にも何らかの対応を検討していただきたいと思っております。
と話している。
JACは自らの正当性を医業類似行為や医療関連性があることに求めている?
さて、また意見書に戻ろう。
現在の日本でカイロプラクターが専門的職業として認知され、カイロプラクティック専門の臨床が行える根拠を以下に述べます。
とあり、おおよその内容として(コピペできないので要旨)
- 昭和35年判決の結果、カイロプラクティックの開業が事実上放任
- 1970年の厚生省通知でカイロプラクティックはあん摩マッサージ指圧に該当しない
- 1991年の厚生省通知で法的資格制度に基づかない医業類似行為に分類
- 仙台高裁の判決では医業類似行為は「疾病の治療又は保健の目的でする行為であって医師、歯科医師、あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師等他の法令で正式にその資格を認められた者が、その業務としてする行為でないもの」とされる。
- ハローワークではカイロプラクターをサービス業や保健・医療・福祉の職業として分類している。
- カイロプラクティック業務に特化した賠償保険が40年以上存在
- 経済産業省、総務省はカイロプラクティックを医療・福祉に分類
- 厚労省はWHOガイドラインや海外でカイロの有効性が認められていることを認識している旨、国会で答弁している。
- 国民生活センターの要請を受け、ガイドラインを作成し、安全教育プログラムを作った。事実上一体化している組織である日本カイロプラクティック登録機構の名簿を2014年から定期的に厚労省に届けている。
- 消費者庁の報告書へのイチャモン(これを本気で根拠にできると考えているのだろうか?)
- 文科省はカイロプラクテイックを医療関係に分類
- 観光庁などが学術団体として支援している
6番は自ら医師法第17条及びあはき法第12条違反を自白しているのに等しい。
昭和35年判決で禁止処罰を受けずに済む行為は「人の健康に害を及ぼすおそれ」が無い行為であり、そのような危険性が無ければカイロプラクティック業務に特化した賠償責任保険は不要なはずである。
人の健康に害を及ぼすおそれが無い施術行為で、その業務に特化した賠償責任保険が必要なケースとはどういうケースなのだろうか?店舗設備による怪我であれば一般的な店舗向けの賠償責任保険で済むはずである。
5,7,11で医療に分類されていることを述べているが、つまり医療関連性があると自ら認めているわけである。
タトゥー最高裁判決後では医師法違反の判断に関し、医療関連性の有無が重要となると思われるが、自ら医療関連性があると主張してくれるのはありがたい。
で、3,4を業務の正当性の根拠としてあげていることから、JACは自ら医業類似行為業者である、という認識のようである。
(2019/12/13追記)
他のカイロ団体も医業類似行為でいることにアイデンティティを求めているようである。
(追記終わり)
「非医業類似行為」は厚労省官僚の抵抗?
「国家資格外行為」という表現の排除を、JACや遠山副大臣が求めたのかは私の推測に過ぎない。ただし
- JACが「法的資格制度がない職業(医療従事者)」という表現を提案した。
- その提案書を医事課長に手渡すときに遠山副大臣が同席した。
- JACが業務の正当性の根拠としてカイロプラクティックが医業類似行為であることを挙げる
というのは事実である。
それで事務局が考えた表現が「非医業類似行為」である。
JACが業務の正当性の根拠としていた、カイロプラクティックが医業類似行為であることを否定する表現である。
これは不当な政治圧力に対する厚労省官僚の抵抗と思うのは私だけですかね?
お前たちは医業どころか、医業類似行為ですら無い。
もし法的資格制度がない職業と主張するなら、接待目的で身体に接触する役務として営業すべきである。
*2:6 この法律において「店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 浴場業(公衆浴場法(昭和二十三年法律第百三十九号)第一条第一項に規定する公衆浴場を業として経営することをいう。)の施設として個室を設け、当該個室において異性の客に接触する役務を提供する営業
二 個室を設け、当該個室において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業(前号に該当する営業を除く。)
三 専ら、性的好奇心をそそるため衣服を脱いだ人の姿態を見せる興行その他の善良の風俗又は少年の健全な育成に与える影響が著しい興行の用に供する興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定するものをいう。)として政令で定めるものを経営する営業
四 専ら異性を同伴する客の宿泊(休憩を含む。以下この条において同じ。)の用に供する政令で定める施設(政令で定める構造又は設備を有する個室を設けるものに限る。)を設け、当該施設を当該宿泊に利用させる営業
五 店舗を設けて、専ら、性的好奇心をそそる写真、ビデオテープその他の物品で政令で定めるものを販売し、又は貸し付ける営業
六 前各号に掲げるもののほか、店舗を設けて営む性風俗に関する営業で、善良の風俗、清浄な風俗環境又は少年の健全な育成に与える影響が著しい営業として政令で定めるもの
7 この法律において「無店舗型性風俗特殊営業」とは、次の各号のいずれかに該当する営業をいう。
一 人の住居又は人の宿泊の用に供する施設において異性の客の性的好奇心に応じてその客に接触する役務を提供する営業で、当該役務を行う者を、その客の依頼を受けて派遣することにより営むもの
二 電話その他の国家公安委員会規則で定める方法による客の依頼を受けて、専ら、前項第五号の政令で定める物品を販売し、又は貸し付ける営業で、当該物品を配達し、又は配達させることにより営むもの
8 この法律において「映像送信型性風俗特殊営業」とは、専ら、性的好奇心をそそるため性的な行為を表す場面又は衣服を脱いだ人の姿態の映像を見せる営業で、電気通信設備を用いてその客に当該映像を伝達すること(放送又は有線放送に該当するものを除く。)により営むものをいう。