判例

あはき法が守ろうとする公共の福祉。昭和35年判決と広告判決を比較して。

最近、月曜日のたわわの新聞広告に関し、企業の表現の自由が話題になっているようである。 月曜日のたわわ(1) (ヤングマガジンコミックス) 作者:比村奇石 講談社 Amazon そして営利広告に関する大法廷判決は、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等…

保健指導は医行為ではなかった?誤った保健指導は人を殺す。

保健指導は医行為なのか? タトゥーの最高裁決定に関し、 って判示からは、保健指導も医行為に含まれる=医師の業務独占であるとしか読めないけれども、保健指導が保健士の名称独占だけれども業務独占ではない点(保健師助産師看護師法29条)と整合するのか?…

タトゥー裁判(医師法違反事件)の最高裁決定を読んで。医業類似行為への影響など。

彫師がタトゥー施術をしたことが医師法違反事件に問われた事件で、最高裁の決定が出され、被告人の無罪が確定した。 決定文が裁判所サイトに掲載されたので思うところを書いていく。 無罪となった控訴審判決時に書いた記事は下記のとおり。 binbocchama.hate…

栃木の祈祷師による殺人事件:1型糖尿病の児童に対する医療ネグレクトと、このような「治療」行為が放置されている原因

1型糖尿病の児童に対するインスリンの不投与を指示したとして殺人罪に問われた祈祷師(医療系の免許は持っていない。)に対する最高裁の決定(上告棄却)がされた。 www.asahi.com 栃木県で2015年4月、治療と称して1型糖尿病を患う男児(当時7)にインスリン…

消費者契約法に基づき、カイロプラクティック施術の施術料の返金を求めた訴訟

国民生活センターは消費者契約に関する判例集を公開している。 [PDF]消費者契約法に関連する消費生活相談の概要と主な裁判例 その中にカイロプラクティックの施術料の返金を求め、棄却された裁判例が掲載されている。 22東京地裁平成25年3月26日判決 原告の…

平成医療学園は晴眼者のあん摩マッサージ指圧師(及びなろうとする者)の営業権を考えているのか?

あはき法19条裁判の違憲の主張について、気になったところがあったのでメモとして残す。 違憲判断の手法 裁判所は19条が違憲と判断するための基準として あはき師法附則19条1項による,視覚障害者以外の者を対象とするあん摩マッサージ指圧師の養成施設等…

あはき法第19条裁判東京地裁判決第3の2:憲法22条1項適合性とその他

binbocchama.hatenablog.com binbocchama.hatenablog.com 2 争点1(あはき師法附則19条1項の憲法22条1項適合性)について 判決文に見出しが無いのもあるので、その場合は適当な見出しをカッコ付きでつける。 (1)(憲法22条適合の一般的な判断) ア (薬…

あはき法第19条裁判東京地裁判決 第3の1:認定された事実

binbocchama.hatenablog.com 続きで、「第3 当裁判所の判断」の1、「前提事実に加え,掲記の各証拠及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。」です。 (1)あはき師法附則19条1項の制定に至る経緯等 ア あん摩業における視覚障害者優先措置の沿…

コメディカルの法規に見る、資格法制化前の業務従事者の扱いとカイロプラクティック等の法制化で想定されること

医療の発展により、新しく専門職が必要になることがある。 そういう場合、看護師などが行うか、そうでないものが業務を行ったりする。 そして国家資格にする必要が出てきて、法律が成立したときには既存の業務従事者をどう扱うか、ということが法律に書いて…

施術者が実際に健康状態等を判断しなくても、被施術者が判断されたと思ったら医行為である。

詐欺事件における医行為の認定 問診判例に見る、機械的作業と医行為 詐欺事件における医行為の認定 医師法違反,詐欺被告事件 札幌地裁 平成15(わ)52 平成16年10月29日 被告人の行った眼球虹彩診断等は医行為にあたり,被告人は,本件犯行当時,自己の提唱す…

整体師などの無免許業者が医師法違反で有罪となった事例はあるのか?

そんな質問をいただく。 報道されているのではこんなのが有る。 www.sankei.com 2016年11月9日の記事である。 医師免許がないのに赤外線を照射して疾患が治るとうたい、治療費をだまし取ったとして、詐欺と医師法違反の罪に問われた高松市の治療院経営、藤原…

爆発物取締罰則と医師法17条、あはき法12条の対比

前回の記事では、昭和35年判決に関し、人の健康に害を及ぼす虞の立証は必要無く、無免許業者がおそれが無いことを証明できなければ違法施術と判断して良い、という趣旨で書いた。 binbocchama.hatenablog.com その考えを補強するために、爆発物取締罰則を…

医業類似行為の違法性の認定は「人の健康に害を及ぼすおそれ」について「判断」すれば良く、立証までは必要ない。

昭和35年判決ですが ところで、医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼす虞があるからである。 それ故前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に…

改めて柔道整復師養成施設不指定処分取消請求事件の判決文を読んでみる。

平成医療学園のグループがあん摩マッサージ指圧師養成校の認可を求め、不認可されたことに対し、処分の取り消しを求める裁判を行っているわけですが、改めて福岡地裁で行われた、柔道整復師養成施設不指定処分取り消し請求の判決文を読んでみましょう。 下線…