ラフィネに、ギフト券などを返金する法的責任が認められた場合、セラピストは法的責任を問われるのか?

Peingで

セラピストが悪いと言う話ではないのですか?

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Peing質問

という質問をいただく。

質問文が漠然としており、質問意図がつかめないので、その旨のみを回答している。

ただ私は最近、ラフィネの問題を取り上げている。

 

binbocchama.hatenablog.com

 

そして質問では「セラピスト」と表現している。

「ラフィネのセラピストが悪い、という話ではないのですか?」と解釈しよう。

これでも正直、日本語としてわかりづらい。

私の記事に関し、

  • ラフィネ本社(株式会社ボデイワーク)が悪い
  • セラピストを悪としているのではない

ということを確認しているようにも思えるが、あくまで推測である。

 

ただ、私はラフィネ本社の責任を追求する立場である。

それに伴い、従業員セラピストが責任を追求されるのか?というのはセラピストやお客さんにとっても心配事であろう。

なので色々書いていこうと思う。

 

ラフィネに無手数料で返金させるため、認めさせるべき法的責任

ラフィネがギフト券の有効期限の延長や返金を認めないこと、バリュアブルカードに関しては延長を認めず、手数料を取っての返金対応にしているのは金融関係の規制が理由であることが推測される。

 

binbocchama.hatenablog.com

なのでラフィネが金融に関する規制に触れずに全額返金をするためには、不法行為に基づく賠償金として支払う必要がある。以下の2つが不法行為として考えられる。

  • 消費者契約法違反(不利益事実の不告知)
  • 施術内容が違法であるから、契約そのものが無効。

上掲のブログでも説明したが、それぞれ見てみよう。

消費者契約法違反(不利益事実の不告知)

消費者契約法には

第4条第2項

 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができるただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。

とあり、重要事項等について、消費者に不利益な事実を告知しない場合、契約を取り消すことができるとある。

ラクゼーション施術が健康に良いような勧誘(広告も含まれる)を行い、以下の事実を告知していない場合、不利益事実の不告知と言えるだろう。

  • 保健目的の施術を行うために、医師以外の、鍼灸マッサージなどの免許制度が有ること
  • ラフィネのセラピストは免許を持っていないこと
  • 頭痛や腰痛などの傷病の治療、予防、緩和などを目的にしていないこと

これはあくまでもリラクゼーション施術が免許が必要なマッサージとは違う手技であり、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)に違反しない、という建前である。

無免許マッサージだから施術契約は公序良俗に反して無効

こっちはラフィネの施術が、あはき法に違反する無免許マッサージなどであり、違法な施術の契約であるから公序良俗に反して無効である、ということである。

この場合にはラフィネ自らが刑事罰の対象になりうる

 

従業員セラピストの責任

 消費者契約法違反の場合

これは施術が違法ではない、という前提である。

違法であっても成り立つとは思うが、消費者契約法違反を認めても、施術そのものが違法とは言えない。

 

なので従業員であるセラピスト自体が法的責任を追求されることはない。

私が知る限りでは。

違法施術の場合

この場合、セラピストが違法な施術をしていたことになるので形式上は刑事罰の対象となりうる。

ただし、単に施術をしていたセラピストは起訴猶予になると思われる。

 

法律事務所の解説であるが

起訴猶予」とは、罪を犯しており証明もできるが、軽い犯罪であるとか、被害者と示談ができて被害者も許してくれた、社会的制裁を既に受けている、深く反省しているなどの理由で、今回は、起訴しないであげますということです。

不起訴の起訴猶予は無罪なのか?処分保留との違い | 弁護士法人泉総合法律事務所

ということである。

つまり前科者にならずに済む。

また素直に捜査に応じていれば逮捕はされないと思われる。

 

 

ただ、無免許マッサージの捜査を開始するにしても「いつ、誰が、どこで施術を受けたか」という情報が必要である。

私のように、無免許マッサージの違法性を指摘する者が刑事告発できないのは、そのような具体的・個別的な情報を持っていないからである。

 

ギフト券などの返金問題の被害者である、ラフィネのお客様たちはセラピストには恨みは無い人がほとんどと思われる。なので刑事告訴することは考えにくい。

 

無免許施術を止めさえすればそれ以上の刑事的な責任追及は受けないと思われる。

ラフィネから報酬の返還を求められるか?

セラピストの場合、これが不安かもしれない。

ラフィネがお客様に返金した分の報酬を返せと。

ただし、セラピストはラフィネに返金する義務はない。

ラフィネ本社は違法施術であることを認識して、セラピストに報酬を払っていたわけである。

 

例えば裏口入学詐欺の被害者が、詐欺師に渡した金の返還を求める裁判を起こしても敗訴するのである。

ずるして入学をしようと金を払っておいて,うまくいかなくなったら訴えるというのも,訴えるほうも訴えるほうだという気がしますが,このような素朴な法感情を反映したものとして,金員を交付した理由が不法な原因である場合には返還を求められないという民法708条があり,多くの場合,この条項が適用されて,返還を求めたほうが敗訴しています。

不正入学・裏口入学 | 弁護士江木大輔のブログ

民法708条

不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。

 

またこの規定が有るため、私も無免許施術を受けて、施術料の返金を求めることができない。なぜなら鍼灸マッサージ師である私は法制度などの事情を知っているからである。

 

一般の消費者は、ラフィネの施術が違法施術であると知らずに受けたり、施術料を前払いしているから返金が認められるのである。

 

 

以上より、従業員のセラピストは過去にさかのぼって法的責任を追求されることは無いと思われる。

 

もちろん、未来はわからないが。

違法な施術業務を続けていれば刑事責任も問われよう。 

別の進路を選ぶなり、国家資格を取るなりしたほうが良い。