答弁書を引用しながら思うところを書いてゆくが、今回は簡単に書ける部分で、難しいところは2として書くか、追記で書こうかと思う。
リラクゼーション業に関して
二の2について
御指摘の「公共の福祉に反する職業」の意味するところが必ずしも明らかではないが、経済産業省は、あはき法を含む関係法令の遵守を前提として、リラクゼーション業を含む健康の保持及び増進に資する商品の生産若しくは販売又は役務の提供を行う産業の発達、改善及び調整に関する業務をつかさどっているものであり、リラクゼーション業に係るこれらの業務が立憲主義に反するとの御指摘は当たらないと考えている。
質問主意書では
2 前記一の4の判決(筆者注:昭和35年判決)によれば、現在経済産業省が推進する無資格者が行うリラクゼーション業(医業類似行為)は憲法第二十二条で規制される公共の福祉に反する職業であり、経済産業省が無資格者が行うリラクゼーション業を推進することは立憲主義に反する行為と思われるが、政府の見解を示されたい。
とある。
国がリラクゼーション業を合法と認めたと勘違いし、悲観している反応も見受けられるが、答弁書では「関係法令の遵守を前提として」と仮定していることに注意が必要である。
この答弁ではリラクゼーション業があはき法や医師法に違反しているか、それとも違反していないのかは判断していないのである。
人の健康に害を及ぼすおそれについて
二の6について
お尋ねの「人の健康に害を及ぼす虞」の有無については、行為の具体的な態様から総合的に判断されるものであることから、一概にお答えすることは困難である。
質問主意書では
6 前記二の1について、「人の健康に害を及ぼす虞」の有無は何をもって判断されるのか、具体的かつ明確に示されたい。
とある。
私としては富士見産婦人科病院事件の保健師助産師看護師法違反事件の控訴審*1から、無資格者が行える行為は「患者に危害の及ぶことがなく、かつ、判断作用を加える余地に乏しい機械的な作業を行わせる程度にとどめられるべきもの」に限定されると考える。
政府にもそのように答弁してほしかったところだが、下級審判決では難しい。
届け出医業類似行為業者の数
二の8について
お尋ねの「特例の対象となる者」の現在の数については、把握していない。
質問主意書では
8 あはき法第十二条の二は暫定処遇として医業類似行為の禁止の特例を定めているが、この特例の対象となる者は現在何名いるのか。該当者数を都道府県別に示されたい。
というわけで、政府は把握してないようである。
実は山形の保健所も把握してなかったりする。
しかも数を把握してないだけでなく、届け出書類自体がすでに残っていないらしい。
そうなるとあはき法制定時に保健所に届け出て、現在も医業類似行為を業としている人達は何を持って、届出たことを証明できるのだろうか?
*1:東京高裁平成元年2月23日判決 昭和63(う)746