カイロ学校や施術所の違法性を指摘する記事は拡散していただきたいのですが、おそらくタイトルの件がハードルになると思います。
まずは結論から先に。
- 法的見解は名誉毀損で判断する対象ではない。
- 問診や検査を行っていることは学校や施術所のサイトに記載していることであり、真実と信じる相当な理由がある(嘘なら学校や施術所が虚偽広告を行っていることになる。)。
- 記事自体に不正競争防止法違反が成立するとしても、カイロ学校や施術所と競争関係に無い一般の方が記事を紹介しても不正競争防止法違反は成立しない。
- 鍼灸マッサージ師や医師などの場合、記事の紹介が不正競争防止法違反が成立する可能性があるので判例をちゃんと検証しましょう。
以前、togetterにもまとめています。
法的見解が名誉毀損の判断対象にならないことを判示した最高裁判決はこれ。
要旨は
名誉毀損の成否が問題となっている法的な見解の表明は,判決等により裁判所が判断を示すことができる事項に係るものであっても,事実を摘示するものとはいえず,意見ないし論評の表明に当たる。
ということです。
判決本文から引用しますと
一方,ある事実を基礎としての意見ないし論評の表明による名誉毀損にあっては,その行為が公共の利害に関する事実に係り,かつ,その目的が専ら公益を図ることにあった場合に,上記意見ないし論評の前提としている事実が重要な部分について真実であることの証明があったときには,人身攻撃に及ぶなど意見ないし論評としての域を逸脱したものでない限り,上記行為は違法性を欠くものというべきであり,仮に上記証明がないときにも,行為者において上記事実の重要な部分を真実と信ずるについて相当な理由があれば,その故意又は過失は否定される。
法的な見解の正当性それ自体は,証明の対象とはなり得ないものであり,法的な見解の表明が証拠等をもってその存否を決することが可能な他人に関する特定の事項ということができないことは明らかであるから,法的な見解の表明は,事実を摘示するものではなく,意見ないし論評の表明の範ちゅうに属するものというべきである。
というわけです。
なので当ブログ記事を紹介しても名誉毀損は成立しません。
ただし、不正競争防止法違反*1の成立を否定はしておりませんので、カイロプラクティック業者と競争関係にある方、具体的には鍼灸マッサージ師や医師が当ブログ記事を紹介した場合、不正競争防止法違反が成立する可能性は否定できません。
こちらの判例に競争関係とはどんなものか、書いてありますので引用します。
不競法2条1項14号(筆者注:現在の21号)にいう「競争関係」とは,必ずしも双方が販売競争を行っているというような現実の商品販売上の具体的競争関係にあることを要するものではなく,広く同種の商品を扱い,あるいは同種の役務を提供するという業務関係にある場合でよく,顧客獲得のため競争関係にあれば足りる。
腰痛や肩こりなどを解消する役務を提供しているのであれば競争関係は成立するでしょう。
なので鍼灸マッサージ師や整形外科医などが違法施術所紹介シリーズの記事を紹介する場合、引用の判例を精査する必要があります。
ま、それ以外の方が記事を紹介するのは問題無い、ということだけご理解いただければ。
*1:第2条第1項第21号