歯科医業でないでしょ?と確認したら、歯科医業と役所から回答

経済産業省のグレーゾーン解消制度を使って、企業が行おうとしている事業は歯科医業でないでしょ?と確認したら歯科医業に該当する旨の回答があった話。

 

 

www.meti.go.jp

令和元年9月26日付けにて「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」、「歯科医師法」及び「歯科技工士法」に関する規程の適用の有無について照会があり、同法を所管する厚生労働省に対して確認を求めた結果、10月25日付けにて回答がなされました。
照会及び回答内容の詳細は、別添の厚生労働省の公表内容をご覧ください。

というわけで厚労省の公表PDF

https://www.mhlw.go.jp/content/000562198.pdf

本文より事業内容

強調は筆者による(以下同様)。

<事業の流れ>
① 利用者が事業者の通販サイトで型採りキット購入する。
② 利用者へ型取りキットを郵送する。
③ 利用者が型取りキットにて歯型を採り、型採り後の確認写真を事業者の LINE@あるいはメールにて送付する。
事業者の型取り確認担当が、型取り状態を確認する。
⑤ 利用者が事業者へ歯型を返送する。
事業者がマウスピースを製作後、利用者へ郵送する。

 

事業者が利用者の歯型に合わせてマウスピースを作成すると。

 

で、この事業で作成するマウスピース等に関しては

<本スポーツマウスピース及びナイトガードについて>
事業者のスポーツマウスピース、ナイトガードの効果及びメリットは以下の通り。


スポーツマウスピースについては、
① 口の中にフィットしているので、「外れない」「呼吸を妨げにくい」「会話を妨げにくい」
② 違和感が少ないので「プレーに集中できる」
③ きちんと口の中で安定している為、スポーツ時に脳震盪になりにくい
④ 噛み合わせが安定するので、食いしばりやすくなりパフォーマンスが上がる
⑤ デザインが豊富


ナイトガードについては、

① 口の中にフィットしているので、寝ている間「外れない」「呼吸を妨げにくい」
② 違和感が少ないので睡眠を妨げにくい
歯ぎしりをしても歯を守れる、顎が疲れにくい

 

なんか医療関連性の目的を有しているようにも思えますが、後述するように厚労省の回答としては医療機器に該当しない、ということだ。

 

で、事業者が確認したいこととして

上記3.(筆者注:事業内容)に記載の事業におけるスポーツマウスピース(マウスガード)及びナイトガード(以下「マウスピース等」という。)が、医療品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律の第2条第4項に規定する医療機器に該当しないことを確認したい。

また、本事業におけるインターネット通販を活用したマウスピース等の製作・提供について、歯科医師でない者が行う場合に歯科医師法第17条に該当しないこと、また、歯科医師が行う場合であっても歯科医師法第20条に該当しないことを確認したい。

加えて、本事業においてインターネット通販を活用してマウスピース等を製作することが、歯科技工士法第2条の「歯科技工」に該当しないことを確認したい。

  • 当該マウスピースが薬機法上の医療機器で無いこと
  • 歯科医業でないこと(歯科医師法17条)
  • 無診察治療で無いこと(歯科医師法第20条)
  • マウスピース等の作成が歯科技工でないこと

の確認を求めている。

それに対し、厚労省の回答は

確保等に関する法律の第2条第4項に規定する医療機器には該当しない。なお、広告・表示等において疾病の治療効果、予防効果等に訴求した場合は、当該マウスピース等が医療機器に該当する可能性もあるため留意すること。


ただし、御照会の事業において事業者が特定人に対して作成するマウスピース等は、口腔内に装着されるものであり、不適切なものであった場合、歯列や咬合等に影響を及ぼし、歯科医師の歯科医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼすおそれのある歯科医行為に該当し、当該事業により提供等されるマウスピース等は歯科技工士法第2条第1項に規定する歯科技工により作成されるべきである。


以上より、御照会の事業は、歯科医師法第17条に規定する歯科医業に該当する

なお、御照会の事業を歯科医師が行った場合、無診察治療に該当し、歯科医師法第20条に抵触する。

と歯科医業、歯科技工に該当すると回答している。

グレーゾーン解消制度は黒とも判定することがある。

 

今回の照会が歯科医業に該当することを確認する、台本有りきのプロレスだったのか、本気で歯科医業に該当するとは考えていなかったやぶ蛇だったのか、よくわからない。

 

ただ正式な手続きで回答を要求した場合、照会者の意に沿わない回答を公文書として出される可能性もあるわけである。

 

当業界も不本意な回答をもらったりするわけで。

 

binbocchama.hatenablog.com

 「1」としてるのに続きを書いてないことはご容赦願いたい。

 

で、整体とかカイロの業界はこういう制度を使って照会や質問をしたことがあるのかしら?

自分たちの施術や診察行為に、合法の自信があるなら照会してみるべきでしょうし、違法性を認識しているならやぶ蛇になりますのでしない方が良いわけです。

 

また今回の事業、厚労省は医療関連性が無いと判断しながら歯科医業に該当すると回答している。

医業・医行為に医療関連性の目的が必要かどうか、タトゥー裁判で争われているところであるが、このケースではやはり歯科医業に該当するという判断は正しいと思う。

 

binbocchama.hatenablog.com