このブログで何度か取り上げているが、事前に行政に対し、違法性の有無を確認できるグレーゾーン解消制度というのがある。
グレーゾーン解消制度による、AI契約レビューサービスの照会と業界大手他社の対応
この制度を利用し、AIによる契約審査サービスが弁護士法72条(弁護士以外による報酬目的での法律事務等の禁止)に違反しないかどうかの照会があり、違反する可能性もある、という回答だった。
以上によれば、本件サービスは、弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能性があると考えられる。
この回答の、AI契約レビュー業界や弁護士界隈におけるインパクトは大きかったようである。
業界大手の対応:プレスリリースと弁護士による意見書
AI契約レビューで有名らしい(私はこの業界に詳しくない)、LegalForce社は自社サービスが適法であるとプレスリリースを出す。
本回答は、グレーゾーン解消制度を用いて法務省に対してなされた照会に対する回答として公表され、今般照会した事業者のサービスに対してのみ判断がなされたものです。
こちらは弊社による照会ではなく、弊社の事業に対して影響を与えるものではありません。
なお、弊社サービスと弁護士法第72条の関係につきましては、従前より外部の専門家や弁護士との協議を踏まえ、適法に設計しております。
さらにメールで、自社サービスが適法であるという、弁護士事務所による意見書を送付している。
LegalForce社から桃尾・松尾・難波法律事務所の「LegalForce社による契約業務AI総合支援サービスの適法性に関する意見書」と題する書面がメールで送付されてきた。これをしっかり読んでから最終判断しようと思う。
— 高橋雄一郎 (@kamatatylaw) 2022年6月10日
他の弁護士による、意見書全文を画像で投稿したツイートも有ったが現在は削除済みのようである。
整体やカイロプラクティックの業務が医師法・あはき法に違反しないという、法学者・弁護士による意見書は存在するのか?
こんな具合に、自社サービスが違法と疑われる状況になった場合には、自社サービスが適法である旨を主張し、その根拠を示すのが通常であろう。
さて、整体やカイロプラクティックの施術業務、とりわけ問診や検査を伴う施術業務が医師法17条、あはき法12条に違反しないという、法学者・弁護士による意見書は存在するのだろうか?
私が日本カイロプラクターズ協会から発信者情報開示請求を受けたとき、そのような意見書を提示されていない。
日本カイロプラクターズ協会は下記ページに「JACの要望書・意見書・見解」を載せている。
とりわけ、「専門的職業であるカイロプラクターに関する意見書」で「カイロプラクティック専門の臨床が行える根拠」を記述している。
しかし、問診判例や、検査の裁判例(富士見産婦人科病院事件の保助看法違反事件。東京高裁昭昭和63(う)746 判例タイムズno.691 1989.5.15 p152)には言及していない。
他の整体やカイロプラクティックの団体で、問診や検査の違法性に関して、法学者や弁護士による意見書を公開している事例があればご連絡願いたい。