苦情主が危険だとして、ネットリンチ煽動を正当化する小泉一真長野市議会議員。「上級国民」様でも要求を通すためには自ら危険性を示さないといけないそうだ。

長野市青木島遊園地の廃止問題で、小泉一真長野市議が苦情主の自宅を指し示す動画を投稿していたことは過去の記事でも書いたとおりであり、そのことで長野市議会は小泉氏に説明を求めた。

 

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ネット上ではNHK信濃毎日新聞だけは報じた。

長野市公園廃止 議員「個人の特定につながる」投稿動画を削除|NHK 長野県のニュース

長野市が1軒の家からの騒音への訴えをきっかけに、公園の廃止を決めたことをめぐって、市議会の議会運営委員会は、住宅を特定できる情報を動画投稿サイトなどで公開した議員に対し、政治倫理条例に反するのではないかとして説明を求めました。

 

小泉氏は市議会とは明らかにせず、「第三者」から指摘された、と投稿している。

小泉氏はこの動画投稿に関する弁解を、以下の動画でしている。

youtu.be

 

苦情主が危険だから「特定の御宅の存在を示唆する」動画を投稿した、という主張

5:52ごろからYouTubeの自動文字起こしより。誤認識はそのままで、筆者による訂正は括弧で行っている。

子供を(子ども)に関して危険が懸念されるというのは緊急的なお話だと私はその時理解しました

しかしもう私がですねそこに行って実はこのお宅は危険なんですよとそこに張り紙を貼るだけにいかないですしポスティングして回るわけでもいかないですよね

そこで私としては気がついてもらえればいいかなとその周りの周りというかその自動(児童)センターを利用している方々ですよね

そして青木島で子供を大持ち(お持ち)の方々にそのようなリスクがある

ある箇所があるんだとその地域そういった気持ちで特定のオタクの存在を示唆するそういった動画を上げました

https://youtu.be/IjU3WiZ4KIs?t=351

顧問弁護士の見解を市議会報に載せないことへの文句

また市報に、長野市の顧問弁護士が苦情主の言動が脅迫罪等という見解を示したことを掲載しないことに文句を言ってる。*1

 

私は小泉氏に、脅迫罪の構成要件である「害悪の告知」があったのか、尋ねてみたが回答はなく、ついには小泉氏からブロックされた。

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苦情主は「危険」だったのか

さて、苦情主の「危険性」だが、動画再生時間を遡り4:11ごろから

昨年10月の地区の方々と行政のその青木島遊園地の取り扱いについての
会議ですが実はこの会議の記録というのは2本ありまして

一方は公園緑地が(公園緑地課)

1本は子供制作家(こども政策課)です

 

で手を引いて看板の前に立たせたというのは
子供政策課側の記録ですけれども
実はこれまだ皆様には公表しておりませんけれども

講演緑地家(公園緑地課)側の記録には簡易(会議)後に子ども政策課児童センター保育園公園緑地課での話として
簡易(会議)後の話としてですね
子ども政策課は今の状況が変わらなければ子供を安全に遊ばせることができないので子供に使用させる無いつもりだという発言があったと記録されています

 

でまあ一度ならず危険性に関する言及を子ども政策が(こども政策課)側がしているということは記録に残っています

そして青木島小学校の教頭のお話の記録としてもやはり危険という言葉が出てくる

そういった記録があるんですね

https://youtu.be/IjU3WiZ4KIs?t=251

青木島小学校教頭による危険性の言及

小学校教頭の言及は以下の通り。

青木島小学校教頭の発言。「子どもたちに危害や暴言を言われる可能性ないとも言えない」

教頭は、苦情主から「うるさい」と言われた事実を認めているが、危害や暴言は「可能性ないとも言えない」という認識である。「可能性が無いとは言えない。」はほとんど無いことの言い換えである。

 

車を運転する人は人を死なしめる可能性が無いとは言えない。

この程度のものである。

文句を言うことと、危害を加えること(その予告)には明確な違いがある。

 

安倍首相へのヤジ排除の裁判でもそのことは示された。

 裁判所は、当時、「生命若しくは身体」に危険を及ぼすおそれのある「危険な事態」にあったとか(警察官職務執行法4条1項)、「犯罪がまさに行われようと」していた(同法5条)などとは認められないことを踏まえ、警察官らの行為につき国家賠償法1条1項の適用上違法であり、原告らの表現の自由等の権利を侵害するものと判断して、原告らの請求を一部認容した。

裁判例結果詳細 | 裁判所 - Courts in Japan

 

  2人は「政治批判の声を最高責任者にぶつけるまれな機会を違法に奪われた」として、20年2月までに提訴。道警側は、排除は警察官職務執行法に基づく適法な行為と主張。原告らが聴衆に危害を加えられるなどの恐れがあったとした。

 判決は現実的な危険があったかどうかを検討した。市民が撮影した動画などをもとに、怒号が上がるなど騒然とした状態にはなっておらず、警察官職務執行法の適用要件を満たしていないと判断。警察官らの行為を「違法なもの」とした。

北海道警のヤジ排除「表現の自由侵害」 道に賠償命令 札幌地裁:朝日新聞デジタル

 

長野市子ども政策課も、苦情主による具体的な妨害活動は無い、と述べている。

小泉氏が公開した資料より:現状では苦情者から具体的な妨害行為等を受けているわけではないので、市として訴訟する根拠はない。

こども政策課の言及は児童センターの報告に基づくもの

こども政策課が、公園緑地課との会議で苦情主の危険性を述べていたというが、こども政策課の職員だって、後述する、苦情主が子供に注意する現場を目撃しているわけではない。館長を交えて苦情主とは話をしているが。根拠となるのは児童センターの館長の話だけである。

館長の証言

小泉氏も上記動画の2:13ごろから紹介しているが、館長の発言記録は下記のとおり。

児童センター館長の発言。苦情主はボール遊びしている児童の手を引いて、看板まで連れて行く、との発言趣旨。

たった一軒のクレームで子どもの遊び場が廃止!? 情報公開で新事実が 2: 長野市青木島遊園地

小泉氏がツイキャスで語ったところでは、引っ張られた子供は児童センターで預かっている子供では無かったそうだ。

なので館長は目撃しただけであり、手を引っ張られたとする児童から聴取したわけでは無い

苦情主側の反論

館長のこの証言に対する苦情主世帯の反論は

――ご夫妻が子供の手を引っ張って、「ボール遊び禁止」の看板まで連れて行って注意したこともあったと聞いています。

夫人:サッカーなどの音が気になった時は、言いに行ってます。ただ、手なんか引っ張ってないです。そういうことはしません。

名誉教授:私もボール遊びが激しい時は、こっちにおいでって言って、ボール遊び禁止の看板に連れて行って、注意をしています。でも、手を引いたりはしていません。子どもからは威圧的に見えたかもしれませんが。

長野市公園廃止、名誉教授の夫人「危険人物と思われるのは残念」 近隣住民からの声に「ひがみじゃないですか」(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

と手を引っ張ってはいない、という主張である。

苦情主に対する館長の敵意

館長であるが、苦情主世帯の奥様によると

そのこと(筆者注:保護者が駐車中にエンジンを止めないこと。)で、私たちと子ども政策課と館長と話し合った時に、館長が市の職員に対して、「知ってるでしょ、貰ってる給料。こんな給料で出来ない」って、言ってるんです。

長野市公園廃止、名誉教授の夫人「危険人物と思われるのは残念」 近隣住民からの声に「ひがみじゃないですか」(デイリー新潮) - Yahoo!ニュース

というような人である。

 

長野市は児童センターの管理運営を長野市社会福祉協議会社協)に委託している。

https://www.city.nagano.nagano.jp/uploaded/attachment/14777.pdf

館長は長野市職員(公務員)ではなく、社協の職員となる。

 

苦情主によって余計な仕事をさせられていると思っている館長としては、その対応を市の職員に任せるか、センターに出禁にして、不退去罪を使えるようにしたいところだろう。

そうなると館長としては意識しているかどうかに関わらず、苦情主の危険性や悪質性を誇張するようになる。

前提事実の違い

遊んでいるところを、当人の意思に反し、手を引っ張って看板のところへ連れていけば子供の自由を害しているとは形式上、言える。

 

ボール遊びが禁止だと告げて、それでも辞めないなら看板のところへ(読ませに)連れて行く、と告知したら「子供の自由を害すること」を告知した、と形式上は言えるかもしれない。

 

どっちにしろ子供の意に反して「手を引っ張る」という有形力の行使が前提である。

区長会への報告前に苦情主の反論を聞いたかは不明であるが、館長の「手を引っ張った」という証言の信用性に、市側が疑いをかけたのではなかろうか。

少なくとも立証する証拠は無い。

「こんな給料ではやってられない」と当事者の前で言ってしまうほど、苦情主に敵意を持っている(隠さない)人物の証言を信用するのは市側としてリスクがあるだろう。

 

弁護士に、館長の性格等まで伝えられてなければ、手を引っ張ったことが真実である前提で回答するだろう。

法的見解に関する名誉毀損の判断基準

名誉毀損の成否が問題となっている法的な見解の表明は,判決等により裁判所が判断を示すことができる事項に係るものであっても,事実を摘示するものとはいえず,意見ないし論評の表明に当たる。」とされますが、「ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があれば,その故意又は過失は否定される(最高裁昭和60年(オ)第1274号平成元年12月21日第一小法廷判決・民集43巻12号2252頁,前掲最高裁平成9年9月9日第三小法廷判決参照)。」

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52385

つまり前提となる事実が真実と証明できなかったり、真実と信ずるについて相当な理由が無ければ名誉毀損不法行為が成立する。

「窃盗」という表現を事実摘示と判断した判例

実際、「その上で明日の朝刊に折り込む予定になっていたチラシ類を持ち去った。これは窃盗に該当し刑事告訴の対象になる。」という記事について最高裁

「本件記載部分は,第1文と第2文があいまって,上告人会社の業務の一環として本件販売店を訪問したX2らが,本件販売店の所長が所持していた折込チラシを同人の了解なくして持ち去った旨の事実を摘示するものと理解されるのが通常」とし、

「前記事実関係によれば,本件販売店の所長が所持していた折込チラシは,訴外会社の従業員が本件販売店所長の了解を得た上で持ち帰ったというのであるから,本件記載部分において摘示された事実は真実ではないことが明らか」と判断した。

そして「被上告人は,上告人会社と訴訟で争うなど対立関係にあったという第三者からの情報を信用して本件サイトに本件記事を掲載したと主張するのみで,本件記載部分において摘示した事実が真実であると信ずるにつき相当の理由があったというに足りる事実を主張していない。」として「被上告人が本件サイトに本件記事を掲載したことは,上告人らの名誉を毀損するものとして不法行為を構成するというべきである。

と判断している。

https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=82144

区長会への報告で、苦情主の行為が脅迫罪などと伝えたら名誉毀損に問われかねない。

区長会への報告では苦情主の名前を出しているから、そこで脅迫罪、業務妨害に該当する、と言ったら、不法行為になるかどうかはともかく、苦情主の名誉を毀損することは確実なわけである。

 

それで市が苦情主に訴えられたら前提とする事実の真実性を証明する責任があるのは市側である。

 

通常の損害賠償請求の裁判では立証責任は原告に課せられるのがほとんどだが、名誉毀損表現者(被告)側に真実または真実相当性を立証する責任がある

なので、ロス疑惑三浦和義氏はマスコミ相手に名誉毀損の本人訴訟を行い、かなりの勝率を挙げている。『弁護士いらず 本人訴訟必勝マニュアル』という本も出している。

三浦はマスコミによるネガティブな報道に対し、名誉毀損を理由に弁護士を代理に立てずに民事訴訟(いわゆる本人訴訟)を起こす。マスコミに対する名誉毀損の訴訟は476件にものぼる。三浦は訴訟の内80%で勝訴していると主張している(15%は時効を理由とし、5%は時効以外の理由による敗訴)。

ロス疑惑 - Wikipedia

 

弁護士が脅迫罪等という見解を出すに至った事実の真実性を立証できる自信が無かったから、市側は区長会に伝えなかったと思われる。

 

真実とは判断できない事実を区長会に伝えなかったことは妥当であり、弁護士の「脅迫罪」という見解を伝えなかったことをもって、区長会が廃止に同意したことを根拠とした、長野市の公園廃止の決定を不当と言う小泉氏の主張は失当である。

自身が危害を加えないと、行政に要求を実現させられない「上級国民」とは。

小泉氏が苦情主を「上級国民」と呼んでいたのは既知の通り。

議員は、苦情を訴えた住民をツイッターで「上級国民」、「クレーマー」などと繰り返し発信したり、動画投稿サイトで住宅が特定できる情報を公開していました。

長野市公園廃止 議員「個人の特定につながる」投稿動画を削除|NHK 長野県のニュース

自らが、子供に危害を加えると示さないと要求を通せない「上級国民」というのは存在自体が矛盾しているように思える。

「上級国民」なら自らの権力で長野市や職員に不利益を与えることができることを忖度させ(示唆したら強要罪になるかな?)、要求を受け入れさせれば良い。

 

それだけの権力が苦情主にあれば、市側は苦情があったことを記録し、要求に従えば良い話である。

苦情に抵抗して、そのやり取りを記録に残している時点で、市側は忖度しているとは言えない。

素人相手にもFact Checkにこだわる小泉氏

fact check from:kazumakoizumi - Twitter Search / Twitter

ぜひ、市が顧問弁護士に相談したときの前提事実もFact Checkしていただきたいものだ。

小泉氏は市議会議員であり、警察と同様に公権力側の人間である。

権力者が危害を加えていない、またはそれを予告もしていない一般市民を危険人物扱いすることは不当な権利侵害であり、議員辞職すべきである。

*1:8:15あたりから。

https://youtu.be/IjU3WiZ4KIs?t=495