行政に苦情を入れたらネットリンチされる街、長野市。市民が行政に苦情を入れたら市議会議員に上級国民呼ばわりされ、ネットリンチされる。杉尾秀哉参議院議員(立憲民主党)はネットリンチを幇助した?
(2022年12月11日:小泉氏と杉尾秀哉参議院議員との関係を追記)
(2022年12月13日:小泉氏の本会議発言を追記)
(2022年12月19日:小泉氏が、動画で個人宅が特定される情報を掲載した旨を認めたツイートを掲載。)
【お詫び】本日、第三者からの指摘により、小泉が公開した動画において、個人宅の所在を示唆する情報があると指摘を受けました。当該動画は既に非公開としました。ご迷惑をおかけした各位にお詫びいたします。
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年12月19日
(追記終わり)
1世帯の苦情により子供が遊ぶ公園が廃止されてよいか、と問題になり全国報道もされ、私もブログ記事を書いた。
そして長野市は廃止方針を維持した。
長野市や荻原健司市長は苦情主を特定、誹謗中傷しないように呼びかけた。
【波紋】「公園廃止」1軒の苦情"子どもの声うるさい” 住民特定、個人攻撃を危惧…荻原健司長野市長「誹謗中傷はやめて」(NBS長野放送) - Yahoo!ニュース
(2022/12/13追記)
12月12日の市長記者会見では小泉市議が、苦情主に対する誹謗中傷を主導したのではないか、と質問している。
Q9(記者)
インターネット上で、苦情を寄せていたとされる方への誹謗(ひぼう)中傷がかなり目立っているように見受けられるが、改めてこの点について市長の考えを教えていただきたい。
A9(長野市長)
われわれとしては、個人の特定につながることがないよう慎重に対応してきたつもりだが、現状、SNSなどで個人の特定につながる、あるいは批判のような投稿が見受けられることについては、とても残念に思う。ぜひそういったことにならないように、皆さまにはお願いを申し上げる。
Q10(記者)
それ(苦情を寄せていた方への誹謗中傷)を市議会議員の小泉氏が主導しているという見方もあるが、市長としてどう受け止めているか。
A10(長野市長)
どういった形で今、SNS上で個人が特定され、批判のような記事が投稿されているかという経緯は、私は承知していない。
- 長野市議会議員 小泉一真氏が苦情主を「上級国民」呼ばわり。
- 有名人も名誉教授としての有り様を「批判」
- 小泉氏は動画で苦情主の自宅を示した。
- 苦情主の名誉教授は「上級国民」か?それとも一般人か?
- 小泉氏は専門分野や業績を知りながら苦情主を「上級国民」呼ばわりした。
- 公園を改築させたから「上級国民」?
- 小泉氏は一般市民を相当の根拠なく「上級国民」呼ばわりして、苦情主に対するネットリンチを扇動した。
- 議会外での言動は議会での懲罰対象外。
- 本会議での質問における、脅迫的発言
- 「ネットリンチの街、長野」になるか、少数の人権にも向き合う長野になるか。
- (追記)小泉氏と杉尾秀哉参議院議員(立憲民主党)の関係。今回の報道には杉尾氏も関与していた?
長野市議会議員 小泉一真氏が苦情主を「上級国民」呼ばわり。
この問題で長野市議会議員、小泉一真氏が苦情を言った住民(苦情主)を「上級国民」と呼び、市が「上級国民」である苦情主に「忖度」したのではないか、と疑問を呈す。
そしてその苦情主が国立大学の名誉教授であると報道される。
市に情報公開請求をして、この問題を追及してきた小泉一真・長野市議はこう話す。
「大学教授は上級国民と言える立場です。その男性の意見を聞き、忖度したと思われかねない対応をした市側も、果たして適切な対応だったと言えるのか疑問があります。市側の対応が男性の意見を増長させ、同時に不信感も増長させた可能性があります」
【公園廃止】「子供の声がうるさい」と意見したのは国立大学名誉教授 市役所は忖度か(NEWSポストセブン) - Yahoo!ニュース
小泉氏が記者に、苦情主が名誉教授だと伝えたのか否かは断定できないが、この報道前から、小泉氏は苦情主が名誉教授だとは知っていた。
小泉のコメントも掲載されています。#公園廃止#青木島遊園地廃止反対 #上級国民
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年12月6日
クレーマーの属性が大学の名誉教授という点についてはプライバシー保護のため、小泉は否定してきました。結果として皆様に事実をお伝えしてこなかったことについては、お詫びいたします。 https://t.co/gYWyjpJ5VB
苦情主が名誉教授だとわかって、一部のネットユーザーは苦情主を特定したり、誹謗中傷するようになる。
有名人も名誉教授としての有り様を「批判」
有名人も苦情主が名誉教授であることをもって「批判」している。
信州大学では教育上の功績のあった人が名誉教授になります。子供の公園を許容出来ない人は名誉教授に相応しいですか?
— ひろゆき (@hirox246) 2022年12月7日
〉信州大学名誉教授称号授与規程
第7条 名誉教授にふさわしくない行為を行った場合は,教育研究評議会の議を経て,名誉教授の称号を取り消すことができるhttps://t.co/y2ksxJg9Ir
定年退職してヒマになって家にいて疎外感孤独感から子どもの声に苛立ったものか。そんな了見の狭い苦情言ってるくらいなら、子どもたちと一緒に遊べばいいのに。名誉教授?まずは名誉も外そうか。そんなくだらんもん、もういらんでしょ。それより子どものために動いてよ。 https://t.co/Dvm5B8doIy
— shinshinohara (@ShinShinohara) 2022年12月6日
なんのために大学で「学問」をやっていたのか。人間の本質なんて、何もわかっていないじゃないか。みんなかつては子どもだったんだよ。情けない。
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) 2022年12月6日
【公園廃止】「子供の声がうるさい」と意見したのは国立大学名誉教授 市役所は忖度か|NEWSポストセブン https://t.co/35afpJgJMT #NEWSポストセブン
一ミリも理解できない。
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) 2022年12月9日
しかも「教育者」だったんでしょう。
情けない。
子どもは、そこが公園でも、空き地でも、場所があったら遊ぶのが本来の姿で、そういう人間として当たり前のことを忘れている現代社会は根本的におかしい。
もちろん、この人もおかしい。 https://t.co/eQmkHKW6tf
自宅の近くの公園で遊ぶ子どもたちの声がうるさいと市役所に文句を言い続け、公園を閉鎖させた国立大学の名誉教授。お前、大学教授だか何だか知らないが、とりあえず小学校からやり直せ。つーか、お前が引っ越せ。
— きっこ (@kikko_no_blog) 2022年12月8日
小泉氏は動画で苦情主の自宅を示した。
小泉氏はYouTubeの動画で苦情主の自宅の位置を示した。
以下の画像は小泉氏のYouTubeの動画のスクショで、苦情主住宅付近はプライバシー保護のため加工した。
住宅付近にオレンジ色でバツを付けたため、上のスクショの加工部分はオレンジ色が混ざっている。
実際のバツ画像は下記の通り。
苦情主の名誉教授は「上級国民」か?それとも一般人か?
ネット上で苦情主は特定されてしまっている。
それで苦情主の専門分野であるが、分析・測定に関するものだった。
私は大学では化学系だったが、それであれば分析化学の一部に相当する分野と言える。
何かを生産する分野(有機合成化学とか)の教授なら地域産業振興との関わりで自治体側も忖度するかもしれないが、分析・測定では歩留まりや作業効率の改善ぐらいである。それはそれで大事ではあるが、素人である行政職の役人には重要性が理解しにくいと思う。
また苦情主はすでに大学を退職しているのだから公務員ではない。
というか、それだけ「忖度」させられる立場なら苦情を入れてから廃止まで、18年もかからないだろう。
教授に権力が有ったとしても、退職したらただの人とまでいかなくても、権力は弱まる。
ツイキャスで小泉氏は、苦情主が市議よりも影響力が有る立場、と述べていたが、少なくとも市役所職員に忖度させることができるのはこの苦情主よりも市議の方だろう。
「上級国民」なら市役所との交渉では市議を同席させることだってできるだろう。*1
そのような記録は有るのだろうか?
小泉氏は専門分野や業績を知りながら苦情主を「上級国民」呼ばわりした。
小泉一真氏は教授の研究業績を見たことをYouTubeで述べている。
そんなわけで私は小泉氏にツイッターで質問した。
.@kazumakoizumi #公園廃止 の苦情主と噂される教授の研究分野・実績を見たのですが行政に「忖度」されるべき「上級国民」とは思えません。
— びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 (@binbo_cb1300st) 2022年12月9日
DMは開放しておりますので、小泉様が教授を行政に忖度されるべき「上級国民」であると判断した理由をご回答ください。#長野市 #長野市議会 #青木島遊園地
この記事を書いている時点では回答が無い。
公園を改築させたから「上級国民」?
小泉氏は動画で、上級国民と判断したのは、地元の協議をひっくり返して、苦情主の都合の良いように公園を改築させた旨、主張している。
https://youtu.be/mNVnpU4ibfc?t=1307
前の記事でも書いたが、「上級国民」という言葉が出されるようになった池袋暴走事故では被疑者が叙勲された元通産省官僚で、逮捕勾留されなかったが、一般人の死亡交通事故では逮捕されるという違いが有った。
それで青木島遊園地と同じような環境(児童センター、保育園、小学校に隣接)の遊園地(公園)は無い、と長野市自体が認めている。
なので同じ条件で比較できないので、苦情主が優遇されているとは判断できない。
単に多数決で決めるのは前の記事で書いたように、多数の利益のための生贄であり、全体主義である。
被害が深刻ならそれに応じた対応を当然すべきであるから、この対応をもって苦情主を「上級国民」と呼ぶのは失当である。
苦情主は子供の声だけでなく、保護者の車も問題にしている。
なので公園のみの場合は類似ケースとは言えない。
児童センターと公園が隣接している環境なら青木島遊園地と類似しているケースと言えるかもしれない。
それらの公園・児童センターに対する苦情の有無と処理について、小泉氏は情報を得ていたのだろうか?
それで他の公園では対応してもらえなかった、というのであれば本件の苦情主が「忖度」されたと言える可能性は出てくるが。
小泉氏は一般市民を相当の根拠なく「上級国民」呼ばわりして、苦情主に対するネットリンチを扇動した。
以上、苦情主を、市役所職員が「忖度」すべき「上級国民」であると判断すべき相当の根拠がない。
小泉氏が苦情主の住宅の場所を動画で公開し、「上級国民」と呼んでいたのは小泉氏が各サイトで投稿した内容から明らかである。
苦情主を特定、誹謗中傷する動きがあるのは荻原市長や報道で言及されているとおり。
よって、小泉氏は一般市民に対するネットリンチを扇動したものであって、議員としての品性を欠く。
議会外での言動は議会での懲罰対象外。
ただし、市議会での懲罰処分は議会内での言動に限定されるそうだ。
実際、無免許運転をしていた都議は懲罰できず、辞職勧告決議しかできなかった。
本会議での質問における、脅迫的発言
12月9日、小泉氏は長野市議会本会議で質問している。
会議はネットでも中継され、私は見ていた。
アーカイブは翌平日の夕方ぐらいだそうで、まだ掲載されていない。
長野市議会録画中継動画の31:49より小泉氏の発言を動画から書き起こし。
今、国民世論は青木島遊園地存続にあります。
この雰囲気の中で廃止を強行すれば地域で、苦情を持つ世帯の立場を危うくすることになります。
苦情を持つ世帯が態度を軟化させる態度を見せている今、廃止は立ち止まって見直すべきではないでしょうか。
小泉氏は、苦情主が個人特定(攻撃?)で態度を柔軟化しているから再交渉すべき、みたいな発言をした。
見ていたときの私のツイート
世論は存続だと主張して脅迫してる。
— びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 (@binbo_cb1300st) 2022年12月9日
自らがネットリンチを扇動して、それで態度が柔軟化しているから再交渉せよ、ということである。
これは自らが扇動したネットリンチを正当化する発言であり、議員としての品性に欠くと言わざるをえない。
これは本会議での言動だから当然懲罰の対象となる。
ただし、長野市議会会則によれば懲罰動議を出せるのは懲罰事犯があったときから3日以内である。これに土曜・休日をカウントするかはよくわからない。
(懲罰動議の提出)
第160条 懲罰の動議は、文書をもつて所定数の発議者が連署して、議長に提出しなければならない。
2 前項の動議は、懲罰事犯があつた日から起算して3日以内に提出しなければならない。ただし、第49条第2項又は第113条第2項の規定の違反に係るものについては、この限りでない。
但し書きは秘密会に関する条文であるので今回は関係ない。
本会議のアーカイブができる前にこの記事を公開するのは時間の問題が有るからである。
「ネットリンチの街、長野」になるか、少数の人権にも向き合う長野になるか。
行政に(多数派の利益に反する)苦情を入れたらネットリンチを受けるような自治体に住みたいと思えるだろうか?
今回の長野市の対応は少数の被害者に寄り添う対応であり、多数の利益(利便性)のために生贄(心身へのダメージ)を出さない対応である。
今回の小泉氏のネットリンチ扇動は被害者の人権を無視するものであって、除名処分すべきである。
(追記)小泉氏と杉尾秀哉参議院議員(立憲民主党)の関係。今回の報道には杉尾氏も関与していた?
立憲民主党の杉尾秀哉参議院議員(長野県選挙区)がこの件に関して
地元長野発のこのニュース、最初に報じられた時から心配していました。地元の市議さんから相談を受け、メディア関係者とも相談していましたが、ここに来て一気に全国ニュースに。https://t.co/mdjfCEwrji
— 杉尾ひでや 参議院議員 長野県選出 (@TeamSugioHideya) 2022年12月9日
とツイート。
リンクしたのはTBSのページで、杉尾氏は以前、TBSでキャスターをしていた。
このツイートに小泉氏はリプライしている。
杉尾先生、ご心配おかけしてすみません。
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年12月10日
ドイツのように、法で子どもの声は騒音でないとする等、国で何らかの手立てを打てないものでしょうか。このようなトラブルは、水面下ではまだあると想像します。
小泉氏は今年(2022年)の参議院議員選挙で杉尾氏の応援をしている。
住民をクレーマー、上級国民と誹謗している小泉市議は前回の参議院選挙も市議の立場でありながら立憲民主党の杉尾氏(共産党長野支部と政策合意)を支持し、対立候補のネガキャンを続けていましたので、小泉市議と杉尾参議院議員の関係はわかりやすい。#青木島遊園地 #公園廃止 #上級国民 #クレーマー pic.twitter.com/Z9WmLVgLpJ
— 圭 紅美子 (@kumiko_kei_) 2022年12月10日
小泉氏の、杉尾氏に言及するツイート
「 #杉尾ひでや 候補に投票お願いします!」笑顔と拍手。
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年7月6日
グラウンドゴルフ大会冒頭、ご挨拶。
今朝は交通安全街頭啓発の終わりの会でも投票依頼。
杉尾参議を応援する方は、勇気を出して周りに投票の声かけを! #参議院選挙2022 #長野県区 pic.twitter.com/6qkZrRMhym
テロの模倣犯を警戒しなければと思い、#杉尾ひでや 陣営に託した。けれど、杉尾先生は「着けずに言論の自由を訴える」と仰られたとのこと。さすがに覚悟がちがうわ。#参議院議員選挙2022 #長野県区#テロ撲滅 pic.twitter.com/A5qXnVSaWL
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年7月9日
#杉尾ひでや 参議、当選!! ヤッター!!
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年7月10日
御支援いただいた方々、おめでとうございます。当選挨拶で、投票してくれた方だけでなく、投票してくれなかった方の為にも働く旨、杉尾先生は仰られました。全県民的な勝利です! #参議院選挙2022 pic.twitter.com/nsZqpdTK8J
杉尾氏をたたく批判は、その論拠を示さないものばかり。単なる印象操作で、民主主義を脅かす行いです。
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年7月10日
【勝訴!】亡くなった赤木俊夫さんを「つるし上げた」などと報道され名誉を傷つけられたとして、杉尾ひでや議員・小西洋之参議院議員が産経新聞社と記事を寄稿した作家の門田隆将氏を相手取った裁判の判決 https://t.co/ksxX8ZF0GF
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年11月9日
ご報告です。
— 杉尾ひでや 参議院議員 長野県選出 (@TeamSugioHideya) 2022年11月9日
森友学園を巡る公文書改ざん問題で、亡くなった赤木俊夫さんを「つるし上げた」などと報道され名誉を傷つけられたとして、小西洋之参議院議員と私が産経新聞社と記事を寄稿した作家の門田隆将氏を相手取った裁判の判決が本日午前、東京地方裁判所で出されました。
メディアに影響力を持つ国会議員と関係を持ち、自分の考えに反する一市民を「吊し上げる」ための報道をさせた小泉氏こそ「上級国民」だと思えるのは私だけだろうか?
*1:町内会だって、市役所にお願いするときは市議を通したりするので、市議に依頼できるからと言って、上級国民とは言えない。
あなたはどこに住んでいます?長野市の青木島遊園地(公園)の廃止に対する反応で思うこと。多数の利益のために、一人だけなら生贄にしても良い?
信濃毎日新聞が、長野市の青木島遊園地(公園)が、近隣住民の苦情により廃止されることと、問題提起する内容の記事を出した。
市公園緑地課の平沢課長は「開設から18年もの間、一部住民に負担を強いてきたことを重く受け止めた」。
と述べている。
苦情主を老害や不当なクレーマー扱いする反応が多い。
後掲の女性自身の「“子供の声がうるさいから公園廃止”にネット騒然…「日本終わってんな」の一方、住民側の“事情”に共感する人も」の記事でも
Twitterでは著名人たちも関心を示している。タレントのフィフィ(46)は、《モンスタークレーマーに屈してどうする…》と同記事に反応。脳科学者の茂木健一郎氏(60)も、《ダサい一部住民。まったく共感できない。子どもたちかわいそう。行政の判断もおかしいよ。無視しろよ。無視。にんげんの全体を見ろよ》と痛烈に批判した。
と、有名人の反応が書かれている。
⬜️子供の声がうるさいから公園廃止…それでいいの?
— フィフィ (@FIFI_Egypt) 2022年12月2日
フェンスの張り紙にな「公園は廃止いたします」とあった。市役所が作った張り紙で、原状復旧工事のため閉鎖するとし「長い間ご利用いただき、ありがとうございました」と結んでいた。https://t.co/l38RwXXF6V
モンスタークレーマーに屈してどうする…
ダサい一部住民。
— 茂木健一郎 (@kenichiromogi) 2022年12月2日
まったく共感できない。
子どもたちかわいそう。
行政の判断もおかしいよ。無視しろよ。無視。にんげんの全体を見ろよ。
子どもの声がうるさいから公園が廃止…それでいいの?揺れる長野市の現地で徹底取材〈声のチカラ〉(信濃毎日新聞デジタル) https://t.co/stSsdTjx8O
この記事を書いてるうちに長野市はこの件に関して記者会見を行った。
さて、この問題に小泉一真氏という長野市議会議員が、公園廃止に反対する立場で取り組んでいる。
小泉氏はこの問題に関して、開示された公文書を公開している。
それで苦情主側の主張なども明らかになり、苦情主に理解を示す者もいる旨、女性自身が報じている。
この資料を読んだユーザーからは、《公園廃止の説明文読んだら印象違うんだが》《これ自分の家だったら耐えられるか自信ない...》《「クレーマーを追い出せ」みたいなこと言ってる人は、落ち着いて、思いとどまってほしい》との声も上がっている。
私の考えとしては苦情主側に理があると考える。
- 要旨
- 苦情主が児童センター・公園設置に起因した騒音の一番の被害者である。
- 他の住民は苦情主の苦痛を実感できない。
- 公園・児童センターの設立経緯や管理など。
- 小泉一真氏による印象操作
- 保育園や児童センターの設置基準に周辺環境を規定すべき
要旨
根拠を示しながら書くと長くなるので要点を先に書く。
苦情主との関係や被害状況
- 苦情主は公園と、公園に隣接する児童センターが開設される前から住んでいた。
- 児童センターと公園の開設に際し、苦情主には説明がなかった。
- 児童センターの保護者が送迎時、駐車場でエンジンを止めないのもいる。
アイドリング音による騒音被害である。
苦情主は保護者に直接注意していたが埒が明かず、児童センターの館長に苦情を出す。 - 公園を利用する子供の声や苦情主宅へのボールの飛び込み、およびボール拾いによる侵入と庭の損傷。
- 苦情主は静かに利用するように児童センターの館長へ要請。
- 苦情主宅はアイドリング音と公園の迷惑、両方の被害を最も受ける立地である。
- 公園と苦情主宅の間の道路幅は約4m。普通車がすれ違うのがやっとの幅。
- 公園は児童センターの他に、小学校、保育園にも隣接している。
このような立地が公園の利用者過多を招いた、と長野市の判断。
長野市にはこれほど子供向け施設が近隣に密になった公園は他には存在しない。
地元自治会と管理など
- 児童センターと公園は地元の区長会(自治会連合みたいなもの)が開設を要請した。
- 青木島遊園地をふくむ「遊園地」は制度上、地元住民などが公園の草刈りや清掃などの維持管理(愛護活動)をしなければならない。
- 公園の愛護活動は児童センターの保護者が行っていた。
- 児童センターとして事実上、利用できない状態なので愛護活動を辞退する。
- 近隣の保育園、小学校も公園をほぼ利用してないので愛護活動の受任を拒否。
- 区長会も愛護活動を拒否
- 愛護活動をする者がいないので、公園の維持は不可能。
- 区長会が公園廃止の申請。
- 長野市には他にも公園(遊園地)があるが、児童センターなどの子供関連施設と隣接していないのも多くあり、それらの愛護活動は地元自治会などが担っていると考えられる。
- 青木島遊園地の地元自治会が愛護活動を引き受けないということは、児童センター、保育園、小学校が管理中ではない子供の公園利用に、労力をかけるまでの価値がないと判断してる(筆者の判断)。
筆者の意見
- 施設による被害を受けずに、その利益を受ける者が、その施設で最大の被害を受けている人の苦情を不当な苦情として扱うことが正義に反しないか?
- 行政がNIMBY施設の被害の訴えを無視することは正義に反する。
- 多数の幸福や利便性のために、少数の犠牲者の被害を黙殺することを是とするなら、自らが少数の被害者になった時に誰も助けてくれなくなる。
- 児童センター等を作るなら広い道路沿いか、ある程度の緩衝地帯を設けるよう、施設基準を改定すべき。*1
- 選挙目的に苦情主を「上級国民」と呼んで扇動する市議会議員と、無思慮に苦情主を「老害」と判断する有名人、インフルエンサー、そして一般のツイッターユーザーに辟易する。
苦情主が児童センター・公園設置に起因した騒音の一番の被害者である。
最初にお断りしておく。
本記事では苦情主の住宅位置を推認する。
これはプライバシーの侵害にあたる可能性があるが、苦情主がもっとも被害を受けていることを説明するには必要な情報である。
実際、小泉氏は住宅が特定できる動画を投稿している。
まず公園周辺の航空写真である。
Google Mapに筆者が色々書き足したものである。
なお、このあたりの航空写真は少し古く、現在は南側に住宅が建っているらしい。
この付近のストリートビューは2015年のデータである。
信濃毎日新聞の記事によると
苦情を寄せた住民の家に子どもがなるべく近づかないよう、園内に最大8メートル幅の帯状にツツジを植えた。出入り口の位置も変更。
とある。上の写真に、生け垣として書き込んだ部分である。
また苦情主は児童センターの保護者の車のアイドリング音に悩まされていたようで、保護者用の駐車場(4台分)のうち、西側の2台分に職員の車を駐車し、保護者の車を、空いた職員の駐車場に駐めるよう求めた。
上記埋め込みPDFの8頁目には、苦情主が交換を求める駐車場のエリアが示されている。
保護者駐車場の真ん中より西側、生け垣の方向を考えると一軒に絞られる。
さて、この苦情主と思われる家(以下、単に苦情主宅)だが
- 児童センターへ送迎する保護者の車のアイドリング音
- 公園の子供の声など
の両方が襲ってくるのである。
公園出入り口前の住宅(以下、西側住宅)は保護者駐車場から距離があり、アイドリング音もそんなに響かないだろう。
また保護者駐車場の北東の住宅(以下、北東住宅)であるが、こちらは公園から距離があるので、子供の声もその分、減衰する。
それで各住宅が被ってる迷惑を大雑把に示したのが以下の画像である。
公園の子供の声に関しては西側住宅と苦情主、アイドリング音に関しては苦情主と北東住宅の数値を同じにしてある。厳密に数値化できるのかという問題は有るが、騒音等に関する一番の被害者が苦情主である。
一方の迷惑が大きくても耐えられても、両方とも大きければ耐えられなくなっても仕方ない。
他の住民は苦情主の苦痛を実感できない。
周りは大きな迷惑として、片方しか被ってない。
または両方とも逃れている。近所に住んでいない人は言わずもがな。
なので苦情主の苦痛(大きな迷惑を両方被る。)も実感として理解できない。
以下は公園の現状に関して、関係者が話し合った議事録である。
2ページに参加者が記されているが「青木島区長会(12名)」とある。
更北地区住民自治協議会のサイトによると、青木島は7,173世帯だそう。
一つの自治会あたり、約600世帯といったところか。
https://kjitikyo.jimdofree.com/
この公園のある青木島というところは市内で最も有権者の多い地区ですので….
— みや®🎀1y10m & 🐘4m (@lifeinmiyaislan) 2022年12月5日
青木島地区の子育て世帯にアピールできれば選挙に有利になる。
で、区長会の発言には公園の廃止が理不尽であり、このようなことは許されないとして、戦う意志を示している区長もいる。
これだけの世帯数であれば公園や児童センターの騒音とは無縁な区長・住民の方が多いだろう。
実際、市長へのレクチャー資料では「長野市内の住宅街の遊園地で、児童センター、保育園、小学校に隣接している遊園地はなく、稀なケース。」と書かれている(下記資料、3頁目)。
最初に紹介した信濃毎日新聞の記事で、「市公園緑地課の平沢課長は『開設から18年もの間、一部住民に負担を強いてきたことを重く受け止めた』。」と述べているのである。
この環境が長野市唯一である以上、区長・住民の多数は同じ環境に晒されることは無いのである。小学校に隣接する公園であるから、子供や孫が遊ぶことを期待している区長・住民もいるだろう。
このように、自ら及びその家族が施設による利益を得ながら、その施設による最大の被害を受けている人の苦情を大したことがないと無視し、忍耐を押し付けているのである。たたりを逃れるために生贄を捧げている方が、住民は罪悪感を持つだけまだマシである。
子供を大義名分として、「老害」として苦情主を排除しようとする者たちは犠牲を押し付けていることに対する罪悪感すら無い。
私にはそのような住民たちが、戦争や自己犠牲を美化し、扇動しながら、自ら及びその家族が危険な戦場には行かない政治家と同じように思える。
ヴェスターラントの住民を見殺しにしたラインハルトだって、阻止する艦隊の到着が門閥貴族による核攻撃に間に合わなかった、という言い訳は繕っているわけで、罪悪感は持っている。
公園・児童センターの設立経緯や管理など。
なお、苦情主は児童センターや公園ができる前から住んでいるのは前掲の資料で「児童センター、遊園地の建設に関し、(苦情主)に対し説明がなかった。」と記載がある。
そして公園(遊園地)には愛護会という、草刈りや清掃などの管理をする団体が必要である。青木島遊園地の愛護会のメンバーは児童センターの保護者のみであることが、小泉氏により明らかにされている。
【公園廃止派議員に反証】
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年12月7日
青木島児童センター名義の青木島児童遊園地愛護会活動計画書。構成団体は青木島児童センター保護者と書いてある。
「区でこの遊園地を管理しているが、高齢化により管理が行き届かなくなってきた」は事実でない。従ってそれを理由とする廃止のリクツは立たない。#公園廃止 https://t.co/vQXYKIDwzV pic.twitter.com/C2cNPIKl7y
公開された公文書からも、児童センター職員としては子供が利用できない公園の管理業務はできない旨、発言があり、保育園や小学校も管理業務は引き受けられないとし、地元自治会も管理業務は引き受けられないとして、閉鎖を承認したことがわかる。
地元自治会が管理する公園(遊園地)もある。
ところで長野市内には遊園地(公園)が他にも有るわけだが、その中には当然児童センターなどと隣接していないものもある。
都市公園などと異なり、遊園地は地元が開設を長野市に要請し、管理も地元で行うと長野市議の北沢てつや氏は説明している。
なので、児童センターなどに隣接していない遊園地は地元の子供を遊ばせたりするなどの目的で、地元自治会が管理していると思われる。
地元自治会にとって、管理業務を請け負ってまで青木島遊園地を維持する価値はないと判断
話は青木島遊園地に戻るが、児童センターなどの施設が管理中の子供が公園で遊んでいて、うるさければ管理責任を理由として施設に文句を言えるが、施設と無関係な子供が遊んでいる場合、管理責任を理由とした文句を施設や市に言いようがない。
なので他の遊園地のように、施設が管理中でない子供の遊び場として公園を維持することは可能だった。
しかし地元自治会は愛護会を引き受けないと決定した。
児童センターや保育園で使わなければ、自らの労力を払ってまで、公園を維持する必要はないと地元自治会は判断したわけである。
公園の開設は児童センターで管理することを前提に承認・申請したか?
実は公園に関しては、元々は運動場みたいな広場で、区長会か地元自治会が地権者に借地料を払っていた、という記録も有る。
前掲の駐車場交換を求めた資料より
市長レク資料によれば、児童センターと公園、両方とも区長会が開設を要請したようである。
児童センターも地元が開設を陳情したと書かれているが、実態はどうなのか。
自治会が借地料負担を逃れるために、児童センターと公園の開設を陳情したのか。
それとも長野市の方から児童センターを建設したいという話を持ってきて、借地料は長野市で負担し、愛護活動も児童センターの保護者に任せられる、として自治会に建設を陳情させたのか。
どちらにせよ、苦情主は蚊帳の外であり、建設までの間、説明も受けていないのである。
公園の前に、運動場であったときには騒音が気にならなかったとしたら、苦情の原因は説明も無しに作られた児童センターだろう。
小泉一真氏による印象操作
長野市による忖度は有ったのか?
小泉氏は前掲のポストセブンの取材に対し、
「大学教授は上級国民と言える立場です。その男性の意見を聞き、忖度したと思われかねない対応をした市側も、果たして適切な対応だったと言えるのか疑問があります。市側の対応が男性の意見を増長させ、同時に不信感も増長させた可能性があります」
【公園廃止】「子供の声がうるさい」と意見したのは国立大学名誉教授 市役所は忖度か|NEWSポストセブン - Part 2
と答えている。
上級国民という言葉自体、池袋暴走事故で出てきた言葉で、一般国民が交通事故で死傷者を出した場合には逮捕されるのに対し、元通産省官僚で勲章ももらっている被疑者が逮捕されなかったことから来ている。
さて、今回の件は苦情主を忖度し「優遇」したと言えるのだろうか?
忖度したというためには他の同様の事例では長野市が同様の対応をしないこと(不作為)が無いと比較できない。
長野市内の住宅街に、児童センター、保育園、小学校に隣接した公園は他にはないことを長野市自体が認めていることは前述の市長レク資料のとおり。
なので一般市民が同じ状況で苦情を入れてるケースが長野市では存在しない。
よって比較ができない以上、忖度を推測することも困難である。
もっとも公園と児童センターが隣接しているところは他にも有る。
そこで苦情が有った場合にどう対応しているか、比較してから忖度の有無は判断すべきである。
一日百台を苦情主の主張のみで記載した、という主張
小泉氏はYouTubeで、「100台通過は、クレーマーの主張を裏付けなく記載」と書いている。
一日100台通過というのは市長レク資料の下記の記載と思われる。
「1日100台の車がお迎えに来る児童館を作ったのは、想像力のかけらもない。」と記載してある。しかしこれは<(苦情主)の声>として書かれている。市役所(事務方)の事実認定と判断は「5 廃止の決定要因」「6 廃止の考え方」に記載されている。以下、市長レク資料より。
よく裁判の判決文を、自身の主張に有利な裁判例として持ち出す時に、原告(または被告)の主張を判決と誤認するケースが有る。
判決文を読み慣れていない人が犯しがちなミスである。
裁判の判決文は大雑把に言えば
- 原告の主張
- 被告の主張
- 裁判所の判断
といった構成になる。
市長レク資料の「1日100台」は苦情主の声として書いているのだから、そのまま書くのが妥当である。
そして市役所による事実認定と判断は5,6で記載されており、そこには1日100台という記述はない。5のまる1からまる4までは真実である。また6の廃止の考え方(判断)でも1日100台を根拠にしていない。よって、「100台通過は、クレーマーの主張を裏付けなく記載」と、あたかも市長レク資料を作成した市役所職員が苦情主に忖度したかのような表現を、一般公開の動画で行ったことは市役所職員の信頼性を失墜させる行為であり、品性に欠けると言わざるをえない。
中退とは言え、早稲田大学に入って、長野県庁職員をしていた小泉氏なら「当事者の主張」と市役所の「事実認定」「判断」の区別ぐらいできるだろう。
もし区別もできないほど無能だったら、同じく早稲田大学出身の筆者としては悲しくなってしまう。
それとも荻原健司 長野市長がそれらの区別ができないから、裏付けも無しに市長レク資料に書くな、ということだろうか?
ちなみに荻原氏も早稲田である。
議事録や回覧文を「監修」したという主張
#公園廃止 クレーマーが監修! 最後の交渉記録https://t.co/tYkxGCKjtnhttps://t.co/2peBdMDFeE
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年12月4日
苦情主が「監修」したとされる文書は以下の文書である。
slideshareの説明文には
長野市青木島遊園地廃止について青木島地区区長会要望書を受け、長野市側がクレーム元を訪ね、最後の説得(?)を試みた記録。記録内容等は、「本人に内容を確認済みである」と、クレーマーによる監修を受けていることが明記されている。
と書かれている。
小泉氏は苦情主を散々「上級国民」と呼び、長野市が苦情主に「忖度」したかのように印象づけている。その文脈で公文書を「監修」と言えば検閲というか、自身にとって都合の良いように公文書を記述させたかのような印象になる。
「監修」が明記されている箇所は下記の通り。
しかし協議録って普通、相手方(参加者)に確認取りませんかね?
まして不信感を持っている相手です。
「公園緑地課の会議録」というのが苦情主が参加した会議なのかは不明である。
自分が参加していない会議に関して主張するなら不適切であるが、自分が参加した会議の議事録で、自分の発言が記録されていなければ文句を言って当然である。
むしろ苦情が有ること、苦情の内容を議事録に記載しない方が公文書の管理として問題だろう。
実際の発言を歪めて記載した証拠を小泉氏はお持ちなのだろうか?
もっとも小泉氏は「検閲」とは言ってないし、「監修」に検閲の意味はない、と言われると思うが。
それなら「事前確認」と書いておけば良い話である。
Google Mapの政治利用
小泉氏は公園廃止を阻止するためにGoogle Mapに投稿することを呼びかけた。
【子どもの声がうるさい! 一軒のクレームで児童公園廃止の愚策に対抗したい!!】
— 小泉一真:長野市議会議員 (@kazumakoizumi) 2022年11月12日
市民の意思表示が必要です。Googleマップの #青木島遊園地 に★★★★★を付けて抵抗。Gアカウントのある方は続いてほしい。Gアカない人は取ってほしい。
お願いします!https://t.co/EyUqba3mzJ#子どもの権利条約 https://t.co/ME4RazFd2n
Google Mapの規約では実際に利用した店に関する投稿に限定され、利用していないのに評価したり、政治目的での投稿は禁止されている。
その場所での体験に基づくコンテンツや、その場所での体験に関する質問のみを投稿してください。
一般的、政治的、社会的な論評や個人的な不満が含まれるコンテンツは許可されていません。
知事の社交辞令を市議選挙の選挙公報で利用
小泉氏が県庁を退職した時に、県知事にツイートして、社交辞令で返されたツイートを選挙公報に載せて、あたかも知事の推薦を受けているかのように選挙公報を作成したとのこと。
詳しくは以下のブログに。
保育園や児童センターの設置基準に周辺環境を規定すべき
今回の件は一番被害を受ける人に説明も無しに公園と児童センターの建設が進められたのが原因である。
また4m程度の幅の道路にしか面しておらず、住宅との緩衝距離が取れない。
8m以上の道路に面するか、一般住宅とは一定以上の距離を取れる立地に限定する規定を作ったほうが良いのではと思う。
素人考えで考えた改善案は以下の図のとおり。
ピンクのラインの上を道路にして、住宅との距離を取る。
駐車場は公園の残った部分の北東側に配置。
住宅側には防音壁を作る。
そして、南側を公園として残す。
予算も規制法規も考えてませんけどね。
*1:設置基準では周りの環境に関することは書かれていない。
https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-11900000-Koyoukintoujidoukateikyoku/0000187080.pdf
HIKAKIN(ヒカキン)氏が違法な整体業者を動画で紹介している。
有名なYouTuber、HIKAKIN氏がエセ医学を紹介しているというツイートがTLに流れてくる。
ヒカキンさんの動画でエセ医学が紹介。
— やさひふ|皮膚科専門医|医学博士|Lumedia編集長 (@S96405539) 2022年11月21日
・首をボキボキする整体
⇒厚労省が「中止する必要あり」と通告済。米国心臓協会らも「脳卒中リスクあり」と警告
・吸い玉
⇒適切な科学的根拠なし。副作用は怪我、感染症、肌の変色、貧血など多数
健康情報は「有名人もやっているから」と真似してはダメ! pic.twitter.com/DFVF0zJIJi
ヒカキンさんが紹介した「首ポキポキ」では、すでに死亡例も報告されています。
— やさひふ|皮膚科専門医|医学博士|Lumedia編集長 (@S96405539) 2022年11月21日
アメリカの有名女性モデル(34歳)が施術を受けた後に急死。検死の結果、「施術で首の血管が切れたことによる脳卒中の事故死」と断定されました。
ヒカキンさんの動画を見て真似するお子さんが出ないと良いのですが… https://t.co/fvJPrplex8
HIKAKIN氏がボキボキ整体を紹介しているのは以下の動画である。
本件動画では6つの施術所(店)を紹介しているが、本記事では最初のボキボキ整体こと、COCOLO Ginza(施術者 萩原 正規)の施術の違法性(医師法違反など)について検証する。
本文中、断りのないスクリーンショットは本件動画のものである。
整体などの法規制
私のブログを初めて見る方のため、整体やマッサージについての法制度を説明する。
医師以外に独立判断で症状等の治療や身体の矯正を行える国家資格は歯科医師(歯科・口腔疾患)、助産師(妊産婦、新生児)、柔道整復師(急性外傷)、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師のみである。
はり師、きゅう師をあわせて鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師の免許も持つ鍼灸師又は3つの免許を合わせて鍼灸マッサージ師と呼んだりする。
鍼灸マッサージ師は施術対象者や対象疾患を限定されていない点で、医師以外の他の独立判断施術が可能な国家資格とは異なる。
このブログの作成者は鍼灸マッサージ師である。
看護師等は医師の指示の下で医行為を業として行える。
理学療法士などは看護師の業務の一部を行えるというのが法律の規定である。*1
医業類似行為(無免許治療業務)の禁止
そして、医療国家資格を持たない者による治療業務(医業類似行為)は本来、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)第12条で禁止されている。
第十二条 何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。
第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
そして第12条で業として行うことを禁止されている医業類似行為ですが裁判例では
医業類似行為とは
『疾病の治療又は保健の目的を以て光熱器械、器具その他の物を使用し若しくは応用し又は四肢若しくは精神作用を利用して施術する行為であって他の法令において認められた資格を有する者が、その範囲内でなす診療又は施術でないもの、』
換言すれば
『疾病の治療又は保健の目的でする行為であつて医師、歯科医師、あん摩師、はり師、きゅう師又は柔道整復師等他の法令で正式にその資格を認められた者が、その業務としてする行為でないもの』
(仙台高裁 昭和 29 年 6 月 29 日判決 昭 28(う)第 275 号)
とされています。
つまりなんの法的な医療免許を持たずに、業として疾病の治療又は保健の目的でする行為をしてはならない、ということです。
医業類似行為の定義を「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」に限定した最高裁判決
しかし最高裁は昭和35年、医業類似行為の定義を「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」に限定する判決を出します。業界ではこの判決を昭和35年判決などと呼んでいます。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51354
これまで無免許治療を業として行っただけで処罰可能だったのが、人の健康に害を及ぼすおそれの証明が必要となりました。
整体師やカイロプラクターとして営業するのになんの免許も必要ない。
そんなわけで、人の健康に害を及ぼすおそれが無い、という建前のもと、無免許治療は放任されることになります。
そのため、整体師やカイロプラクターと名乗って営業するのに、なんの免許も必要ありません。
ただし、整体やカイロプラクティックによる健康被害が国民生活センターや消費者庁によりまとめて報告されています。
手技による医業類似行為の危害−整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も−(発表情報)_国民生活センター
消費者庁:法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に[PDF]
無免許治療で子供が犠牲になる事件も発生しております。
頚椎スラスト(首ボキボキ)の禁止
やさひふ先生が言及しているように、首ボキボキ(頚椎スラスト)に関し、旧厚生省は禁止する通知を出している。
2 いわゆるカイロプラクティック療法に対する取扱いについて
近時、カイロプラクティックと称して多様な療法を行う者が増加してきているが、カイロプラクティック療法については、従来よりその有効性や危険性が明らかでなかったため、当省に「脊椎原性疾患の施術に関する医学的研究」のための研究会を設けて検討を行ってきたところである。今般、同研究会より別添のとおり報告書がとりまとめられたが、同報告においては、カイロプラクティック療法の医学的効果についての科学的評価は未だ定まっておらず、今後とも検討が必要であるとの認識を示す一方で、同療法による事故を未然に防止するために必要な事項を指摘している。
こうした報告内容を踏まえ、今後のカイロプラクティック療法に対する取扱いについては、以下のとおりとする。
(1) 禁忌対象疾患の認識
カイロプラクティック療法の対象とすることが適当でない疾患としては、一般には腫瘍性、出血性、感染性疾患、リュウマチ、筋萎縮性疾患、心疾患等とされているが、このほか徒手調整の手技によって症状を悪化しうる頻度の高い疾患、例えば、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症、変形性脊椎症、脊柱管狭窄症、骨粗しょう症、環軸椎亜脱臼、不安定脊椎、側彎症、二分脊椎症、脊椎すべり症などと明確な診断がなされているものについては、カイロプラクティック療法の対象とすることは適当ではないこと。
(2) 一部の危険な手技の禁止
カイロプラクティック療法の手技には様々なものがあり、中には危険な手技が含まれているが、とりわけ頚椎に対する急激な回転伸展操作を加えるスラスト法は、患者の身体に損傷を加える危険が大きいため、こうした危険の高い行為は禁止する必要があること。
(3) 適切な医療受療の遅延防止
長期間あるいは頻回のカイロプラクティック療法による施術によっても症状が増悪する場合はもとより、腰痛等の症状が軽減、消失しない場合には、滞在的に器質的疾患を有している可能性があるので、施術を中止して速やかに医療機関において精査を受けること。
(4) 誇大広告の規制
カイロプラクティック療法に関して行われている誇大広告、とりわけがんの治癒等医学的有効性をうたった広告については、あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律第十二条の二第二項において準用する第七条第一項又は医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第六十九条第一項に基づく規制の対象となるものであること。
人の健康に害を及ぼすおそれの基準
人の健康に害を及ぼすおそれの基準であるが、無資格者に診療補助行為をさせたとして、保健師助産師看護師法違反に問われた事件では
医師が無資格者を助手として使える診療の範囲は、おのずから狭く限定されざるをえず、いわば医師の手足としてその監督監視の下に、医師の目が現実に届く限度の場所で、患者に危害の及ぶことがなく、かつ、判断作用を加える余地に乏しい機械的な作業を行わせる程度にとどめられるべきものと解される。
東京高裁平成元年2月23日判決 昭63(う)746
と判示されている。
医師の指示のもとでも行えない行為を、無資格者が独立して行える理由はない。
そんなわけで、整体師やカイロプラクターは身体状況の判断(診察、診断)を伴う治療行為はできない。問診も不可能である。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51069
医行為の定義と保健衛生上の危険性の分類
身体の矯正は医療の目的とされる
無免許医業は医師法第17条で禁止されています。
第十七条 医師でなければ、医業をなしてはならない。
医業とは医行為を業として行うことです。
そして医行為ですが最高裁決定では
医行為とは,医療及び保健指導に属する行為のうち,医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為をいうと解するのが相当である。
とされます。
美容なども医療及び保健指導に属する(医療関連性が有る)とされます。
ところで,医療とは,現在の病気の治療と将来の病気の予防を基本的な目
的とするものではあるが,健康的ないし身体的な美しさに憧れ,美しくあり
たいという願いとか醜さに対する憂いといった,人々の情緒的な劣等感や不
満を解消することも消極的な医療の目的として認められるものというべきで
ある。美容整形外科手術等により,個人的,主観的な悩みを解消し,心身共
に健康で快適な社会生活を送りたいとの願望に医療が応えていくことは社会
的に有用であると考えられ,美容整形外科手術等も,このように消極的な意
義において,患者の身体上の改善,矯正を目的とし,医師が患者に対して医
学的な専門的知識に基づいて判断を下し,技術を施すものである。
以上からすると,美容整形外科手術等は,従来の学説がいう広義の医行為,
すなわち,「医療目的の下に行われる行為で,その目的に副うと認められる
もの」に含まれ,その上で,美容整形外科手術等に伴う保健衛生上の危険性
の程度からすれば,狭義の医行為にも該当するというべきである。したがっ
て,医業の内容である医行為について医療関連性の要件が必要であるとの解
釈をとっても,美容整形外科手術等は,医行為に該当するということができる。
保健衛生上の危険性の分類
保健衛生上の危険性は3つに分けられる。*2
- 外科手術のように、その行為自体が直接に人体に危険を及ぼす行為(直接的危険)
- 診察など、その行為が前提となって、次の人体に通常直接的に危険な行為をもたらす行為(間接的危険)
- 診察・診断など、その行為によって適切な治療を受ける機会が奪われる行為(消極的危険)
前掲の「医行為と医事法」に論文を掲載された、小谷昌子神奈川大学准教授の投稿。
うーん、タトゥー事件のときに文献を網羅的に読みましたが、把握している限りで(よほど変わった単独説を見落としている可能性はありますが)たぶん消極的危害を無視していいとする学説はないと思います。
— kotanimasako (@ktnmk) 2022年8月26日
前掲の最高裁決定の以下の部分を持って、消極的危険の肯定とされる。*3
ある行為が医行為に当たるか否かを判断する際には,当該行為の方法や作用を検討する必要があるが,方法や作用が同じ行為でも,その目的,行為者と相手方との関係,当該行為が行われる際の具体的な状況等によって,医療及び保健指導に属する行為か否かや,保健衛生上危害を生ずるおそれがあるか否かが異なり得る。
https://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/717/089717_hanrei.pdf
消極的危険を肯定した裁判例としてはホメオパシー療法の前提としての診察・診断を医行為と認めた判決が有る。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail4?id=8591
「マッサージ」には免許が必要であり、区別ができないリラクゼーション業は日本で株式上場は不可能である。
前述のとおり、業としてマッサージを行うにはあん摩マッサージ指圧師の免許が必要である。しかし「マッサージ」ではないとしてリラクゼーションなどと称して施術している業者もいる。
リラクゼーション業者の大手、メディロムは東証上場を目指したが、違法性を払拭できないとして上場が認められず、米国で上場することとなった。
紹介されたボキボキ整体、COCOLO Ginza
店長、施術者の萩原 正規氏の経歴・所持免許
店長、施術者の萩原 正規氏の経歴・所持免許であるが、ホットペーパーには「美容整体師」という肩書が書かれ、鍼灸専門学校に通学中であることが書いてある。
はぎわら まさき|ココロギンザ(COCOLO Ginza)|ホットペッパービューティー
鍼灸専門学校に通っている、ということはまだ鍼灸師の免許は持っていない、ということである。
医療免許を有しているのか、ツイッターで聞いてみたが、このブログを投稿した時点で回答はない。
突然失礼いたします。
— びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 (@binbo_cb1300st) 2022年11月21日
ホットペーパービューティには「美容整体師」という肩書を記述されておられてますが、はぎわら様はあん摩マッサージ指圧師や柔道整復師などの法的な医療免許はお持ちでしょうか?
他のサイトでも萩原氏の事が書かれているが、法的な医療免許を所持しているとは書かれていない。
そんなわけで、萩原氏は現時点では法的な医療免許を受けていないと判断する。
2022/11/23追記
萩原氏から医療免許の有無についての回答はなく、ツイッターをブロックされました。
#HIKAKIN 氏が紹介したボキボキ整体のCOCOLO Ginzaの萩原正規氏に、医療免許の有無を尋ねたらブロックされました。https://t.co/ubLyjLtgMv#はぎわら先生 #銀座 #COCOLO #ボキおん #美容整体 #整体 #ボキボキ #ヒカキン https://t.co/keRmODfkXd pic.twitter.com/voNmtb5FCH
— びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 (@binbo_cb1300st) 2022年11月23日
萩原氏の施術方法など
ウェブサイトは2箇所確認できる。
もっぱらSNSへのリンクという感じである。
施術の流れとか、萩原氏の経歴がわからない。
もう一つは以下のサイトである。
メニューには
- 小顔矯正
- フェイスデザイン矯正
- はぎわら式 全身骨格矯正
- 産後骨盤矯正
といったものがある。
美容目的の矯正であっても医療関連性が有る(医療及び保健指導に属する)ことは前述のとおり。
また全身骨格矯正の説明では
顔以外の関節の矯正メインで行います。
ボキボキ音がする施術になります。
カイロプラクティックをメインの施術としております。
肩こり、腰痛、頭痛、痩せにくい体質、むくむ、倦怠感、歪みなどをお持ちで、
毎週のようにマッサージに行かれている方は、一度お越しくださいませ。
と、肩こり、腰痛、頭痛などの患者に施術を受けるように誘引しているわけで、医療関連性は否定できまい。
またその施術内容は「カイロプラクティックをメイン」としているわけである。
そして、萩原氏が自分のYoutubeチャンネルに上げている動画を見ると、脊椎(頚椎、胸椎、腰椎)矯正(マニピュレーション)が多い。
脊椎矯正の危険性・違法性(積極的危険)
脊椎マニピュレーションに危険性が有ることは、国民生活センターからも要望先として挙げられる、一般社団法人 日本カイロプラクターズ協会(JAC)も認めているところである。
医師であっても、カイロプラクティックの教育をちゃんと受けなければ安全性が担保されない、と書いている。この記述を根拠に、私は無免許での脊椎マニピュレーション(カイロプラクティック)を違法と指摘したら、JACから発信者情報開示請求を受けた。そして退けた。
このとき、JACから出された発信者情報開示請求書は、自らカイロプラクティック療法の危険性を認めるものであった。
無断で転載・公開すると、このブログ全体の非公開処置を受けかねないので開示請求書を公開できないが、似たようなことはカイロプラクターらしき者がWikipediaに書いている。
自らの施術方法が危険だと自白
以下は萩原氏のチャンネルにある動画である。
下記画像はこの動画のスクショである。
自ら真似禁止、と言ってるのである。
ズンズン運動の損害賠償の裁判でも、犯人(被告)がスタッフに禁止していたから危険性を認識できた、と認定されている。
被告Dは,身体機能回復指導について,本件法人のスタッフや乳児の母親等に対し,
身体機能回復指導の施術は,被告Dにしか行えないものであると吹聴し,現に,被
告Dのみが身体機能回復指導を行い,身体機能回復指導を行うスタッフの養成も行
っていなかったこと等からすれば,被告D自身,本件施術当時,単に危険性を認識
し得たというにとどまらず,身体機能回復指導が乳児に危険をもたらすものである
ことを認識していたものと認められる。
身体の状況や原因の判断(診察・診断 消極的危険)
前掲のホットペーパービューティのページより切り取りスクショ
「体の不調原因」を伝えるということである。
実際、ヒカキン氏の動画では肩こりの原因を股関節の歪みだと萩原氏は指摘している。
「肩こりとります!」と10分19秒頃には説明している。
一度、動画を戻るが、肩こりの原因を右の股関節の影響であると萩原氏は述べている。
施術後には股関節が外に曲がっていた、と説明している。
もっとも動画の最初の方(4:13から)で、「歪み」をチェックして、右の股関節が外にズレている、という説明はしている。それで「循環器系と呼吸器系がちょっと弱いのかな?」と聞いている(4:46)。
後半を先に取り上げたのは、前半の方は施術目的が不明確で、医療関連性を有するか、わかりにくいからである。
症状(肩こり)の原因や身体の状況を判断、説明していることがわかるだろう。
厚生労働省のオンライン診療ガイドラインでは診断を以下のように定義づけている。
診断
一般的に、「診察、検査等により得られた患者の様々な情報を、確立された医学的法則に当てはめ、患者の病状などについて判断する行為」であり、疾患の名称、原因、 現在の病状、今後の病状の予測、治療方針等について、主体的に判断を行い、これを伝達する行為は診断とされ、医行為となる。
こういう診察、診断を誤った場合、適切な治療を受ける機会を逸失するため、前述の消極的危険がある。
結論:ボキボキ整体は違法である。
- 萩原氏は法的な医療免許を有していない。
- 萩原氏の施術は医療関連性が有る(腰痛や肩こりなどの解消、美容目的の矯正)
- 萩原氏の施術は積極的危険性が有る(頚椎スラスト、脊椎マニピュレーション、カイロプラクティック)
- 萩原氏は症状・不調の原因を判断し、利用者に告知している(診察・診断)ので、消極的危険がある。
以上より、萩原正規氏は業として医行為を行っており、医師法17条に違反する。
同様にあはき法12条にも違反する。
整体やカイロプラクティックなどの無免許業界は、その施術業務が違法ではない旨の意見書を用意していないのか。
このブログで何度か取り上げているが、事前に行政に対し、違法性の有無を確認できるグレーゾーン解消制度というのがある。
グレーゾーン解消制度による、AI契約レビューサービスの照会と業界大手他社の対応
この制度を利用し、AIによる契約審査サービスが弁護士法72条(弁護士以外による報酬目的での法律事務等の禁止)に違反しないかどうかの照会があり、違反する可能性もある、という回答だった。
以上によれば、本件サービスは、弁護士法第72条本文に違反すると評価される可能性があると考えられる。
この回答の、AI契約レビュー業界や弁護士界隈におけるインパクトは大きかったようである。
業界大手の対応:プレスリリースと弁護士による意見書
AI契約レビューで有名らしい(私はこの業界に詳しくない)、LegalForce社は自社サービスが適法であるとプレスリリースを出す。
本回答は、グレーゾーン解消制度を用いて法務省に対してなされた照会に対する回答として公表され、今般照会した事業者のサービスに対してのみ判断がなされたものです。
こちらは弊社による照会ではなく、弊社の事業に対して影響を与えるものではありません。
なお、弊社サービスと弁護士法第72条の関係につきましては、従前より外部の専門家や弁護士との協議を踏まえ、適法に設計しております。
さらにメールで、自社サービスが適法であるという、弁護士事務所による意見書を送付している。
LegalForce社から桃尾・松尾・難波法律事務所の「LegalForce社による契約業務AI総合支援サービスの適法性に関する意見書」と題する書面がメールで送付されてきた。これをしっかり読んでから最終判断しようと思う。
— 高橋雄一郎 (@kamatatylaw) 2022年6月10日
他の弁護士による、意見書全文を画像で投稿したツイートも有ったが現在は削除済みのようである。
整体やカイロプラクティックの業務が医師法・あはき法に違反しないという、法学者・弁護士による意見書は存在するのか?
こんな具合に、自社サービスが違法と疑われる状況になった場合には、自社サービスが適法である旨を主張し、その根拠を示すのが通常であろう。
さて、整体やカイロプラクティックの施術業務、とりわけ問診や検査を伴う施術業務が医師法17条、あはき法12条に違反しないという、法学者・弁護士による意見書は存在するのだろうか?
私が日本カイロプラクターズ協会から発信者情報開示請求を受けたとき、そのような意見書を提示されていない。
日本カイロプラクターズ協会は下記ページに「JACの要望書・意見書・見解」を載せている。
とりわけ、「専門的職業であるカイロプラクターに関する意見書」で「カイロプラクティック専門の臨床が行える根拠」を記述している。
しかし、問診判例や、検査の裁判例(富士見産婦人科病院事件の保助看法違反事件。東京高裁昭昭和63(う)746 判例タイムズno.691 1989.5.15 p152)には言及していない。
他の整体やカイロプラクティックの団体で、問診や検査の違法性に関して、法学者や弁護士による意見書を公開している事例があればご連絡願いたい。
弁護士法人で社員に対するマッサージ等の施術を依頼するならちゃんと国家資格である鍼灸マッサージ師に頼もう。整体やリラクゼーションなどの無免許業者と契約したら懲戒請求を受けるかも。
本記事は施術業界・医療業界や一般の方よりも弁護士法人関係者に読んでもらうことを優先しております。
弁護士法人が整体やリラクゼーションなどの無免許施術事業者と、社員に対する施術を契約した場合、懲戒請求を受けるおそれがある。なので法的リスク管理の面でも、ちゃんと国家資格を持ったあん摩マッサージ指圧師(を派遣してくれる会社)に依頼しましょう、という話です。
- ベリーベスト法律事務所におけるマッサージ師(国家資格者)常駐
- マッサージ関係業界の法的状況
- 整体師をSNSで紹介した弁護士に対する懲戒請求
- コンプライアンスに厳しい上場企業は国家資格者の派遣を求めるらしい。
ベリーベスト法律事務所におけるマッサージ師(国家資格者)常駐
ベリーベスト法律事務所では「マッサージ師」が常駐し、スタッフのマッサージを行っているそうである。
はい、マッサージ師が常駐してます。すごい人気で予約で一杯になります。 https://t.co/8Cy25laXJV
— 酒井将 (@sakaisusumu_vb) 2022年4月30日
酒井将氏はベリーベスト法律事務所の代表弁護士である。
なのでその「マッサージ師」が国家資格であるあん摩マッサージ指圧師であるかどうかを尋ねたところ、
ちゃんとあん摩マッサージ指圧師が常駐しているのだろうか?
— びんぼっちゃま@インディーズ医療法学者 (@binbo_cb1300st) 2022年5月25日
無免許マッサージで無ければよいが。 https://t.co/9qk8ew6qKD
もちろん資格者ですよ。
— 酒井将 (@sakaisusumu_vb) 2022年5月25日
とのこと。
企業内に常駐し、社員等にマッサージ等を行う施術者がいる。
そしてその施術者を派遣することを事業として提供する会社も存在する。
なので会社で直接、施術者を雇用したり、契約する場合もあれば、提供事業者と契約し、施術者を派遣してもらうケースもある。
ベリーベストの求人サイトにはあん摩マッサージ指圧師の求人が見当たらないので提供事業者と契約しているものと思われる。
マッサージ関係業界の法的状況
初めてこのブログを読まれる法曹関係者の方に説明すると、業としてマッサージを行うにはあん摩マッサージ指圧師という免許が必要である。
あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)
第一条 医師以外の者で、あん摩、マツサージ若しくは指圧、はり又はきゆうを業としようとする者は、それぞれ、あん摩マツサージ指圧師免許、はり師免許又はきゆう師免許(以下免許という。)を受けなければならない。
しかし、マッサージと思える施術を行っている者全てがあん摩マッサージ指圧師の免許を持っているかというと、そうでもない。
あん摩マッサージ指圧師で無い者は、自身が行っている施術がマッサージではない、と主張するのである。
そして法定の医療免許を持たない者による、治療及び保健目的の施術は医業類似行為として、あはき法12条で禁止されている。
第十二条 何人も、第一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならない。ただし、柔道整復を業とする場合については、柔道整復師法(昭和四十五年法律第十九号)の定めるところによる。
ところが最高裁は医業類似行為の禁止処罰に関し、「人の健康に害を及ぼすおそれのある行為」に限定する判決を出す。
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51354
そのため、無免許施術は人の健康に害を及ぼすおそれが無いという建前の下、放任されることになる。
そして整体やリラクゼーションと称した無免許マッサージ業者も堂々と営業するようになっている。
ベリーベストのサイトにおけるマッサージや整体の記述
なお、「接骨院」や「鍼灸院」というのは、医師ではないものの、国家資格を有する者によって運営されており、それぞれの業務に関する法律(柔道整復師法・あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師等に関する法律)が存在します。適用される場面は限定的であるものの、健康保険や労災保険等の適用を受けることもできます。そのため、上記のように「相当性・必要性」が立証できれば、加害者側に費用の負担を求めることもできます。
しかし、整体院や温泉治療、カイロプラクティック、リラクセーションマッサージなどの法律に基づかない医療類似行為については、その「相当性・必要性」が認められることはほとんどない、すなわち、これらの関して要した費用が相手方保険会社から支払われることはまずないと考えてよいでしょう。
なお、無資格者が行うような簡易な整体マッサージやクイックマッサージは利用すべきではありません。
過度な施術で余計に症状を悪化させる恐れもあり、保険会社が治療費を負担しない可能性も高いからです。
このように、区別して記述してくれるのはありがたい。
リラクゼーション業者は日本では株式上場を認められない。
リラクゼーション業界はこのようにグレーな感じなので、リラクゼーション業大手の会社、メディロムが株式を上場しようとしても、東京証券取引所が法令遵守の観点から許さず、海外で上場してたりする。
リラクゼーション業で国内上場はできない――。
これは、2000年の創業以来、14年間に渡り上場を目指し続けていたリラクゼーションスタジオRe.Ra.Ku を経営する株式会社メディロム江口康二社長が突きつけられた現実でした。
また「人の健康に害を及ぼすおそれが無い」建前であるが、実際には健康被害が生じている。
手技による医業類似行為の危害−整体、カイロプラクティック、マッサージ等で重症事例も−(発表情報)_国民生活センター
[PDF]消費者庁:法的な資格制度がない医業類似行為の手技による施術は慎重に
このような違法性が高いリラクゼーション業者と社内施術の契約をした場合、違法行為の利用や助長として、懲戒請求を受ける可能性は高い。
証拠を確保できる場合、私なら懲戒請求する。
整体師をSNSで紹介した弁護士に対する懲戒請求
実際、私はSNSで整体師(無免許)を紹介していた弁護士に対して懲戒請求を行っており、綱紀委員会の議決待ちの状況である。懲戒請求をしてからもうじき1年になる。
以下の画像は綱紀委員会から送られてきた質問書である。
「上記整骨院」は「上記整体院」の間違いである。
カッコ内は対象弁護士の弁明書から転載したと思われ、公開していない著作物の転載と捉えられる可能性があるのでマスキングする。
質問書に記載された弁明の趣旨は、整体施術の違法性を認識することは不可能であり、弁護士本人に過失が無いというものであり、整体師の施術が違法では無いと主張する旨の記述は無かった。
具体的な質問内容は
と故意(認識)の証明を求めるものであった。
過失(容易に認識しえた)でも駄目なんじゃね?と思うのだが。本人が過失が無い(認識は不可能)旨、主張しているんだし。
そんなわけで、本事件の争点は対象弁護士の過失の有無である。
よって、仮に綱紀委員会が懲戒しない旨を議決した場合、それは私が対象弁護士の過失の立証に失敗しただけであり、整体業務が合法であることを意味しない、と予防線を張っておく。
もっとも本事件の整体業務が違法でないことが明らかであれば、こんな質問を送ってくる必要も無く、懲戒しない旨をさっさと議決すれば良い話である。
違法業務を行っている会社の顧問弁護士であったのみならず、違法性を認識し、あるいは法令等の調査や事実関係の調査をすれば容易に認識しえたにもかかわらずこれを認識してない場合でないと、違法行為の助長として懲戒処分を行うことができないようである。
以下は懲戒請求を棄却した、東京弁護士会綱紀委員会の議決書からの引用である(太字は筆者による)。
東京地裁判決及び金融庁回答等によれば、給与ファクタリングによる取引における債権譲渡代金の交付は貸金業や出資法にいう「貸付け」に該当し、当該取引を行う業者は貸金業法にいう貸金業を営む者にあたるから、申立外5社 は貸金業法第3条第1項(登録)に違反し、申立外5社が徴収していた手数料を年利に換算した利率によっては、利息制限法に違反し、貸金業法第42条第1項(高金利を定めた金銭消費貸借契約の無効)及び出資法第5条第3項(高金利の処置)に該当する可能性がある。
しかし、被調査入ら申立外5社の顧問弁護士に就任したことのみをもって 直ちに、必要な法令及び事実関係の調査の懈怠、違法行為の助長、品位を損なう事業への参加、弁護士としての品位を失うべき非行にあたるとは認められず、 給与ファクタリングの実態が貸付けであると認識しながら、あるいは、法令等の調査や事実関係の調査をすれば容易に認識しえたにもかかわらずこれを認識せず、貸金業としての登録や利息制限法の遵守、あるいは業務停止といった 適正な助言や指導をせず放置したと認められる場合に上記非行にあたる可能性があるといえる。
『棄却された懲戒の議決書』給与ファクタリング会社の顧問弁護士に懲戒申立8件目の棄却、被調査人提出書面なしでも棄却 東弁第4部会 – 弁護士自治を考える会
医師法やあはき法を知らない弁護士が無免許業者を宣伝する投稿をしていた場合、違法性を認識してないので、それだけでは懲戒処分にはならない。違法性を指摘して投稿の削除と、違法な業者を宣伝したこと、および施術料金の返金を受ける権利があることを告知するように求めるべきだろう。
削除等に応じてもらえなければ、その不作為と宣伝投稿のセットで違法行為の助長とし、懲戒請求をすればよい。
コンプライアンスに厳しい上場企業は国家資格者の派遣を求めるらしい。
会社にあん摩マッサージ指圧師を派遣している法人の経営者から、上場企業はコンプライアンスに厳しいので、料金が高くてもちゃんと国家資格者を持つ者の派遣を求めてくる、と聞いている。
そのようにコンプライアンスに厳しい企業の担当者が、顧問契約を結ぼうとする弁護士法人を見てみたとき、無免許の施術者の派遣を受け入れているのを見たらどう思うか。
保健師助産師看護師法第37条に書かれている「診療機械」とは何ぞや?カイロプラクティックのアクティベーター療法は医行為か?
「診療機械の使用」は医行為である。
医行為は「医療及び保健指導に属する行為のうち,医師が行うのでなければ保健衛生上危害を生ずるおそれのある行為」*1とされる。
下線部については保健師助産師看護師法第37条の条文そのままである。
第三十七条
保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣かん腸を施しその他助産師の業務に当然に付随する行為をする場合は、この限りでない。
この条文は看護師が医師の指示なく、勝手に医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をするな、という内容である。
その例示として「診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をし」とあるわけである。
つまり「診療機械を使用」というのは医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為であり、医行為なのだ。
法令上、「診療機械」とは何ぞや?
それでe-GOV法令検索で「診療機械」を全文検索すると、保助看法以外には歯科衛生士法しか出てこない。
第十三条の二
歯科衛生士は、歯科診療の補助をなすに当つては、主治の歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、又は医薬品について指示をなし、その他歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をすることは、さしつかえない。
厚労省の通知を「診療機械」で検索してもヒットしない。
薬機法で定義されているのは「医療機器」であり、下記のように定義される。
第2条
4 この法律で「医療機器」とは、人若しくは動物の疾病の診断、治療若しくは予防に使用されること、又は人若しくは動物の身体の構造若しくは機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具等(再生医療等製品を除く。)であつて、政令で定めるものをいう。
というわけで、政令で定めていなければ医療機器には該当しない。
そして薬機法上は「機械器具」という単語はあるものの、「機械」のみでは記述していない。
さて、保助看法、歯科衛生士法で記述している「診療機械」とはなんぞや?
カイロプラクティックで使用されている診療機械?
カイロプラクティックにはアクティベーターというテクニックが有る。
下記のページで紹介されているような機械を使い、矯正するテクニックである。
Youtubeなどで見てるともっぱら脊椎に当てて矯正しているようである。
またカイロプラクティックの流派には、第1頚椎のズレが症状の原因であるとして、下記の動画のように機械で首のズレを測定し、別の機械で力学的刺激を第1頚椎に加えて矯正している事業者もある。
これ、「診療機械」だよなぁ、と思うのは私だけですかね?
無免許治療をするなら、(治療)機械は使わないほうが無難というわけである。
ま、カイロプラクティック自体、人の健康に害を及ぼすおそれが無いとはとても言えないわけだが。
あはき法が守ろうとする公共の福祉。昭和35年判決と広告判決を比較して。
最近、月曜日のたわわの新聞広告に関し、企業の表現の自由が話題になっているようである。
そして営利広告に関する大法廷判決は、あん摩マツサージ指圧師、はり師、きゆう師等に関する法律(あはき法)第7条の広告規制に関するものだけであろう。
論旨は、本件広告はきゆうの適応症を一般に知らしめようとしたものに過ぎない
のであつて、何ら公共の福祉に反するところはないから、同条がこのような広告ま
でも禁止する趣旨であるとすれば、同条は憲法一一条ないし一三条、一九条、二一
条に違反し無効であると主張する。しかし本法があん摩、はり、きゆう等の業務又は施術所に関し前記のような制限を設け、いわゆる適応症の広告をも許さないゆえんのものは、もしこれを無制限に許容するときは、患者を吸引しようとするためややもすれば虚偽誇大に流れ、一般大衆を惑わす虞があり、その結果適時適切な医療を受ける機会を失わせるような結果を招来することをおそれたためであつて、このような弊害を未然に防止するため一定事項以外の広告を禁止することは、国民の保健衛生上の見地から、公共の福祉を維持するためやむをえない措置として是認されなければならない。
されば同条は憲法二一条に違反せず、同条違反の論旨は理由がない。
適切な医療受診機会を逸失するのを未然に防止することが公共の福祉にかなう、としている。
さて、昭和35年判決を見てみよう。
憲法二二条は、何人も、公共の福祉に反しない限り、職業選択の自由を有するこ
とを保障している。されば、あん摩師、はり師、きゆう師及び柔道整復師法一二条
が何人も同法一条に掲げるものを除く外、医業類似行為を業としてはならないと規
定し、同条に違反した者を同一四条が処罰するのは、これらの医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するものと認めたが故にほかならない。ところで、医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するのは、かかる業務行為が人の健康に害を及ぼす虞があるからである。
それ故前記法律が医業類似行為を業とすることを禁止処罰するのも人の健康に害を及ぼす虞のある業務行為に限局する趣旨と解しなければならないのであつて、このような禁止処罰は公共の福祉上必要であるから前記法律一二条、一四条は憲法二二条に反するものではない。
あはき法で業として医業類似行為を行うのを禁止しているのは、公共の福祉に反するからである。
↓
公共の福祉に反する理由として人の健康に害を及ぼすおそれがあることを説明。
である。
あはき法制定時、医業類似行為を禁止するのは適切な治療機会の逸失という消極的な弊害を防ぐ旨、政府は回答している。
そして広告判決では適切な医療受診機会を逸失するのを未然に防止することが公共の福祉にかなう、としているわけである。
昭和35年判決の、「これらの医業類似行為を業とすることが公共の福祉に反するものと認めたが故にほかならない。」を肯定したとしても、維持すべき公共の福祉として、消極的弊害の防止を無視することは広告判決と矛盾するわけである。
なお、広告判決では憲法21条(表現の自由)、昭和35年判決では憲法22条(職業選択の自由)が問題にされたわけだが、
第二十一条 集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。② 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。 第二十二条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する。② 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。
と、表現の自由に関しては条文上、公共の福祉による制限はない。
一方、職業選択の自由に関しては条文にも明確に公共の福祉による制約がある。
表現の自由に対する制約理由としての公共の福祉として、消極的弊害の防止が認められているのに、職業選択の自由を制限する公共の福祉として、消極的弊害の防止が認められないことがあろうかや。