ダイレクトステルスマーケティング(暇空茜氏の造語)の事例。KINMAQ整体院の取締役の小野間優介氏は、取締役であることを表示せず、医師として推薦文を掲載していた。
ダイレクトステルスマーケティングという造語
Webライターのヨッピー氏が、下記のツイートで紹介しているタオルが、自分が開発・販売していることを表示していないことがステマ紛いの行為だとして、暇空茜氏から指摘されたそうだ。
全サウナ好きにお届けしたい「天才タオル」は、
— ヨッピー (@yoppymodel) 2023年4月10日
・サウナハットいらず
・分厚い生地で熱を遮断
・目元口元まで覆える
・目立たない
という一石五鳥の商品や!
「天才タオル サウナ」でTwitter検索するとサウナー評価も高い事がわかる!
ネイビーも出たよ!
天才タオルhttps://t.co/5VfMhAnVjL pic.twitter.com/PFgmQwZLuO
第三者では無く、事業者自らが広告している点では厳密なステマの定義には該当しないのだが、事業者(販売で利益を得る者)である旨を表示していない、という点を捉え、暇空氏はこれを「ダイレクトステルスマーケティング」と呼んだ。
暇空
ヨッピーさんこれ、「僕が作ったタオルです」とは書いてないじゃないですか。「誰が作ったかわからない」という意味ではダイレクトステルスマーケティングに見えるんですよ。僕が今作った造語ですけど。 「こんな素晴らしい商品や」ってだけ言ってるだけってのがなんかちょっとずらしてるなと思うんですけど。だからといってステマだとは思いませんけどね。
ヨッピー
じゃあステマじゃないで良いんですかこれは。
暇空
ダイレクトステルスマーケティングだとは思いますけど、ステマではないと思います。
ヨッピー
「ダイレクト」と「ステルス」って完璧に矛盾してるワードですけどね。
暇空
自分の商品で、「これを買ったら自分が売り上げを手にするんだ」ってことを伏せた状態でわざわざ商品を紹介するのは正々堂々としてないなと僕は思いますけど。
【なんでこの時期?】ステマ扱いされて大晦日に開催された暇空氏スペースに参加した話 - ヨッピーのブログ
なお、私はcolaboと暇空氏、両方からブロックされている身である。
暇空氏に対するスタンスはヨッピー氏と同様であり、対colaboでは応援してるし、対堀口氏では無茶苦茶だと思っている。
整体院の広告における医師の推薦文
KINMAQ整体院という、整体院のフランチャイズチェーンがある。
当該整体院の業務の違法性やステマ(紛い行為)については別件の記事をご参照願いたい。
また山形のFC加盟店経営社が、山形地裁で不正競争行為の差止を請求されて提訴されている(山形地裁 令和5年(ワ)第61号 不正競争行為差止請求事件)。
医師、小野間優介氏による推薦文
KINMAQ整体院は医師などから推薦を受けている旨、宣伝している。
医師・教授・アスリート・専門家からの推薦状 | 「KINMAQ整体院 イーアスつくば本院/ANNEX院」
以前は下記のように、小野間 優介医師による推薦文も掲載されていた。
「なかなか治らない痛みでお悩みの方にオススメです!」
医療法人社団健正会 茎崎アオイ病院
医師
小野間 優介 先生私もひどい頭痛に悩まされていた時にこの筋膜整体の治療を受けましたが、非常に効果がありました。
自分で頭をひねったけれどもどんな薬を飲んでもダ メ。脳外科の頭痛外来でもダメ。働けないくらい頭 痛がひどくて、人生終わりかなと思った瞬間もありま した。しかし、わらにもすがる思いで行った記憶が あります。 勿論、最初は週2回とか頻度を多くしてして通って、 施術の先生のアドバイスの自主トレや生活上の姿勢 なども気をつけたのもあるとは思いますが、びっく りするくらいよくなりました。
折込チラシにも以下のような推薦文が掲載されていた。
小野間 優介氏はKINMAQ整体院チェーン本部の取締役である。
小野間氏の経歴は以下の通り。
経歴でリンクされているサイトが古いが、M&メディカルリハ株式会社というのが、KINMAQ整体院チェーンを運営している会社である。
KINMAQ整体院(旧筋膜メディカル整体院)ブランドサイト|M&メディカルリハ株式会社
KINMAQ整体院の広告はダイレクトステルスマーケティングである。
すでに掲載した通り、KINMAQ整体院の広告において、小野間氏の推薦文にはKINMAQ整体院の取締役であることは記載していない。
広告出演者は信用を大事にすると通常人は考えるはず。
オウンドメディアにおける、有名人の推薦はどうせ広告料が支払われている、というのが通常の消費者の認識だと思う。
しかし広告に出る側だって、広告主を選ばないわけではない。
信用を落とすような広告主の広告には出ないと判断するのが通常であろう。
もっともモデルや芸能人が広告に出ていることをもって、一般消費者が広告主の製品・役務を信用するかどうかはなんとも言い難い。
彼らに物の良し悪しを科学的に判断する能力が無いと思ってしまうのは、疑似科学批判の世界でのエコーチェンバーかもしれない。
健康に関わる製品・役務であって、医師が広告に出ている場合はどうであろうか?
本業の医師の業務の信用を落とすような広告には出演しないと考えるのが一般的ではないか?
なので広告であることを割り引いても、推薦文は医師の意見として尊重するのが通常ではなかろうか。
その推薦文を出している医師が、その整体院の経営者だとは通常想定はしないだろう。
なので、小野間氏がKINMAQ整体院の取締役であることを隠して、医師としての推薦文を掲載する行為は、暇空氏が定義するところのダイレクトステルスマーケティングと言える。
原告の指摘により推薦文を削除
KINMAQの訴訟で、原告は
なお、甲2*1で本件店舗を推薦している医師、小野間 優介は訴外会社*2の取締役である(甲60)*3。このような広告に推薦を掲載する医師には広告料が支払われていると消費者は思慮しうるが、経営幹部がそのことを隠して推薦するということは通常想定しない。このような表示は一般消費者を故意に欺く広告である。
と指摘している。
現在、KINMAQ整体院のウェブサイトから小野間氏の推薦の文言が無くなったのはその影響、および10月以降のステマ規制対策だと思われる。