保健師助産師看護師法第37条に書かれている「診療機械」とは何ぞや?カイロプラクティックのアクティベーター療法は医行為か?
「診療機械の使用」は医行為である。
医行為は「医療及び保健指導に属する行為のうち,医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」*1とされる。
下線部については保健師助産師看護師法第37条の条文そのままである。
第三十七条
保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣かん腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。
この条文は看護師が医師の指示なく、勝手に医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をするな、という内容である。
その例示として「診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をし」とあるわけである。
つまり「診療機械を使用」というのは医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為であり、医行為なのだ。
法令上、「診療機械」とは何ぞや?
それでe-GOV法令検索で「診療機械」を全文検索すると、保助看法以外には歯科衛生士法しか出てこない。
第十三条の二
歯科衛生士は、歯科診療の補助をなすに当つては、主治の歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、又は医薬品について指示をなし、その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をすることは、さしつかえない。
厚労省の通知を「診療機械」で検索してもヒットしない。
薬機法で定義されているのは「医療機器」であり、下記のように定義される。
第2条
4 この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
というわけで、政令で定めていなければ医療機器には該当しない。
そして薬機法上は「機械器具」という単語はあるものの、「機械」のみでは記述していない。
さて、保助看法、歯科衛生士法で記述している「診療機械」とはなんぞや?
カイロプラクティックで使用されている診療機械?
カイロプラクティックにはアクティベーターというテクニックが有る。
下記のページで紹介されているような機械を使い、矯正するテクニックである。
Youtubeなどで見てるともっぱら脊椎に当てて矯正しているようである。
またカイロプラクティックの流派には、第1頚椎のズレが症状の原因であるとして、下記の動画のように機械で首のズレを測定し、別の機械で力学的刺激を第1頚椎に加えて矯正している事業者もある。
これ、「診療機械」だよなぁ、と思うのは私だけですかね?
無免許治療をするなら、(治療)機械は使わないほうが無難というわけである。
ま、カイロプラクティック自体、人の健康に害を及ぼすおそれが無いとはとても言えないわけだが。