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あはき法19条の存廃をめぐる立場と利益

あはき法第19条 医業類似行為 憲法第22条 政治

晴眼者向けのあん摩マッサージ指圧師養成校の不認可を巡って大阪、東京、仙台の各地裁で国を訴えた裁判が進行中なのは以前の記事のも書いた通りです。

binbocchama.hatenablog.com

 

では19条を違憲、あるいは廃止すべきという立場の方々、および合憲であり存続すべきであるという立場の方々と、19条の存廃がそれぞれの団体の利害などに与える影響を考えてみましょう。

 

違憲、合憲は純粋に法律論でありますし、国会があはき法第19条を廃止しても立法裁量権の範囲内のことですので、廃止か存続だけに別けて考えましょう。

 

それぞれの立場の人々の意見に反論もありますが、今回は紹介するだけにしておきます。

 

19条廃止派

学校法人

まず原告のような晴眼者向けのあん摩師養成校を希望する学校法人などです。
福岡における柔道整復師養成校の裁判で国が負けたために、あん摩マッサージ指圧師以外の医療系国家資格の養成校は基準を満たせば認可されることになりました。

 

で、柔整や鍼灸のみの学科の学校が増えたのですが、定員割れを起こしている学校が多いそうです。

 

自分の判断で健康保険の適応を決められる柔道整復師はともかく、鍼灸(のみ)師は保健の適応は医師の同意が必要であり、利用者から見れば鍼治療に痛い、怖いというイメージがあり、また鍼灸師の貧困も明らかになっております。

 

【PDF】東洋療法学校協会「あん摩マッサージ指圧師、はり師及びきゅう師免許取得者の進路状況アンケート調査」(平成23年10月調査)

15頁目、鍼灸のみ施術所では10万円未満の月間所得が49.6%である。平均は14.7万円
あはき施術所では平均22.3万円、あん摩師のみ施術所では平均21.1万円

鍼灸師養成校の定員充足率に関するデータは把握しておりませんが、このデータを見て、わざわざ3年間の時間と学費を費やして鍼灸師になろうと考える人がどれだけいるか。

そんなわけで学校の経営的にはあん摩師養成過程を作りたいところです。

 

「弱者利権」「逆差別」と批判している方々

主に無免許業者や、あん摩マッサージ指圧師の免許を持たない柔道整復師の意見として見かけます。

単に弱者利権としてのラベリングとして19条を利用しているに過ぎません。


あん摩師養成校の認可に関しては以前にモード学園が申請する動きがあり、その際に国を訴えるかどうか話題になったのですが、そのときに、国政選挙に立候補した経験のある上田たかゆき氏(柔道整復師)が書いたブログ記事です。

gogoueda.exblog.jp

 

国が敗訴する可能性が高いと私は見ている。そうなった場合、あん摩マッサージ科についても約90校が手を上げ、雨後の筍の如く養成施設が増えることとなる。
そうなった場合、将来もっとも大打撃を被るのは視覚障害者のマッサージ師というよりはむしろ「柔道整復師」であると私は思うが、皆さんはどのように考えますか?

 

そんなわけで柔道整復師や無免許業者などの、非あん摩師は本音では19条廃止は望んでいない。

 

指圧の領域を拡大としたい人たち

芦野純夫氏がその先鋒ですね。
19条により晴眼あん摩師養成校を増やせないから多様な手技を教えられず、そのために無免許指圧が放置される状況になっている、というご意見です。*1

 

あん摩マッサージ指圧師の政治力を強化したい人々

「数は力なり」ということであん摩師の数を増やし、政治力を強化して無免許対策や療養費に関して有利にしていきたい、ということです。

 

規制緩和や自由競争が正義だと思っている人々

説明する必要はないでしょう。

 

あん摩師を使っている・雇っている施術所

あん摩師養成校が増えれば採用が楽になります。
また盲人あん摩師を雇っていれば助成金が増える可能性もあります。

逆に競争が激しくなり、利益が減る可能性もありますが、自信家である経営者にとっては些細な問題でしょう。

 

他の廃止論者の影響から、よくわからずに廃止すべきだと思っている人

わかりやすいフレーズ・説明でわかっていないのにその雰囲気に流されるのは小泉郵政解散Brexitでも見受けられた光景です。

 


19条存続派

盲人あん摩師、日本盲人会連合

説明は不要でしょう。

 

既存のあん摩師養成校

これも養成校が自由化されると競争に晒されますから。

 

既存の晴眼あん摩師

私も含みますが、過当競争は望みません。

 

厚生労働省財務省および健康保険組合

訪問マッサージに対する療養費が伸びています。
これで晴眼あん摩師養成校が自由化された場合、さらに請求が増えることが予想できます。

また盲人あん摩師が稼げなくなれば生活保護に頼らざるを得なくなり、財政上も望ましくありません。


一番最後以外、弱者や既得権益者の主張にしか見えない(笑)

なるほど、19条廃止派の方に自由主義的な正義があるように見えても仕方ありませんね。

 

それぞれの立場や意見の方に対する反論が次回以降に。

*1:公益社団法人 東京都はり・きゅう・あん摩マッサージ指圧師会「あはき法解釈の昏迷を解きほぐす 鍼灸は医業か医業類似行為か」47頁