苦情主の行為が「脅迫罪」だと主張する小泉一真長野市議会議員。「害悪の告知」の証拠を持っているのか?
長野市の青木島遊園地の閉鎖(公園廃止)問題だが、小泉氏は苦情主の言動は、長野市の顧問弁護士が「脅迫罪」「業務妨害罪」と解釈するものだと主張し、苦情主は擁護されるべきではない、という考えだ。
あなたのお考えをききましょう。
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年12月18日
この違法不当な行いが、擁護されるべきとお考えですか。 pic.twitter.com/6gZQltT709
【#公園廃止 FACT CHECK: 苦情元は被害者?】
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年12月17日
苦情元世帯の行為は「脅迫罪」「業務妨害」との弁護士見解を長野市は記録。つまり被害者は市。同時に遊園地で発生する音については「受忍限度内」とも記録。
一方で、公園開設当初、市から説明がなかったと苦情元世帯は主張する。#青木島遊園地廃止反対 pic.twitter.com/5mjItmBpth
この見解を区長会(自治会連合みたいなもの)に伝えてないから、廃止手続きは不当である、というのが小泉氏の主張である。*1
小泉氏が情報公開制度に基づき入手した、長野市と顧問弁護士の相談記録は下記PDFの5頁目である。
相談時間は40分である。「子供の声がうるさいという理由で、子供を遊園地で遊ばせないこと」が「脅迫罪」「業務妨害」に当たる、という見解である。
なお、「弁護士からのアドバイス」に刑事告訴、告発や被害届の提出は書かれていない。
この書類は市役所職員が書いたものであって、弁護士が書いたものではない。なので伝聞であり、伝言ゲームのような問題が存在する。
まず脅迫罪だが、刑法222条で規定される罪である。
(脅迫)
第二百二十二条 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者も、前項と同様とする。
「生命、身体、事由、名誉または財産に対し、害を加える旨」(害悪)を告知しないと脅迫罪は成立しない。
これまで、小泉氏は情報開示請求で得られた文書を公開しているが、それらを読む限り、苦情主が「害悪を告知」していると思われる言動が無いのである。
公園での遊び方を制限するように「要求」はしているが、苦情や要求だけで犯罪になるなら、やった者勝ちの社会になる。なお脅迫を伴って要求した場合には強要罪が成立する。
(公務執行妨害及び職務強要)
第九十五条 公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
2 公務員に、ある処分をさせ、若しくはさせないため、又はその職を辞させるために、暴行又は脅迫を加えた者も、前項と同様とする。(強要)
第二百二十三条 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
2 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。
3 前二項の罪の未遂は、罰する。
私はこれまで、小泉氏のツイートを引用する形でその疑問を提示しているが、苦情主のどの言動が「害悪の告知」に該当するのか、回答が無い。
苦情主のどの行為が「害悪の告知」に該当するんだろう?
— びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 (@binbo_cb1300st) 2022年12月16日
報告書を読む限りでは子供やセンター館長、市の担当者に、苦情主が「害悪」を告知したと解釈できそうな言動は無いと思うが。
仮定の上で出された回答を記録したようにも思える。#公園廃止 #青木島遊園地 #脅迫罪 https://t.co/mKhAL85YJT pic.twitter.com/s1cCHDCKAX
弁護士見解と付けることは忘れない。
— びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 (@binbo_cb1300st) 2022年12月18日
一般人ならともかく、地域の立法権(条例制定)に携わる議員が犯罪の構成要件を知らない、といって、どの言動が害悪の告知と特定せずに弁護士見解を広めても免責されるのか。
それとも害悪の告知の証拠をお持ちか?#公園廃止 https://t.co/mKUSs3t3Vi
一般人なら役所の文書に記載された弁護士の見解を投稿しても、「信じるに足る相当の理由」があるとして、名誉毀損の不法行為の成立を否定する余地は出てくるかもしれない。
しかし、地域の立法権(条例制定)を担う市議会議員が、法的な事柄に対し、一般人と同レベルというわけにもいくまい。
弁護士との相談の際、市側が害悪の告知を仮定して相談し、その仮定を前提として脅迫罪と答えたのかもしれない。
仮定無しで脅迫罪(または強要罪)が成立するならなぜ被害届の提出を弁護士はアドバイスしなかったのか。
まとめると
- 脅迫罪等の必要条件である「害悪の告知」が苦情主のどの言動か、不明。
- 仮定なしに脅迫罪等が成立するなら、なぜ弁護士は被害届等の提出をアドバイスしなかったのか。
という疑問が有る。
小泉氏の投稿は、「苦情主が、弁護士が脅迫罪と解釈するような行為をした。」という事実の摘示とも解釈可能であろう。
*1:そんなことを言ったら、児童センターや公園の設立手続きも近隣住民に説明していない時点で不当なのだから、今回の廃止は当然である。