本記事では、遠山清彦前財務副大臣が理事長をしている日本カイロプラクティック登録機構(JCR)と一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)が事実上、一体の組織であることを示す。
- JCRとは
- 登録商標「日本カイロプラクティック登録機構」の権利者はJACである。
- JCRのドメイン登録者はJACの会長である。
- JCRは法人格の無い、任意団体か?
- 新型コロナウィルスの感染対策に関する記述の変遷。
- JCRに関する当ブログ記事の表現が名誉毀損等であるとして、JACが筆者に発信者情報開示請求を行った。
JCRとは
日本カイロプラクティック登録機構(JCR:JapanChiropractic Register)は、日本カイロプラクターズ協会(JAC)の協力のもと2008年に設立されたカイロプラクターを登録する独立組織です。
登録対象者はWHO(世界保健機関)ガイドラインに準拠した教育プログラムを修了しJCR登録試験に合格した者です。
登録者の名簿を一般公開し、その名簿を厚生労働省や関係省庁へ提出することで安全なカイロプラクターを選ぶ基準を示すことを目的としています。将来、カイロプラクティックが制度化される際に、行政による適正なカイロプラクター登録機関が設置されるまで本機構が代替的な役割を担います。
住所は
東京都港区西新橋3-24-5 レック御成門川名ビル503
JAC事務局内
とある。
登録商標「日本カイロプラクティック登録機構」の権利者はJACである。
JCRの規則を見ると
第1条
(名称) この団体の名称を日本カイロプラクティック登録機構(以下本会)という。英文名はJapan Chiropractic Register (JCR)という。 名称を保護するために、サービスマークで商標登録する。
とある。
「日本カイロプラクティック登録機構」の商標を検索すると
(111)登録番号:第4796934号 (151)登録日:平成16(2004)年 8月 20日 (450)登録公報発行日:平成16(2004)年 9月 21日 (441)公開日:平成15(2003)年 11月 20日 (210)出願番号:商願2003-93155 (220)出願日:平成15(2003)年 10月 23日 先願権発生日:平成15(2003)年 10月 23日 更新申請日:平成26(2014)年 3月 26日 (156)更新登録日:平成26(2014)年 4月 15日 (180)存続期間満了日:令和6(2024)年 8月 20日 商標(検索用):日本カイロプラクティック登録機構 (541)標準文字商標:日本カイロプラクティック登録機構 (561)称呼(参考情報):ニッポンカイロプラクティックトーロクキコー,カイロプラクティックトーロクキコー (732)権利者 氏名又は名称:一般社団法人日本カイロプラクターズ協会
と、JACが権利者として出てくる。
JCRのドメイン登録者はJACの会長である。
JCRのドメインは「chiroreg.jp」であるが、whoisで検索すると
Domain Information: [ドメイン情報] [Domain Name] CHIROREG.JP [登録者名] 竹谷内 啓介 [Registrant] Takeyachi Keisuke [Name Server] uns01.lolipop.jp [Name Server] uns02.lolipop.jp [Signing Key] [登録年月日] 2009/09/01 [有効期限] 2021/09/30 [状態] Active [最終更新] 2020/10/01 01:05:09 (JST) Contact Information: [公開連絡窓口] [名前] [代理公開情報]GMOペパボ株式会社 [Name] GMO Pepabo, Inc.
と出てくる。
竹谷内 啓介氏であるが、JACの会長である。
JAC役員紹介::一般社団法人日本カイロプラクターズ協会(JAC)
JCRの理事には名前が乗っていない。
JCRは法人格の無い、任意団体か?
私が見る限り、JCRのウェブサイトには法人格(一般社団法人、NPO法人など)の表示が無い。
なのでJCRは法人格が無いものと推測される。
法人格があれば商標登録やドメイン登録もその法人名で行うだろう。
新型コロナウィルスの感染対策に関する記述の変遷。
現在、JCRには以下の文書が掲載されている。強調は筆者による。
今月初旬、遠山氏はJCR理事長に再任されました。名簿提出の際には、JCR理事の村上佳弘氏と日本カイロプラクターズ協会(JAC)会長の竹谷内啓介氏も同席し、カイロプラクティック業界による新型コロナウイルス感染症対策の取り組みや、業界の現状について意見交換が行われました。
実はこの文書、当初は別の表現であり、下の画像の表現であった。下線部は筆者による。
JCRのウェブサイトには新型コロナウィルスに関する厚労省のページへのリンクはあるが、JCRが作成した文書・ガイドラインは見当たらない。
https://www.jac-chiro.org/pdf/guidelines/chirocovid19.pdf
そんなわけで、私は下記ツイートを行った。
JCRの文書
— びんぼっちゃま@公明党の遠山清彦前財務副大臣が便宜を図った団体から発信者情報開示請求を受けてます。 (@binbo_cb1300st) 2020年12月10日
"今月初旬、遠山氏はJCR理事長に再任されました。…当会での新型コロナウイルス感染症対策の取り組みや、国内外のカイロプラクティック業界の現状について意見交換が行われました。"
コロナ対策ってJCRではなく、JACでやってるんじゃないの?https://t.co/CykRBv5z5B
そしたらJCRサイトの文書が削除され、訂正されてupされ直したのである。
JCRとJACが事実上、一体の組織であることは公然の事実だと思うのだが、JCRが「独立組織」であるという形式・建前は維持しなければならないことらしい。*2
JCRに関する当ブログ記事の表現が名誉毀損等であるとして、JACが筆者に発信者情報開示請求を行った。
私のツイッターをフォローしてくれている方はご存知のように、当ブログ記事のいくつかの記事に関し、名誉毀損や信用毀損(権利侵害)であるとして、JACからはてな社に対して記事の削除と発信者情報の開示請求が申し立てられた。
私のブログ記事に関し、 #日本カイロプラクターズ協会 から記事の削除申立と #発信者情報開示請求 が #はてな 社に対して行われた。#プロバイダ責任制限法 #カイロプラクティック #医師法 #医業類似行為 pic.twitter.com/19FT1DYGIr
— びんぼっちゃま@公明党の遠山清彦前財務副大臣が便宜を図った団体から発信者情報開示請求を受けてます。 (@binbo_cb1300st) 2020年10月17日
この記事を執筆している時点ではまだ審査結果が出ていない。
すでに非開示決定はされていました。
開示請求を申し立てられた記事の一つに下記記事がある。
この記事に関する申立で権利侵害の表現として指摘されたのはJCRに関する表現だけで、JACに関する表現ではなかった。
それを「弊会(申立人、JAC)」への権利侵害である、と申し立てているのである。
なお発信者情報開示請求に関してはプロバイダ責任制限法で以下のように定められている。
(発信者情報の開示請求等)
第四条 特定電気通信による情報の流通によって自己の権利を侵害されたとする者は、次の各号のいずれにも該当するときに限り、当該特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通信役務提供者(以下「開示関係役務提供者」という。)に対し、当該開示関係役務提供者が保有する当該権利の侵害に係る発信者情報(氏名、住所その他の侵害情報の発信者の特定に資する情報であって総務省令で定めるものをいう。以下同じ。)の開示を請求することができる。
一 侵害情報の流通によって当該開示の請求をする者の権利が侵害されたことが明らかであるとき。
二 当該発信者情報が当該開示の請求をする者の損害賠償請求権の行使のために必要である場合その他発信者情報の開示を受けるべき正当な理由があるとき。
「自己の権利を侵害されたとする者」で無ければ発信者情報の開示を請求する権利がないのである。
「独立組織」であるJCRに関する表現で、なぜJACが発信者情報開示請求をしているのか?
JCRが法人格の無い、任意団体だからだろうか?
しかし民事訴訟法では
(法人でない社団等の当事者能力)
第二十九条 法人でない社団又は財団で代表者又は管理人の定めがあるものは、その名において訴え、又は訴えられることができる。
とあり、法人格が無くてもJCRの理事長である遠山清彦前財務副大臣の名前で請求は可能である。
そんなわけで、遠山清彦前財務副大臣が理事長をしている日本カイロプラクティック登録機構は、一般社団法人日本カイロプラクターズ協会と事実上、一体の組織であると言える。