最近、エックス(旧Twitter)上で国民皆保険の是非が論じられている。
その中で下記のようなツイートがあった。
国民皆保険がなかった戦前日本では、貧乏人が大学病院で診てもらえるなら人体実験の材料になって当然というのが暗黙の了解だった。そのベースがあったから731部隊に繋がる。731では東大、京大の医学部卒がどうして!と言われるが、実態は「だからこそ」なんだよ。 https://t.co/N2aROZAKy5
— 林 譲治 (@J_kaliy) 2023年10月2日
国民皆保険では無かった時代、そりゃ大学病院の診療は贅沢品だったのだろう。
それで国民皆保険が実現したのはいつかというと1961年(昭和36年)らしい。
国民健康保険法にも
附 則
(施行期日等)
第一条 この法律は、昭和三十四年一月一日から施行する。
第二条 この法律の施行の際現に国民健康保険を行つていない市町村は、第三条第一項の規定にかかわらず、昭和三十六年四月一日までに国民健康保険事業を開始するをもつて足りる。
とある。
こんな時期に、人の健康に害を及ぼすおそれが無いにも関わらず、医業類似行為を業として行っただけで処罰するのは、医療保険に加入できていない者を切り捨てるものだと考えても不思議では無い。
それで国民皆保険が実現した昭和36年には広告判決が出される。
同判決ではあはき法7条の規制目的に関し、「適時適切な医療を受ける機会を失わせるような結果を招来することをおそれたため」として合憲判決を出している。
同判決の補足意見では「外科医に行かず近所の柔道整復師で間に合うことなら整復師に頼みたいと思う人には整復師の扱う適応症が広告されていた方がよいのではないか、といつたような疑問は起こる。」とある。
近所ということで利便性もあるのだろうが、経済的な負担も念頭に有ったのではないか。
最近の整体院などはマーケティングに力を入れ、高額なところも多い。
整体師向けの情報商材でもいかに高単価にできるかをアピールしているのもある。
国民皆保険が実現していなかった時代とは医業類似行為に関する背景が違う。
やはり昭和35年判決を維持するのは現在では相応しくない。